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■悪路も楽しそうなアーバンアドベンチャー
イタリアのバイクブランド「アプリリア」の新感覚スクーターが「SR GT200」。
アーバンアドベンチャーという新しいコンセプトで開発された174ccモデルで、シティーコミューターとしてはもちろん、トレールタイプのタイヤやロングトラベルのサスペンションなどを装備することで、アウトドアやツーリングなど、幅広いフィールドで楽しめるモデルです。
そんな新型スクーターを、JAIA(日本自動車輸入組合)主催の輸入2輪車試乗会で乗ってきました! 試乗の舞台は、神奈川県の大磯ロングビーチ内にあり、直線路やパイロンスラロームなどが設けられた特設コース。
さて、一体、どんな素性を持ち、どんな乗り味のモデルだったのか? 早速紹介してみましょう。
●エンデューロバイクにインスパイア
SR GT200は、アプリリアが初めてリリースするアーバンアドベンチャーというタイプのスクーターです。
エンデューロバイクにインスパイアされたというこのモデルには、アップライトなバーハンドルやロングトラベル・サスペンション、ブロックパターンを持つトレールタイプのタイヤなどを装備。
ワイルドなスタイルと、オン・オフ問わず高い走破性をみせる究極のコントロール性能が特徴だといいます。要するに、オフロードバイク的要素を持ったスクーターということですね。
エンジンには、174ccの単気筒を搭載しますから、普通二輪免許さえ持っていれば高速道路も走れるし、街乗りはもちろん、バイク旅やちょっとしたダート道でも活躍しそうな予感です。
ちなみに、同じようなコンセプトのスクーターには、149cc・単気筒エンジンを搭載するホンダ「ADV150」がなどあり、このあたりがSR GT200の直接的ライバルだといえるでしょう。
●足着きはいいが車高は意外と高め
今回の試乗車は、インフィニティブルーの車体色を施したスタンダード仕様をベースに、フロントのロングスクリーン、パニアケースなどといったオプションを装着した仕様です。
ちなみに、車体カラーのラインアップには、スタンダード仕様にアプリリアブラック、ストリートグレー、それに今回試乗したインフィニティブルーの3色を用意。
また、ストリートゴールド、イリジウムグレー、レッドレースウェイから選べるマットカラーを施したスポーツバージョンもあります。
では、まず跨がってみましょう。意外に車高が高い感じですね。シート高は799mmですから、さほど高くないのですが、170mmという高めに設定した最低地上高や、前後サスペンションの沈み込み量が少なめなことで、ちょっと腰高に感じます。
とはいえ、身長165cm、体重59kgと小柄な筆者でも、片足ならカカトがベッタリと着きますし、車両重量も148kgと軽いですから、取り回しもかなり楽です。
ちなみに、車体サイズは全長1920mm×全幅765mm×全高1295mm。なかなかコンパクトなボディなので、狭い駐車場などでも安心して扱えそうですね。
●スムーズな出足で直進安定性も抜群
エンジンを始動させ、早速スタート。最高出力13kW(17.4HP)/8500rpm、最大トルク16.5Nm(1.68kgf-m)/7000rpmを発揮する単気筒エンジンは、出足からスムーズ。
トルクの谷を感じさせず、グングンと車速が伸びるので、ストレスなしに走れます。
フロント110/80-14・リヤ130/70-13サイズのタイヤは、ブロックパターン付きですが、ロードノイズもあまり感じさせず、舗装路でも結構静かです。路面のデコボコやギャップなどの上を走っても、サスペンションが上手く衝撃を吸収してくれることもあり、快適に走ることができます。
また、100km/h近い速度で走行した場合の直進安定性も抜群。オプションのロングスクリーンも防風効果はかなり高く、高速道路などを走る際に、疲労軽減にかなり貢献することが伺えます。
●切り返しでクイックに走れるのも好印象
フロントに260mmウェーブディスク、リヤには220mmディスクを採用した前後ブレーキも、とっても効きがよく、ブレーキレバーの入力に対し、リニアに制動力が出てくる感じで好印象でした。
一方、33mm径のショーワ製フロントフォークは、ダンパーがやや強めな印象。40〜50km/hくらいの速度から減速してコーナーに進入する際、初期の沈み込み量が少なめで、ちょっと倒し込みが重く感じます。
ワインディングやオフロードで走りを楽しむ場合なら、十分に踏んばってくれそうですが、低中速で街を流すような場合は、特にフロントのサスペンションは少し硬めな感じですね。ただし、一旦バンクを開始すれば、車体が俊敏にバンクする感じで、意外と軽快に走れます。
また、S字コーナーなどに見立てて、パイロンを左右に切り返した際も、アクセルのオンオフに車体がナチュラルに反応し、クイックな旋回性を見せるのも好印象です。
今回の試乗では、残念ながらオフロードまでは走れませんでしたが、前述した高めの車高やロングトラベルサスペンションなどの装備は、ちょっとした砂利道などでも高い走破性を見せてくれそうな気がします。
バータイプのハンドルやアップライトなポジションも、街やツーリングで楽なだけでなく、ダート走行で体重移動などがやりやすそうです。機会があれば、ぜひオフロード走行も試してみたいですね。
アスファルトから石畳、ダート道など、あらゆる路面で走りが楽しめるのが、このスクーターの良さ。通勤・通学などの普段の足からツーリング、それに人気のキャンプなどのアウトドアでも大活躍しそうです。
なお、価格(税込)は55万円〜56万1000円です。
(文:平塚 直樹/写真:小林 和久)