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■歴史あるサーキット2連戦
2022年F1第6戦スペインGP(5月20日〜22日)、第7戦モナコGP(5月27日〜29日)と、久しぶりの2戦連続開催で、まだ頭の整理ができていないF1女子yuriです。
初開催の第5戦マイアミGPは今までと違う雰囲気の新しいF1で良いなぁと思っていましたが、スペインGPとモナコGPを見て「歴史ある伝統サーキットも素晴らしい」と改めて思いました。

モナコGPと言えば、開催継続が危ぶまれているというニュースが流れていますよね…。
でもやっぱりモナコGPは別格。2019年に念願の現地観戦に行ってきましたが、他のサーキットでは味わったことのない特別な雰囲気に武者震いするほど感動したんです。
新しいサーキットも嬉しいけれど、F1の伝統は守ってほしい。そう強く思ったスペインGPとモナコGPを振り返ってみましょう。
●急展開の連続だったスペインGP
波乱のレースだった第6戦スペインGP。いろいろありすぎて、気が付いたらチェッカーフラッグが振られていました(汗)。

ポールポジションを獲得したシャルル・ルクレール(フェラーリ)は、スタートでポジションをキープし独走状態に。
予選後の無線で「カモン、フー! 良いラップだった」と叫ぶほどマシンの仕上がりも走りも満足そうだったので、このまま余裕でゴールするだろうなと思っていました。
しかし、27周目にパワーユニットのトラブルが発生しスローダウン。そのままガレージに入り、今シーズン初のリタイアとなってしまったのです。
ここまで順調にきていたフェラーリ、一体どうしちゃったの~。やっぱり強いフェラーリは幻だったのでしょうか。
いやいや、そんなはずはない。次戦のモナコGPはルクレールの母国だし、パワーユニットトラブルをぜひとも解決してほしいです。

母国GPだったチームメイトのカルロス・サインツJr.はというと、スタートで動き出しが遅れてしまい3番手から5番手へ。さらに7周目のターン4でマシンを滑らせグラベルに飛び出し、11番手まで順位を落としてしまいました。
カルロス、落ち着いて~。深呼吸、深呼吸。
例年、スペインの英雄フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)のファンで埋め尽くされてきたバルセロナ・カタロニア・サーキットですが、今年はフェラーリが速いこともあってかサインツJr.のファンもたくさんいましたよね。

予選後のインタビューでは「明日はベストを尽くすよ。スタートで抜きたいね」と強気な発言をしていたし、よっぽど気合が入っていたのでしょう。
ここから意地を見せつけ4位でフィニッシュ。よく頑張りました。ファンからも大きな拍手が送られていたし、きっとサインツJr.の熱い想いが伝わりましたよね。
ちなみにアロンソ先輩はパワーユニット交換により最後尾スタート。そこから素晴らしい追い上げを見せ9位フィニッシュで、見事ポイントをゲットしました。さすがすぎる〜。
何度も見せてくれたオーバーテイクは最高にかっこよかったです。
●レッドブルの戦略にモヤモヤ…
そしてスペインGPの勝者、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)も一筋縄ではいきませんでした。
スタートで2番手を守るも、9周目にサインツJr.がミスしたターン4で挙動を乱しグラベルへ。4番手まで順位を落としてしまいました。
その後、ジョージ・ラッセル(メルセデス)を抜きあぐねていたチームメイトのセルジオ・ぺレスと入れ替え3番手に順位をあげますが、ここでハプニング発生。

予選から不調だったDRSが決勝でもうまく機能せず、ラッセルに近づくも射程圏内に入ることができません。やっぱりDRS効果って凄いんだなぁ。
22周目にDRSが開き1コーナーでラッセルのインに入るも、アウト側からポジションを奪い返されてしまいます。残念ながらコース上で抜くことはできませんでしたが、コースギリギリのバトルは大興奮でした。

でも、ここで諦めないのがレッドブル。ラッセルと違うタイヤ戦略でポジションアップに成功し、1位セルジオ・ペレス(レッドブル)、2位フェルスタッペンと1-2体制を築き上げたのです。
とは言え、なんだか嫌な予感がするぞ。まだシーズン前半だし、順位を入れ替えるなんてことはしないよね?
するとチームからぺレスへ、「戦略は別だから。もしマックスが近づいてきたら、いかせてね」と無線が入ったのです。あ〜、嫌な予感が的中してしまった。ぺレスは「ものすごくアンフェアだ。でもOK」と返答し、49周目にトップの座を譲ります。

