2.4L直噴ターボ搭載のWRX S4には、スバルらしからぬ高級感も味わえた!【スバリストのアニキ・清水和夫試乗・動画】

■R32GT-RのATバージョン、みたいな?

●路面がチョイ残念(ウェット)だけど、もっとステアリングのダイレクト感が欲しい

待望のスバルWRX S4が、2021年11月25日に正式発表・販売されました。

清水和夫×WRX S4 STI SPORT R EX
清水和夫×WRX S4 STI SPORT R EX、さて、その評価は?

早速試乗したのは、スバリストのアニキとしてもお馴染みの国際モータージャーナリスト・清水和夫さん(※清水さんのことを「スバルの親分」と言わないのは、「スバルの親分は小関典幸さんという偉大なる大先輩がいらっしゃる」から)。

清水和夫×WRX S4 STI SPORT R EX
今回は、このWRX S4 STI SPORT R EXと、ベースグレードのGT-H EXを試乗した清水和夫さん

今回のWRX S4は、4グレードから成っています。ベースグレードのGT-H(400万4000円)、GT-H EX(438万9000円)。そしてSTI Sport R(438万9000円)、STI Sport R EX(477万4000円)のSTIバージョンです。

ちなみに「S4」の名は、4ドアのセダン?って思っていたのですが、「Sports performance」「Safety performance」「Smart driving」「Sophisticated feel」の『4つのS』からきているんですね。すみません…初めて知りました(汗)。

では、 WRX S4 STI SPORT R EXとWRX S4 GT-Hを試乗した、スバルを知り尽くす清水さんのインプレッション&ウンチク話を視てみましょう。(クリッカー:やすの)

●WRCで勝つためのSTI、このコはどうかな?

WRX S4 STI SPORT R EX
清水和夫×WRX S4 STI SPORT R EX。さてその評価は?

インプレッサWRX STIは、90年代前半に登場したクルマ。レガシィのホイールベースを100mm短くし、ラリーで勝つ!と作られたのが、インプレッサWRX STIです。

『WRX』の名前の由来はWRCで勝つためですが、でもWRCっていうとバレちゃうから、最後はXにしたんですね。日産でも『スカイラインGT-R』って言ったらバレちゃうからGT-Xという名で開発していたといういわれもあります。

WRX S4のエンジン
WRX S4のエンジン

GT-RはサーキットのグループAレースで勝つ。WRXはラリーのグループAで勝つために生まれたということ。このWRXは日本以上に、むしろ海外でブランドとしての神話が作られていますね。

このコたちは2ペダルのATなんだけど、WRXのDNAを色濃く持ったスポーツセダン。今回のS4には、新しいエンジンの2.4L直噴ターボが載り、一般道での乗りやすさとWRXが持つスポーツ性を加味したという、非常に贅沢なコンセプトで作られたクルマなので、本当にそうなっているのか検証してみたいと思います。

●凄い2.4L直噴ターボがあるもんだ! スバルじゃないみたい(笑)!

S4はレヴォーグの4ドアセダンと言ってもいいかな。エンジンが2.4Lの直噴ターボ。アメリカでは出ているんだけど、日本では初出しかな。

WRX S4 STI SPORT R EX
WRX S4 STI SPORT R EXでご機嫌テスト!

おぉ~速いな! もっと荒々しいかと思ったんだけど。凄い上質。

エンジンは400Nmくらいあるんだよね。なんだろ…昔のGT-RのATみたいな感じかな(R32GT-RにATは無いけど)。でも、GT-Rよりも乗り味が高級っぽいね。

このエンジン、スバルのエンジンとは思えないくらい静かでトルキー。次のアウトバックに欲しいなぁ。アウトバックはデカいんだけど1.8Lしかないからね。

ウーン、ステアリングを切ったときの手ごたえが甘いかな、ダイレクト感が無いというか、それかダイレクト感が感じられないくらい路面がぬれているのかもしれないけど。それにしてももうちょっと、ステアフィールに節度感があってもいいかな。

これ、今までのスバルじゃないです。高級っぽくて、静かでマイルドで乗り心地が良くて速い!

