ヤマハ13年ぶり快挙。北米最高峰の2輪オフロードレース「AMAスーパークロス」450SXで2022年のチャンピオンに

■250SXウエストでも5年連続の王者

ヤマハ発動機(以下、ヤマハ)が、アメリカで最も権威があるオフロードレース「AMAスーパークロス」の最高峰クラス「450SX」と、その登竜門である「250SXウエスト」でダブルタイトルを獲得しました!

ヤマハが北米最高峰のAMAスーパークロス・450SXで2022年チャンピオン
AMAスーパークロスの最高峰クラスで13年ぶりの年間チャンピオンに輝いたヤマハのチーム

450SXでは、ヤマハのワークスチーム「モンスター・ヤマハ・スター・ヤマハレーシング450チーム(Monster Energy Star Yamaha Racing 450 Team)」から「YZ450F」で参戦した「イーライ・トマック」選手が第16戦デンバーで5位に入り、最終戦を待たずして年間王者を奪取。

また、250SXウエストでは、「モンスター・ヤマハ・スター・ヤマハレーシング250チーム(Monster Energy Star Yamaha Racing 250 Team)」から「YZ250F」で参戦した「クリスチャン・クレイグ」選手が、最終戦ソルトレイクシティで8位となり、自身初のタイトルを獲得しました。

450SXの年間チャンピオンは、ヤマハにとって、2009年のジェームス・スチュワート選手以来、13年ぶりの最高峰クラスにおける快挙。250SXウエストでは、2018年から5連覇を達成したことになります。

●スタジアムで行われるオフロードレース

AMAスーパークロスとは、AMA(アメリカモーターサイクル協会)が主催するオフロードレースで、AMAモトクロスと並びアメリカで最も権威がある大会です。

スーパークロスは、野球場などのスタジアムを舞台に、人工的に造られたタイトコーナーや多数のリズム&ジャンプセクションで構成する特設コースで行うオフロードレースです。

ヤマハが北米最高峰のAMAスーパークロス・450SXで2022年チャンピオン
AMAスーパークロスの250SXウエストで5連覇を達成したヤマハのチーム

主にウインターシーズンに開催され、2022年は1月8日の第1戦アナハイムを皮切りに、5月7日の最終戦ソルトレイクシティまで全17戦が実施されました(450SXの場合)。

開催クラスは、使用する車両の排気量により、4ストロークの450ccマシンなどで競う450SXと、4ストロークの250ccマシンなどで争われる250SXに分かれます。

そのうち450SXは、アメリカを中心に世界中からトップライダーが集うスーパークロスの世界最高峰クラスです。

また、一方の250SXは、450SXの登竜門的クラスで、若手ライダーが中心に参戦。大会が開催されるエリアでウエストとイーストという2つのシリーズ戦が設けられており、それぞれでチャンピオンを決定します。

ちなみに、AMAでは、自然の地形を利用したセクションを設けたアウトドアのダートコースを使うAMAモトクロスもあり、こちらは主にサマーシーズンに実施。ヤマハのワークスチームはこちらのシリーズ戦にも参戦しています。

●2020年以来、自身2度目のタイトル

そんなAMAスーパークロスの450SXで、前述の通り、ヤマハにとって13年ぶりの快挙となる年間チャンピオンをもたらしたのがイーライ・トマック選手。2021年シーズンまではカワサキワークスに所属、2022年シーズンからヤマハに移籍した実力派ライダーです。

ヤマハが北米最高峰のAMAスーパークロス・450SXで2022年チャンピオン
450SXの2022年チャンピオンとなったイーライ・トマック選手

2020年以来、自身2度目の年間タイトルを獲得したトマック選手は、2022年シーズンの開幕戦アナハイムで6位フィニッシュ。

レースを重ねるごとにYZ450Fとのマッチングも高まり、第3戦サンディエゴでは2位に入り初表彰台を獲得すると共に、年間ランキングでもトップに浮上します。

続く第4戦アナハイム2では初優勝、さらに1大会3レースを行い総合成績で順位を決めるトリプルクラウン・フォーマットの第5戦グレンデールで連勝。

そして、第8〜12戦で圧巻の5連勝を飾り、ランキング2位以下とのリードを拡大します。

シーズン終盤では、リスクをおかさないベテランらしい走りで、ライバルとのポイント差をコントロール。チャンピオンを決めた第16戦デンバーでは、ヒザの痛みもありリスクを回避する走りで5位に。それでも、ランキング2位で、この大会で優勝したJ・アンダーソン選手(カワサキ)との間に十分なポイント差を付けたことで、見事チャンピオンに輝いています。

●最終戦は転倒するも見事完走で王者に

一方、250SXウエストで年間チャンピオンに輝いたのは、クリスチャン・クレイグ選手。

ヤマハが北米最高峰のAMAスーパークロス・450SXで2022年チャンピオン
250SXウエストの2022年チャンピオンとなったクリスチャン・クレイグ選手

2021年シーズンは、イーストでランキング4位だったクレイグ選手は、2022年シーズンではウエストに参戦し、開幕戦から圧倒的な速さを見せて2連勝。

その後も第4戦、第6戦で優勝するなど順調にポイントを重ね、2位に18ポイント差をつけたまま最終戦を迎えます。

イーストとウエストのライダーが集結し、予選やヒートレースで勝ち残ったライダーが決勝に進むという形式で行われたメインイベント。クレイグ選手は、序盤こそトップ3圏内を走行したものの、途中で転倒。

それでも8位でチェッカーを受けたことでポイントを獲得。2位に十分な差を付け、自身初となるタイトルを獲得し、ヤマハに5連覇をもたらしました。

なお、ヤマハのワークスチームは、前述の通り、アウトドアで競われるAMAモトクロスにも参戦します。5月29日から第1戦が開催される予定で、全12戦を戦う予定です。モトクロスの方でも、ヤマハがどんな活躍を見せてくれるのか、とっても楽しみですね。

(文:平塚 直樹

この記事の著者

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平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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