このままレースは終わり、フェルスタッペンが3戦連続優勝! ドライバーズチャンピオンシップのトップにおどりでました。レース序盤のミスにDRS不調といろいろありましたが、素晴らしい戦略と走りで優勝をものにしたのはさすがレッドブル&フェルスタッペン。
とはいえ私、このペレスとの順位入れ替え事件に少しモヤモヤしちゃいました。確かにフェルスタッペンのほうが新しいタイヤでペースも1秒近く速かった。
チームとして共倒れノーポイントを回避したくなる気持ちも分かる。でもフェルスタッペンとぺレスだったら、そこまで無理なバトルはしないのではないのかなぁと思ったんです。
ぺレスは無線で「チームにとっては良かったね。でも後で話したい」とお怒りモード。それでもチェッカー後のクールダウンラップでフェルスタッペンと並走し、ファンを盛り上げた大人の対応には胸が熱くなりました。
次こそ思いっきりレースをすることができますように…。
●モナコGP初優勝に涙、涙
スペインGPで悔しい想いをしたペレス。努力は必ず報われるんですね。第7戦モナコGPで今シーズン初優勝を果たし、メキシコ人F1ドライバーとして初めてモナコウィナーに新たに名を刻んだのです。

今年のモナコGPは雨に見舞われ、65分遅れでスタート。ほぼ全車ウエットタイヤを装着するも路面状況はどんどん良くなっていき、どのタイミングでインターミディエイトタイヤに交換するかがレースを制する鍵となっていました。
ペレスは上位勢の中でいち早くインターミディエイトタイヤに交換し、ライバルたちより5秒近く速いタイムで攻め続けます。その後路面状況はさらに良くなり、ドライタイヤへ交換。早めのピットインが功を奏し、全車ドライタイヤに変わった時点でトップに躍り出ました。
3番手スタートからトップと、作戦大成功です。
ここからのペレスは本当に強かった。26周目、ミック・シューマッハー(ハース)のクラッシュにより再び赤旗中断に。リードしていた差がなくなってしまうも、リスタートでしっかりと首位をキープしました。
さらに3時間ルールにより、ここから残り35分とカウントダウンが始まったのです。

残り10分をきったところで、2番手のサインツJr.にチームから「攻めていこう」と無線が入り、1秒以内まで近づいてきました。さらに3番手フェルスタッペン、4番手ルクレールも加わり全車1秒以内の大接戦。
この抜けないモナコでどのような展開になっていくのか、チェッカーの瞬間まで一時もテレビから目が離せません。
緊張しすぎて、時計が進むのが妙に遅く感じた10分。このまま永遠に続くのではないかと思うほどでした。
そしてついにファイナルラップ。ペレスが今シーズン初優勝、モナコGP初優勝を成し遂げました。レース終盤はタイヤが厳しい状況だったにも関わらず、サインツJr.に抜かせる隙も与えないペレスの強さが全て出きった素晴らしい走りでした。

前戦のスペインGPのこともあいまって、ゴールした瞬間から涙がとまりません。これだからF1って面白いんですよね。
【モナコGPの勝利は3勝分の価値がある】ということを、改めて感じました。
決勝後のインタビューでは「夢のようだよ。モナコで勝つことができて嬉しい。最後はタイヤにグレイニングができて苦しんだけど、カルロスをおさえられてよかった。母国メキシコのためにも勝ててよかったよ」と最高の笑顔で話している姿を見て、私の涙もとまったのですが…。
表彰式が始まりメキシコ国歌が流れると、ペレスが泣くのを必死にこらえているではありませんか(涙)。今まで悔しい思いをしたレース、たくさんあったもんね。本当にここまでよく耐えて頑張ってきたよ。ペレスがF1デビューしてからのことが走馬灯のように駆け巡り、私も再び大号泣。表彰式が終わるまで涙がとまりませんでした。

努力は必ず報われる、ペレスにそう教えてもらったような気がします。私は初めての育児で身体も精神もクタクタ、これでいいのかと不安な毎日ですが、モナコGPを見てパワーをもらいました。
よ〜し、私もこれから笑顔で頑張るぞ〜。
チェコ、本当におめでとう。そして勇気と感動をありがとう。
(yuri)