新型ノア/ヴォクシーのトヨタセーフティセンスは国産車中もっとも進んだ運転支援装置【新車リアル試乗2-2・トヨタヴォクシー Toyota Safety Sense編】

■その性能、一挙トップに躍り出たか? 最新Toyota Safety Sense

ヴォクシーリアル試乗の2回め。

今回はおなじみToyota Safety Senseについて述べ立てていきます。

旧型初期モデルは開発が間に合わなかったのか、その前後の新型トヨタ車たちが「プリクラッシュセーフティ」に代表される自動ブレーキをつけ始めたのにもかかわらず、自動ブレーキの「自」の字も見当たらず、買う前から下取り査定額が心配になるようなクルマでしたが、今回はあのときの汚名返上とばかり、(たぶん)現時点の国産車中、いちばん進んだものとなっていました。

●機能のすべてを覚えられるか? Toyota Safety Senseが持つ10の機能

リアル試乗「カローラクロス」の第2回めで、「安全支援デバイスは常に改良を受けており、知らぬ間に進化しているもの」と書きましたが、こんどの新型ヴォクシーでほんとうに進化していました。ちょっと目を離しているスキにどこかしらに手を入れて何かしらの新機能が備わっている…これだから最近のクルマは油断なりません。うっかり見落としたまま知った気で書こうものなら、すぐに読者から指摘を受けてしまうから恐ろしい。

そのヴォクシーのToyota Safety Sense(以下TSS)が持つ機能は、カタログ装備表に従って並べると全部で10、取扱説明書に倣うと13となります。ここではカタログ装備表どおりに記していきます。

1.PCS(プリクラッシュセーフティ)
2.緊急時操舵支援+フロントクロストラフィックアラート(FCTA)+レーンチェンジアシスト(LCA) ※全車工場オプション
3.レーントレーシングアシスト(LTA)+レーンディパーチャーアラート(LDA)
4.全車速追従機能付レーダークルーズコントロール
5.アダプティブハイビームシステム(AHS) ※S-Zに工場オプション
6.オートマチックハイビーム(AHB)
7.ロードサインアシスト(RSA)
8.ドライバー異常時対応システム
9.プロアクティブドライビングアシスト(PDA)
10.発進遅れ告知機能(TMN)

TSSはカタログでいうところの「予防安全」に含まれるわけですが、TSS以外の予防安全デバイスには以下の6つがあります。

A.ブラインドスポットモニター(BSM)+安心降車アシスト(SEA) ※全車工場オプション
B.パーキングサポートブレーキ(前後方静止物)
C.パーキングサポートブレーキ(後方接近車両) ※全車工場オプション
D.車両接近通報装置 ※全車工場オプション
E.プラスサポート(急アクセル時加速抑制)  ※全車販売店オプション
F.ITS Connect  ※全車工場オプション

今回のヴォクシーのTSSは、すべての機能がすべての機種に標準装備というわけではなく、一部の機能が一部の機種に標準装備だったり、あるいは工場オプションになるものがあることに注意する必要があります。また、予防安全デバイスA~Fの中には、2とセットでオプションになるといったものがあるので、なおのこと注意が必要です。そのあたりの組み合わせはとても文章では表しきれないので、新型ヴォクシーを検討する方はじっくり、じーっくり装備表とにらめっこしてください。

それにしても、この羅列や、写真ギャラリーに並べたメーター内のTSS設定画面の中に「GHQ」「NHK」「AKB」あたりがまぎれこんでいてもTSS機能のひとつと疑わなくなるほど、アルファベット3文字の略称だらけです。どれが何の略称なのか、取扱説明書の熟読が必須となります。

ひとつひとつについて簡単に説明していきます。

1.PCS(プリクラッシュセーフティ)

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プリクラッシュセーフティ 緊急時操舵支援機能

進路上の作動対象をセンサーで検出、衝突の可能性が高いとシステムが判断したときに警報やブレーキ制御で運転者の衝突回避操作を支援。あるいは、衝突の可能性がさらに高まったときは、自動でブレーキを作動させることで衝突回避を支援、または衝突被害の軽減に努めるものです。この「作動対象」とは、車両、自転車、歩行者、自動2輪車のこと。驚くのは、自転車や自動2輪はひとが乗車している場合のみを作動対象としているところで、路肩に置いてある無人のバイク、社会問題になっている放置自転車には無反応で通過することになります。すごいな。

