ホンダのEV戦略は地産地消!2024年前半までに100万円台の軽商用EV、パーソナル向け軽EVやSUV、アキュラブランドも投入へ

■次期NSXも含めたスペシャリティカー、フラッグシップカーの2台のEVも投入へ

2022年4月12日(火)、ホンダは四輪電動ビジネス、EV戦略を新たに発表しました。改めてアナウンスされた計画も含んでいます。

ホンダ EV戦略
2024年前半に日本向けに投入される商用の軽EV

注目ポイントは、

・2030年までにグローバルで30機種のEVを展開し、EVの年間生産200万台超を計画
・全固体電池の実証ラインに着手、約430億円を投資し2024年春に立ち上げ予定
・今後10年で研究開発費として約8兆円、電動化・ソフトウェア領域に投資も含め約5兆円を投入し、電動化を加速

などです。

ホンダ EV戦略
ホンダは2030年のEV生産台数を200万台以上とする目標を明らかにした

EVを地産地消とすることで高効率な開発を追求するとともに、従来のハードを売って終わりにするのではなく、OTA(Over the Air)などを活用したソフトウェアによるアップデートで稼ぐビジネスモデルを構築したいとしています。同時に、ホンダが培ってきた「走る、操る喜び」を電動化モデルでも実現していく覚悟、そして実際にそうしたモデルの投入にも触れられています。

ホンダ EV戦略
電動化後もホンダの走りを代表するスペシャリティカー、フラッグシップモデルが投入される

注目のEVは、まず現在から2020年代後半では、主要地域ごとの市場特性に合わせた商品の投入を掲げています。ホンダの主力市場である北米には、GMと共同開発の中大型クラスEVを2024年に2モデル投入。「ホンダ」ブランドは、すでにアナウンス済みの新型SUV「プロローグ」で、さらに「Acura(アキュラ)」ブランドとしてSUVタイプも発売されます。

ホンダ EV戦略
2つのスポーツモデルを予告した(フラッグシップ)

中国では、2027年までに10モデルのEVを投入する予定。そして、日本には、2024年前半までに、商用の軽EVを100万円台で投入すると明らかにされました。その後、パーソナル向けの軽EV、SUVタイプのEVを適時投入する予定としています。

EV化でネックになるのは、バッテリーの確保とコスト。液体のリチウムイオン電池では、地域ごとに手を組む相手を最適化。

ホンダ EV戦略
予告された2つのスポーツモデルのうちのスペシャリティカー

北米では従来から伝えられているように、GMとタッグを組み、GMから「アルティウム」を調達するほか、GM以外にも生産を行う合弁会社の設立を検討中としています。

EV大国の中国では、すでに発表されているCATLとの連携がさらに強化されます。

そして日本は、新たに発売される商用の軽EV向けに、元日産の子会社で、現在中国資本であるエンビジョンAESCから調達するとしています。

また、2020年代後半以降は、独自で進める次世代電池(全個体電池)の開発を加速させ、現在ラボで開発されている全固体電池の実証ラインの建設決定が明らかにされました。2024年春の立ち上げに向けて、約430億円の投資が計画されていて、注目の市販車への採用は、2020年代後半に投入されるモデルが目標として掲げられています。

EVの普及が進んでいる2020年代後半以降の戦略も発表されています。2020年代後半のEV普及期は、地産地消ではなく、グローバル視点でベストなEVを展開する構え。

ホンダ EV戦略
EV向けプラットフォーム「Honda e:アーキテクチャー」

EVのハードウェアとソフトウェアの各プラットフォームを組み合わせたEV向けプラットフォーム「Honda e:アーキテクチャー」が採用された商品が2026年から投入される予定です。2020年代後半には、次世代電池(全個体電池)の市販車への採用も目標とされています。

ホンダ EV戦略
全固体電池のラボレベルでの検証

加えて、こちらはすでに発表済みですが、GMとのアライアンスを通じて、コストや航続距離などで従来のガソリン車と同等レベルの競争力を持つ量販価格帯のEVを、2027年以降に北米から投入するとしています。

ホンダのEVは、2030年までに軽商用からフラッグシップクラスまで、グローバルで30機種を展開し、年間生産は200万台を超える計画が立てられています。

ホンダ EV
日本向けのEVラインナップ

なお、ソニーとの協業では、ホンダのラインナップとは一線を画すと改めて表明された一方で、このコラボから生まれた新技術が「ホンダ」ブランドのEVに採用される可能性にも改めて触れられています。

冒頭で、EV化されてもホンダらしさを追求する姿勢を紹介しました。その具体例として、スペシャリティカーとフラッグシップカーの2モデルのスポーツモデルを世界展開すると表明。そのうちの1台が新型NSXになるかは現時点では分かりませんが、大いに期待したいところです。

塚田 勝弘

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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