歴史に残るカーデザイナーがデザインした腕時計

■カーデザイナーは腕時計も手掛ける

自動車のデザインを手掛けるカーデザイナーは、実は自動車だけをデザインしているわけではなく、様々なものをデザインしています。

SEIKO SBJG001 GIUGIARO
SEIKO SBJG001 GIUGIARO

いすゞ・ピアッツァやスバル・アルシオーネSVXなど、数えきれないほどの国産車やマセラティ・ボーラ、ロータス・エスプリなどの往年のスーパーカー、初代VWゴルフ、ランチア・デルタなど、本当に数々の自動車をデザインした巨匠ともいえるジョルジェット・ジウジアーロ氏。

彼が手掛けた腕時計が1985年に日本のセイコーから発売されています。

SEIKO SBJG001 GIUGIARO
SEIKO SBJG001 GIUGIARO

世界初のクォーツアナログクロノグラフをラインナップした「スピードマスターシリーズ」と言われるもので、そのクォーツアナログクロノグラフの1モデルは、映画「エイリアン」にも登場し人気を博しますが、同時に発売されたデジタルクロノグラフモデルはその独特のデザインで大人気となります。

バイクのハンドルや自動車のシフトノブを握ったときに、文字が正面に向くように斜めにオフセットされた文字盤、まるでUFOのようなフォルムのケースが大きな特徴で、ブラック、シルバー、ダークグリーンの3色展開で発売されました。

SEIKO SBJG001 GIUGIARO
SEIKO SBJG001 GIUGIARO

どれだけ大人気かと言えば、1985年当時は特に限定数を設けずに販売されていましたが、ほとんど品薄状態。その後、一度生産終了しますが、リクエストがあまりに多かったために1999年に再び限定モデルとして発売されます。

その後も人気は留まることを知らず、ネットオークションなどでは初代、復刻ともにかなりのプレミアム価格で流通することになり、再び2015年にシルバーとブラックを3000本ずつ、その他ファッション系のセレクトショップ数店舗から500本ずつという限定数で復刻します。写真のモデルはその2015年復刻モデルとなります。

30年の時を経ても未だに新鮮な魅力を持つジョルジェット・ジウジアーロ氏のデザインは、まさに巨匠の技と言うにふさわしいものではないでしょうか。

●アウディA5のデザイナーが手掛けるエレガントな腕時計。

カーデザイナーが手掛ける腕時計をもう1本紹介します。

ISSEY MIYAKE W Limited Edition by TiC TAC
ISSEY MIYAKE W Limited Edition by TiC TAC

日産のデザイナーとして初代セフィーロを手掛けたのちにヨーロッパに渡り、アウディのデザイナーとして初代のアウディA5をデザインした和田智氏。2009年に独立し、日本で工業デザイナーとして活躍されています。

そんな和田智氏が2013年に初めて腕時計をデザインしたのが、ISSEY MIYAKE Wです。

ISSEY MIYAKE WATCH PROJECTは、2001年からファッションデザイナー三宅一生氏とセイコーが組んで、世界で活躍するプロダクトデザイナーたちが参加する独創的なプロジェクトとして始まりました。そのプロジェクトに和田智氏が参加して出来上がったモデルが、このWです。

ISSEY MIYAKE W Limited Edition by TiC TAC
ISSEY MIYAKE W Limited Edition by TiC TAC

自動車のホイールから着想を得たといわれる円を基調としたデザインで、ソリッドな文字盤の中を走るシルバーのリングと、その周囲のシルバーのアワーマーカーのメタリックな質感。メカニカルな要素とエレガンスな要素が融和しあった、独特の雰囲気を醸し出します。

ISSEY MIYAKE W Limited Edition by TiC TAC
ISSEY MIYAKE W Limited Edition by TiC TAC

裏蓋をビス止めとしてメカニカルに魅せてはいますが、その6本のビスの配置にはエレガントさを感じます。

このWと言うモデルは、デザインだけではなく操作性も重視されていて、クォーツクロノグラフでありながら、ストップウォッチのリセットは瞬時に行える機械式クロノグラフと同様の構造を持っています。

ISSEY MIYAKE W Limited Edition by TiC TAC
ISSEY MIYAKE W Limited Edition by TiC TAC

このISSEY MIYAKE Wもかなりの人気を博しており、発売から9年を経た現在でも新色が発表され続けています。

自動車のように長く使われるものをデザインする方々は、腕時計をデザインしても長く愛されるものを作り出しているようです。

(写真・文:松永 和浩 ※掲載の腕時計は筆者私物)

この記事の著者

松永 和浩

松永 和浩 近影
1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。