2.緊急時操舵支援(アクティブ操舵機能付)+フロントクロストラフィックアラート(FCTA)+レーンチェンジアシスト(LCA)

tss 2 fcta
フロントクロストラフィックアラート[FCTA]
tss 2-2 lca
レーンチェンジアシスト[LCA]

緊急時操舵支援は、歩行者や自転車運転者、自動二輪、車両と衝突する可能性が高く、自車レーン内に回避スペースがある場合に、ドライバーの操舵がなくてもシステムが弱いブレーキをかけながら操舵し、レーン内衝突を回避するもの(カタログより)です。

FCTAは自車前方を交差する車両が接近中であることを、ナビ画面ないしヘッドアップディスプレイにて告知。

LCAは、次項LTAとの連携で、レーンチェンジャー(ウインカーレバーの途中保持)で、車線変更に必要なハンドル操作の一部をアシストするものです。

3.レーントレーシングアシスト(LTA)+レーンディパーチャーアラート(LDA)

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レーントレーシングアシスト[LTA]車線維持支援機能

次項レーダークルーズコントロール作動中、前方カメラやレーダーで捉えた先行車、白線(黄線)、周囲車両を前方カメラやレーダーで認識、ハンドルを支援操作してレーン内走行を保つように努めます。LDAは、自車が車線からはみ出しそうになると車線の逸脱を警告すると同時に、逸脱回避のハンドル操作を支援します。

4.全車速追従機能付レーダークルーズコントロール

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レーダークルーズコントロール 全車速追従機能付 先々行車検知

レーダーとカメラによって自車と先行車との距離を把握し、適切な車間距離を保ちながら巡航制御します。

5.アダプティブハイビームシステム(AHS)
前方カメラによって前方車両のランプや街路灯の明るさを判断し、ヘッドランプの配光をコントロール。車速に応じてハイビームの照射範囲をクルマが調整します。

6.オートマチックハイビーム(AHB)
前方カメラによって前方車両のランプや街路灯の明るさを判断し、自動でヘッドライトのロー/ハイを切り替えます。

7.ロードサインアシスト(RSA)
前方カメラのほか、ナビマップからの情報も採り入れながら特定の道路標識や信号を認識し、メーター内のディスプレイ表示やブザーでその内容をドライバーに報知します。

8.ドライバー異常時対応システム
自動車専用道路(一部を除く)を走行中のドライバーが急病などによって運転操作が困難になった場合、自動でレーン内で自車を減速、停車させます。LTA作動時や渋滞支援制御中にハンドルの無操作状態が継続した場合も同じように判断し、減速・停車を行います。

9.プロアクティブドライビングアシスト(PDA)

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プロアクティブドライビングアシスト PDA 横断歩行者 自転車運転者に対する支援 減速制御

走行中に路上の作動対象(歩行者・自転車運転者・駐車車両・先行車・自動二輪)を検出したとき、その対象に近づきすぎないようにブレーキやハンドル操作をアシストします。

10.発進遅れ告知機能(TMN)
先行車発進後、または信号が青に替わった後も自車の停止が続いた場合、メーターディスプレイと音でドライバーに報知するもの。

昨年(2021年)9月発売のカローラクロスで試したTSSもなかなかのものだと思ったのに、今年1月発表の新型ノア/ヴォクシーのTSSを見て「たった4ヶ月でこれだけ進化したなんて、TSSが気に入ってカローラクロスを入手したひとはさぞ悔しがっているだろうョ」の感を抱いたのは早計。考えてみたらカローラクロスの母体が2018年6月のカローラスポーツ、あるいは2019年9月の本家カローラなら、カローラクロスのTSSだってこれらに準じているわけで、カローラクロスのTSSと新型ノア/ヴォクシーのTSSとでは、ざっと3年半ぶんの開きがあることになります。

さて、この10機能のうち、ここでは「おお、これはっ」と筆者が驚嘆した次の機能について解説していきます。ただし、5のAHSだけは別の機会に。

・フロントクロストラフィックアラート(FCTA)
・レーンチェンジアシスト(LCA)
・アダプティブハイビームシステム(AHS) → あとまわし
・ロードサインアシスト(RSA)
・プロアクティブドライビングアシスト(PDA)
・発進遅れ告知機能(TMN)

tss sensor front with text
Toyota Safety Senseのフロント部に備わるセンサー類は全部で4つ
tss sensor rear with text
後ろ側は2つとなる

