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■大人気のトールボーイにオープンモデルを設定
1984(昭和59)年7月4日、背高ノッポの個性的なスタイリングで大ヒットしたホンダ「シティ」のフルオープンカー「シティ・カブリオレ」を発表、発売は8月1日から始まりました。オープンボディとソフトトップについては、イタリアの名門カロッツェリアのピニンファリーナ社が担当したことも話題となりました。
●ベースは大ヒットモデルのトールボーイ
1981年10月、ホンダから個性的なスタイリングのシティがデビューしました。「ワイド&ローのクルマがカッコいい」という常識を覆し、1570mmの全幅に対して、1470mmの全高をもつ背高ノッポのデザインを採用、キャッチコピーは「トールボーイ」でした。当時のホンダは「MM思想」というコンセプトを推進、MM思想はマキシマム・メカニズムの略で、「人間のための空間を最大にするために、メカニズムの大きさは最小限に抑える」という設計思想です。シティは、まさにそれを具現化したモデルでした。
トールボーイは、常識にとらわれない若者の圧倒的な支持を得て大ヒットモデルになりました。さらに1982年には、100PSを超える「ブルドッグ」の愛称が付けられたインタークーラー付きターボの「ターボII」が追加され、人気は絶頂に達しました。
●12色のボディ色をラインナップしたお洒落なオープンカー
「ブルドッグ」のターボIIに続いたのが、1984年のフルオープンモデル「シティ・カブリオレ」。ターボIIのボディをベースに、ソフトトップを装着した国産乗用車初のフルオープン4シーターでした。
ソフトトップは手動開閉式で、持ち上げながら後方に押し戻せば簡単にオープンに変身。安全性確保のため、ロールバーは残りましたが、それはそれで個性的なスタイリングを強調することになりました。また、できるだけ多くのユーザーの好みに応えるために、当時流行っていたパステルカラーの12色のボディ色をラインナップ。パワートレインは、100PS超のターボではなく最高出力67PSの1.2L直4 SOHC NA(無過給)エンジンと3速ATの組み合わせ。パワフルではありませんでしたが、車重が665kgと軽量だったため、コンパクトカーらしい軽快な走りができました。
●オープンカーにはカブリオレ以外にも様々な呼び方が
ちなみに、カブリオレはマツダの「ロードスター」と同じように一般名称を車名に使った例です。オープンカーにはベース車をオープンにしたモデルと、専用設計のオープンモデルの2種類があり、呼び方もいろいろあります。
一般的には、ベース車のあるオープンカーは「カブリオレ」、「コンバーチブル」と呼ばれ、専用設計のオープンカーは、「ロードスター」、「スパイダー」と呼ばれます。カブリオレは欧州、コンバーチブルは米国で使われ、ロードスターとスパイダーの使い方には特にルールはありません。その他、「スピードスター」や「バルケッタ」という名称も使われます。色々あって、紛らわしいようですが、実はボディ形状や使われ方、生い立ちやお国柄などが絡んでることが多いようです。国や他のバリエーションなどと共に調べてみると興味を引くかも知れません。
当時のホンダは、ワイド&ローのスタイリッシュなクルマが売りでしたが、突然現れた背高ノッポのトールボーイは衝撃的でした。クルマに若さがみなぎっていた当時のホンダ、その象徴的なクルマがシティとそのカブリオレでしたね。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。
(Mr.ソラン)