バッテリーが上がってしまった! そんな時はどうすればいいの?【クルマ豆知識・2022年版】

■気を付けていても陥るトラブル、すぐ近くに潜むバッテリー上がり

バッテリー
クルマのトラブルで最も多いバッテリートラブル。いつ起きるかわからない不測の事態に備えて、対処法を確認しておきましょう

例年、JAFの緊急出動理由のトップになっているのが、バッテリー上がりのトラブルです。

2020年度の年間出動理由では、出動理由全体の41.69%を占め、1位が過放電バッテリーによるトラブルです。汚破損・劣化バッテリーによるトラブルは3位にランクインしており、バッテリーが原因のトラブルは、出動全体の5割近くにのぼります。

今回は、明日は我が身に降りかかるかもしれない、バッテリートラブルが起きた時の対処法を解説していきます。

●クルマは電気で動いているといっても過言ではない

現在使用されているクルマのほとんどの機能は、電気がないと動きません。エンジンをかけるためにも電気が必要ですし、ライトをつけたり、オーディオを聞いたり、細かなところではスマートキーでドアを施錠・開錠したり、トランクやリアハッチ、電動スライドドアを開けるためにも電気が必要です。バッテリー上がりが発生すると、これらのクルマの機能がすべてストップする可能性があるのです。

●バッテリーが空っぽでドアも開けられない場合には?

バッテリー上がりにも2種類あり、ライトやオーディオなどは使えるが、エンジンをかけるには電力が足りないという「バッテリーに少し電気が残っている状態」と、ライトもオーディオも何もかも動かない「バッテリーに電気がほとんどゼロの状態」があります。

最近のクルマの多くはスマートキーやリモコンキーを採用しており、遠隔操作やドアノブへのタッチ操作で、ドアロックの開錠・施錠ができますが、バッテリー内に電気がスッカラカンの状態では、スマートキーでドアロックを開錠することもできません。車内に入ることができなければ、救援作業を行うためにボンネットを開けることもできません。

スマートキー
スマートキーに内蔵された、メカニカルキーの取り出し方や使い方、知っていますか?

スマートキーのリモコンでドアロックが開錠できない場合には、直接物理カギを差し込んでドアロックを開錠する必要があります。それぞれのスマートキーには、メカニカルキーと呼ばれる、差し込むタイプの一般的な鍵が搭載されているので、この鍵を使って、ドアを開けましょう。

一部高級車に採用されているようなカードキーにも、メカニカルキーは搭載されています。一度、ご自身のクルマのスマートキーを確認して、メカニカルキーの取り出し方を確認しておきましょう。取扱説明書のバッテリーあがりのトラブルの項目にも詳しく書かれています。

また、クルマのデザインの関係で、ドアノブにある鍵穴がカバーなどで隠されている車種もあります。ドアノブのカバーを外したり、ドアノブを引っ張ったりすることで鍵穴が出現するので、その場所も取扱説明書で確認しておきましょう。

●バッテリー上がりの対処法

ブースターケーブル
ブースターケーブルは赤と黒の線があり、赤はプラス、黒はマイナスにつなぎます

無事にクルマに乗りこめたところで、ボンネットを開けて、ジャンピングスタートを行う方法をご紹介します。これは、他のクルマから電気を分けてもらい、エンジンをかける方法です。用意するものは、ブースターケーブルと、バッテリーが元気なクルマ、そしてバッテリーが上がったクルマです。

こちらの方法は、ハイブリッド車、電気自動車、水素自動車を除く、ガソリンエンジン車を対象にしたジャンピングスタートの方法です。ハイブリッドカーではこの限りではありません。

1.救援車とバッテリーが上がったクルマ同士を近づけます。
2.救援車のエンジンをかけて、救援中もかけっぱなしにしておきます。
3.ブースターケーブルを準備し、バッテリーが上がったクルマのバッテリーのプラス端子に、ブースターケーブルの赤い線を取り付けます。
4.救援車側のバッテリーのプラス端子に、ブースターケーブルの赤い線の反対側を取り付けます。

バッテリー04
ブースターケーブルは、バッテリーの端子部分にしっかりと噛ませます。途中で外れないように注意しましょう

5.救援車のバッテリーのマイナス端子に、ブースターケーブルの黒い線を取り付けます。
6.バッテリーが上がったクルマの金属部分(エンジンフレーム等)に、ブースターケーブルの黒い線の反対側を取り付けます。この時、バッテリーが上がったクルマのバッテリーのマイナス端子に、ブースターケーブルをつながないように注意してください。
7.すべて装着が完了したら、バッテリーが上がったクルマのエンジンをかけます。
8.エンジンがかかったのを確認したら、ブースターケーブルを外していきます。取り付けた時の逆の手順で、バッテリーが上がったクルマの黒いケーブルから外していき、救援車の黒いケーブル、救援車の赤いケーブル、バッテリーが上がったクルマの赤いケーブルの順に外せば作業は完了です。

バッテリー上がりが起きたクルマは、そのまましばらくエンジンをかけておくか、少し走行して、バッテリーに充電が行えるようにしましょう。また、一度上がったバッテリーは、弱っている可能性があります。カーディーラーやガソリンスタンドなどでバッテリーの点検を行ってくれるので、早めに点検してもらい、充電する力が無かったり弱っているようであれば交換も必要になります。

●ちょっとの不注意でバッテリーは上がる

少し前まで元気に動いていたクルマでも、気温の変化や、不用意なライトの消し忘れ、バッテリーの劣化により、バッテリー上がりは起こり得ます。万が一のトラブルの際に慌てないように、対処方法をしっかりと頭に入れておき、スマートな対応ができるようにしておきましょう。

(文:写真 佐々木 亘)

※この記事は2022年2月4日に再編集しました。

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この記事の著者

佐々木亘 近影

佐々木亘

大学卒業後、銀行員になるも3年で退職し、大好きだった車の世界へ足を踏み入れました。自動車ディーラー営業マンへ転職し、レクサス・セールスコンサルタントとして自動車販売の現場に7年間従事します。
現在はフリーライターとして独立し、金融業と自動車ディーラーでの経験を活かして活動中です。車にまつわる金融・保険・法規などの、小難しいテーマを噛み砕き、わかりやすい情報へと変換して発信することを心がけています。常にエンドユーザーの目線に立った、役立つ情報を届けていきたいと思います。
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