TSSを働かせる車両内外に備えられているセンサーは、車両フロント側でフロントガラス内側上部に与えられた単眼カメラ、フロントバンパートヨタマーク下の内側に仕込まれた前方レーダー、フロントバンパーサイドの前側方レーダーの4点、リヤ側はリヤバンパー両脇に内蔵される後側方レーダーで2点、車内にはハンドル向こうに運転者状態を監視するモニターカメラがあるので、全部で7点となります。

●FCTA(フロントクロストラフィックアラート)

筆者はこの機能を、現行初期レクサスLSで経験したことがありますが、機能としては同等のものでした。ヴォクシーでのFCTA作動条件は下記のとおり。

・シフトがP、R以外。
・自車速度が15km/h以下のとき。
・前方を交差する接近車両の速度が約10~60km/hであるとき。
・先行車がいないとき。
・アクセルもブレーキも強く踏み込んでいないとき。

今回は停車状態で試しました。駐車場から車道へ出るときのシーンを想定すると、写真のようになります。

左右からの車両の接近を、パノラミックビューモニター(これも別の回で述べます)上に、オレンジ色のくの字のマークをシーケンシャルウインカーと同じように順次点灯させて知らせます。

また、S-ZにオプションのHUD(ヘッドアップディスプレイ)装着車ならフロントガラスにも投写します。

自宅から出発し、住宅路から車道に出るときに「バンパー左右にカメラがついていたらなあ」と思うことがありますが、その願いを叶えてくれるFCTAです。あたり前ですが、センサーが前バンパー左右にあるため、ドライバーよりも先に車道左右の様子を把握することができるからです。

ところで取扱説明書では、FCTAの作動対象は「車両」に限っています。そして「接近するのが車両でなくても作動するおそれがあるとき」の条件の中のひとつに「自転車や歩行者が歩道を通行しているとき」の一文があり、実際、歩行者や自転車の接近を知らせてくれました。

fcta 6
実際には自転車の接近も告知してくれた

写真の場所はまだ見通しの効く場所だからいいのですが、住宅路から歩道付き車道に自車の頭を突き出そうとするとき、恐れるのはむしろ歩道をやってくる自転車、歩行者ではないでしょうか。トヨタが対象を「車両」としていますが、今回は自転車や歩行者を知らせてくれたわけです。晴れて歩行者や自転車も認識対象とするFCTAに進化するとなおいいと思います。

●LCA(レーンチェンジアシスト)

もともと、ウインカーはレバー上下でカッチリ固定する前の途中保持ででも点灯します。これを1980年代から備わるようになったレーンチェンジャーです。それ以前のクルマにはありませんでした。LCAでは、このウインカー途中保持ゾーンで作動します。作動条件はLTA作動中…ということは、レーダークルーズコントロール作動中にウインカーを途中保持すると、自車両側方や移行先車両との関係をにらみながらクルマが右に左に車線変更を手伝ってくれます。

作動条件は、

・LTAが作動中。
・自車速度が85~130km/hのとき。
・システムが、高速道路、自動車専用道を認識しているとき。
・システムが、車線変更する側のラインが白の破線と認識しているとき。
・車線変更したい先に車両が存在していない。

など。

他にもありますが、これらが代表的なものです。

LCAを関越自動車道で試してみました。前方車両を追い越すべく、右に車線変更してみましょう。

と、このような具合です。

lca 6
NOといえるLCA

操作法は、LTA作動中に車線変更したい方向へウインカーを途中保持させるだけです。LCAが作動を始めるとウインカーレバーから手を放してもウインカーは点滅を続け、自らハンドルがゆっくり操舵。絶対にゆらりとさせないような、まことにもって落ち着き払ったハンドル操作で右車線に移ります。車線変更が終わると自動で点滅終了。追い越したい車両の前に収まりたいときは、左へLCAを働かせればいいわけです。上記条件外にあるときに働かせようとするとLCAから丁重なお断りのメッセージが表示されます。