●ベースのGT-H、街中ならコッチがいいかも!

コチラはS4の普通バージョンですね。今度はトラコンの電子制御を使いながら試乗します。ドライブセレクターはエンジンの制御が違うのかな? タイヤはダンロップの245/40R18でSTIと同じ。

STIとどう違うんだろ、あまり差別化が分からないけど、こっちのほうがちょっとサスが柔らかいか…。

WRX S4 GT-H EX
WRX S4 GT-H EX

どっちがいいかって言ったら、サーキットは当然STIのほうがいいんだけど、一般道ならこっちのほうがいいかな、乗り心地がマイルド。

サスがつっぱらかっていないし、ハンドル切ると気持ちロールしながらノーズが入っていく感じ。それに前後のピッチングが少なく、フラットライド。ロールの感じはこっちのほうがいいね。

●日本車にはステアリングのダイレクト感が少ない

ウ~ン、同じスバル車でもBRZのほうがスポーツ性が高いというのは、速い遅いではなく、ステアリングを切ったときにS4はいまいちダイレクト感が無いという感じ。もうちょっとタイヤと路面のシビアな接地感を手のひらで感じたいんだよね。

清水和夫
STI仕様とベース車、もっと違いをわかりやすくしたほうがいいんじゃね~の?

今、ヨーロッパ車と日本車の一番の違いって言ったら、やっぱりこのステアリングの手ごたえ。日本のパワステメーカーももうちょっと頑張ってもらいたいし、OEMもそういうものを要求していかないとダメでしょ。

ということは、やっぱり評価するドライバーの技量と評価能力が必要だっていうこと。そのブランドに対してね。

今日乗ったこの2台、ちょっとロールもあるしマイルドな感じ。でもタイヤサイズもエンジンも一緒なので、STIとの差別化がちょっと少ないような気がするね。もうちょっと乗り味を離してもいいような気がしました。

(試乗インプレッション:清水 和夫/動画:StartYourEnginesX/アシスト:永光 やすの

WRX S4 STI SPORT R EX
WRX S4の主なスペック

【SPECIFICATIONS】
車名:SUBARU WRX S4
全長×全幅×全高:4670×1825×1465mm
ホイールベース:2675mm
トレッド(前/後):1560/1570mm
車両車重:STI SPORT R EX 1600kg/GT-H EX1590kg
最小回転半径:5.6m
エンジン:FA24/水平対向4気筒DOHC16バルブ デュアルAVCS 直噴ターボ“DIT”
エンジン排気量:2387cc
ボア×ストローク:94.0×86.0mm
圧縮比:10.6
最高出力:202kW(275ps)/5600rpm
最大トルク:375Nm(38.2kgm)/2000〜4800rpm
燃料:63L/無鉛プレミアムガソリン
燃料消費量(WLTCモード):10.8km/L
駆動方式:AWD(VTD-AWD 不等&可変トルク配分電子制御AWD)※6速MT ビスカスLDS付きセンターディファレンシャル方式AWD
トランスミッション:スバルパフォーマンストランスミッション(CVT)
サスペンション (前/後):ストラット/ダブルウイッシュボーン
ブレーキ (前/後共):ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ (前/後共):245/40R18
価格:STI Sport R EX 4,774,000円/GT-H EX 4,389,000円

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【関連リンク】

StartYourEnginesX
https://www.youtube.com/user/StartYourEnginesX

SUBARU WRX S4
https://www.subaru.jp/wrx/s4/?=pclineup

この記事の著者

清水和夫 近影

清水和夫

1954年生まれ東京出身/武蔵工業大学電子通信工学科卒業。1972年のラリーデビュー以来、スーパー耐久やGT選手権など国内外の耐久レースに参加する一方、国際自動車ジャーナリストとして活動。
自動車の運動理論・安全技術・環境技術などを中心に多方面のメディアで執筆し、TV番組のコメンテーターやシンポジウムのモデレーターとして多数の出演経験を持つ。clicccarでは自身のYouTubeチャンネル『StartYourEnginesX』でも公開している試乗インプレッションや書下ろしブログなどを執筆。
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