便利ではありますが、何となく中途半端な感じもしました。同一車線内ならかなり車両側が車線や車間距離、速度を調整してくれるレーダークルーズ中に、わざわざ手動操作を加えてLCA起動させる点で歯がゆさも感じます。いずれは車線変更や追い越しの判断もクルマが行い、ドライバーへの事前予告を挟み、ドライバーの手動操作なしに自ら車線移動を行うようになっていく…自動運転完全実用化後の姿を抱かせるLCAでした。

●発進遅れ告知機能(TMN:Traffic Movement Notification)

今年1月3日に公開した、現行フィット試乗の中のホンダセンシングの「先行車発進お知らせ機能」の解説の中で、「先行車発進のほか、新型レヴォーグには備わる青信号も告知してくれるといい。ついでにレヴォーグさえまだ遂げていない、矢印も知らせてくれるとなおありがたい。」と書きました。

さっそくやってくれました、トヨタ!

カローラクロスではTSSを構成するひとつだった「先行車発進告知機能」が「発進遅れ告知機能」の中のひとつになると同時に、「信号切り替わり告知機能」も加わり、青信号ばかりか、自車がウインカー点滅の赤信号待ち中なら、矢印点灯でも告知してくれるようになりました。

「さっそくやってくれました」と書きましたが、よくよく調べたら、昨年2021年10月発表のレクサスNXには搭載ずみ。フィット記事作成時に全国産車を調べたのですが、レクサスだけ忘れていました。読者のみなさん、そしてNX、ごめんなさい。

さて、赤信号の停止中、ときにボーッとしていて青に切り替わった後も気づかず、後ろから思いっきりホーンを「ペーッ!」と鳴らされるというのは誰でもありますが(ほんとうは自分がよくある。)、さらに見落としがちな矢印信号の点灯まで告知してくれるなんて、これだけでヴォクシーを選びたくなります。

残念ながら、肝心な矢印点灯の写真を撮るチャンスがなかったのが後悔の極みなのですが、青信号告知のシーンを都合よく撮ることができましたので載せておきます。

●プロアクティブドライビングアシスト(PDA)

PDAは、次の4シーン別に作動します。

1. 道路を横断中の作動対象(歩行者・自転車運転者)を検知したとき
衝突の可能性を軽減するため、ブレーキ操作の一部を支援する。作動車速は約30~60km/h。

2. 道路脇の作動対象を検知したとき
作動対象(歩行者・自転車運転者・駐車車両)に近づきすぎないよう、周囲状況に応じてハンドル操作やブレーキ操作の一部を、自車線から逸脱しない範囲で支援する。作動車速は30~60km/h。

3. 先行車を検出したとき、または隣接車の割り込みを検出したとき
車間距離が近づきすぎないよう、ブレーキ操作の一部を支援する。作動対象は先行車・自動二輪で、作動車速は約20km/h以上。

4. 自車前方にカーブを検出したとき
前方のカーブに対して自車速度が速いと判断したとき、ブレーキ操作の一部を支援する。カーブに対する減速支援は約20km/h以上。

トヨタからヴォクシーを借りての帰り道、どうも初期CVTの減速~再加速時に感じられた引っかかり感を抱き、「なんだい、いまどき。トヨタのCVTもまだまだだな」と思ったのですが、それはまったくの勘違いでした。

この挙動を示したのは、荷降ろしやひと待ちのクルマが左路肩にたまたま連続して停まっている道でのことだったのですが、引っかかり感にとどまらない、後ろから上着を引っ張られながら走っているような感触でした。おそらくは上述の2が働いていたのでしょう。クルマ自らハンドル操作は行っていなかったはずですが、勝手なもので、PDAによるものとわかった後は、ときにPDAがメーター内にひとやクルマの存在を知らせながら作動しても、引っかかりを意識することはなくなりました。前にも書きましたが、特徴的なことがないのは試乗記事を書く側にはつらいもので、何か欠点でもあってくれたほうがありがたいくらいなのですが、書くべきことが出てこないということは、ドライバーが何も感じないほどうまくできている証拠で、普通のひとにとってはこれが理想なのです。

意図して緊急時を作り出すわけにはいかないために試していませんが、先述した1の中の「緊急時操舵支援(アクティブ操舵機能付)」は、このPDAをフル発揮させた機能でしょう。

●ロードサインアシスト(RSA)

カローラクロス世代TSSのRSAは、「最高速度」「車両進入禁止」「一時停止」「はみ出し通行禁止」「終わり(メーター表示はせず)」の5つ。ヴォクシーのTSSが「終わり」を認識するのかどうかの記載が説明書にはなく、実作動を確認することもできませんでしたが、この「終わり」が見当たらなくなった代わりか、ここに「転回禁止」と「赤信号」が追加されました。すなわちヴォクシーのRSAが把握する標識は6つ。

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新たに加わったRSA表示のひとつ、転回禁止標識。制限速度標識よりもありがたいかも知れない。

筆者がありがたく思うのは「車両進入禁止」です。思えば過去、「転回禁止」を見落としてUターンするのを、影に隠れていて待っていた(としか思えない)白と黒のクルマに御用になったことがあるので「転回禁止」も知らせてくれるようになったのはありがたい進化です。

「赤信号」認識は、前項「信号切り替わり告知」の応用でしょう。青への切り替わりを知らせるなら、その前の「赤」だって認識しているはずで、その機能で走行先の赤信号を認識。実際、赤信号に対してちょいブレーキが遅くなったとき、告知してくれました。

ヴォクシーのRSAが標識を捉えるとメーター表示しますが、さらに強調表示するなりブザーなりで告知してくれるのは「速度超過告知」「車両進入禁止告知」、そして「赤信号告知」の3つです。「転回禁止」認識中、ウインカーを出したら報せてくれるといいと思いましたが、右折OKの転回禁止区間で右折するときでも警告するようになるからダメか!

なお、かなり広まってもはや新鮮味が薄くなった全車速追従機能付きクルーズコントロール(以下ACC)そのものは、実際の作動はカローラクロスと大差ありませんでした。「そのもの」と意味ありげに書いたのは、このレーダークルーズコントロール併用で働く新機能があるからです。それはまた後々の機会に…

ただ、ハンドル右にある関連スイッチのロジックが少々変わっていました。

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これまでとは少し構成が変わった、ヴォクシーのレーダークルーズコントロールスイッチ

通常ならACCのメーンスイッチを入れた後、シーソー型スイッチの「ー/SET」のチョン押しで車速セット、長押しで5km/hずつ減速、「+/RES」チョン押しでキャンセルからの復帰、長押しで5km/h刻みでの加速だったのですが、ヴォクシーでは「SET」だけ切り離され、新設された「走行支援スイッチ」が引き受けることになりました。この「走行支援スイッチ」は「キャンセル」も兼用しています。見た目にはわずかな違いですが、運転中の操作に於いては大きな違いで、筆者はいつまで経っても慣れませんでした。従来型に慣れていたひとは、使い始めのうちは戸惑うかもしれませんが、進化するデバイスに合わせ、どこかで操作系もリニューアルするのは必要なので、致し方ないところではあります。

「走行支援モード」スイッチは、レーダークルーズコントロールと、ただ定速走行するだけの従来型クルーズコントロールを切り替える役を持っています。

さて、次回は、今回触れなかったライト性能に迫ります。

また次回、お会いしましょう。

(文・写真:山口尚志 モデル:Mai)

【試乗車主要諸元】

■トヨタヴォクシー S-Z (6BA-MZRA90W-BPXRH型・2022(令和4)年型・2WD・ガソリン・自動無段変速機・ホワイトパールクリスタルシャイン)

●全長×全幅×全高:4695×1730×1895mm ●ホイールベース:2850mm ●トレッド 前/後:1500/1515mm ●最低地上高:140mm ●車両重量:1640kg ●乗車定員:7名 ●最小回転半径:5.5m ●タイヤサイズ:205/55R17 ●エンジン:M20A-FKS(水冷直列4気筒DOHC) ●総排気量:1986cc ●圧縮比:- ●最高出力:170ps/6600rpm ●最大トルク:20.6kgm/4900rpm ●燃料供給装置:D-4S(筒内噴射+ポート燃料噴射) ●燃料タンク容量:52L(無鉛レギュラー) ●WLTC燃料消費率(総合/市街地モード/郊外モード/高速道路モード):15.0/11.4/15.3/16.9km/L ●JC08燃料消費率:- ●サスペンション 前/後:マクファーソンストラット式/トーションビーム式 ●ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク ●車両本体価格339.0万円(消費税込み・除くメーカー/ディーラーオプション)