車検が終わったけど、車検証もステッカーもない! 忘れてはいけない1日車検後の対応とは?

■短時間車検や一日車検終了後、車検証の入替やステッカーの貼付など、大事な作業を忘れていませんか?

自動車ディーラーや車検整備専門店、カー用品店やガソリンスタンドに至るまで、車検整備を取扱うお店で増えているのが「短時間車検」や「一日車検」です。整備に出したその日のうちに愛車が戻ってくるので、クルマを使えない生活や慣れない代車に長期間乗らなくて済む、便利なサービスです。

しかし、一日車検が終わってクルマは返ってくるものの、車検証は無く、フロントガラスのステッカーも貼ってありません。あるのは、フロントガラスに貼られている見慣れない書類のみ。ちょっと不安になりますね。

そこで今回は、短時間車検や一日車検後に、ユーザーが行うべき作業を紹介しながら、見慣れない書類の正体などを解説していきます。

●自分のお店で検査ができる指定工場! でも車検証までは発行できない

街中に溢れている自動車整備工場には、様々な種類があります。まずは、原動機、動力伝達装置、走行装置、操縦装置、制動装置、連結装置を取り外して行う自動車の整備を行うために必要な「認証工場」です。

さらに、認証工場の中でも、検査ラインを持ち、自動車検査員を選任して検査を行う工場を「指定工場」と呼びます。これらの認証や指定を行うのは地方運輸局長です。短時間車検や一日車検が行える事業所は、全て指定工場になっているということになるわけです。

指定工場に車検を依頼した場合、指定工場では点検整備・検査を行った結果、問題が無ければ保安基準の適合性を証明し、保安基準適合証を交付します。保安基準適合証を運輸支局、自動車検査登録事務所等に提出することで、車検時に必要な運輸支局への車両持ち込みが省略できるのです。

保安基準適合標章
車検後にフロントガラスに貼られているのが、車検証の一時的な代わりとなる、適合標章です。

実際に指定工場が行えるのは、点検、整備、検査、保安基準適合証と保安基準適合標章の発行です。その場で新しい車検証を発行し、車検ステッカーを貼り付けることはできません。古い車検証を預かり、保安基準適合証等と一緒に、運輸支局へ書類を送ります。数日後、運輸支局から新しい車検証とステッカーが交付されるという流れです。

その間、ユーザーの手元には車検証がありません。また車検ステッカーはクルマから外されています。この状態では、公道を運行できるクルマかどうか区別ができないため、保安基準適合標章を貼り付け、クルマが安全に公道を走れる状態であることを証明します。これが、車検後にフロントガラスに貼付されている、大きく日付の入った書類です。

保安基準適合標章は、新しい車検証が手元に届くまでの間、クルマがルールを守って適切に整備され、走行することを許可されていることを証明するものになります。

●保安基準適合標章には、何が書いてあるの?

適合標章表
有効期限が大きく記された適合標章、普段はこの面が外を向いています。

保安基準適合標章の有効期限は、検査日から15日です。この期限を超えてしまうと有効性は無くなるので、期限内に車検ステッカーと貼りかえる必要がでてきます。

適合標章裏
標章を開くと、車検証と同様に、クルマの情報が細かく記載されています。

この保安基準適合標章には、標章の有効期限、検査番号、標章を発行した指定事業者名や所在地、検査を行った自動車検査員名が記載されています。また、車検証と同じ役割を持たせるために、クルマのナンバー、車台番号、使用者名と住所、乗車定員、最大積載量、用途、車両総重量、有効な自賠責保険の保険期間が明記されているのも特徴です。

車検を受けた直後で、車検証が手元に無い時期に、警察等から車検証の提示を求められたときには、保安基準適合標章が車検証の代わりを担ってくれます。

●車検整備後、クルマが戻ってきてから行うこと

短時間車検や一日車検が終わりクルマが戻ってきても、先に説明した通り車検証の原本や車検ステッカーはありません。3日~1週間程度で新しい車検証原本と車検ステッカーが運輸支局から発行されるので、車検整備を行ったお店へ行って受け取る必要があります。

車検ステッカー
車検証と一緒に送られてくるステッカー。小さくて、存在を見逃してしまうことも。

しかし、何度もクルマ屋さんに足を運ぶのも面倒ですね。そういった声もあり、カーディーラー等では、完成した車検証原本と車検ステッカーを、郵送で自宅に送付してくれることもあるでしょう。非常に便利なサービスですが、新しい車検証が届いたら、速やかにユーザー自身が必要な作業を行うことを忘れないでください。

まずは、車検証原本をクルマの中に保管します。一般的には車検証ケースに収納するということです。もう一つが、フロントガラスに貼ってある保安基準適合標章を剥がし、新しい車検ステッカーを貼付するという作業です。

車検ステッカーは、貼付するだけの状態になって送られてくると思いますが、透明シールと青いシールが別々の状態で送られてきた場合には、シール裏面の手順に従って、青いシールと透明シールを貼り合わせ、一つのシールにします。

車検ステッカー貼り方
台紙から上半分を剥がし、貼り付け作業を行うと、綺麗に仕上がります。

保安基準適合標章を剥がし、車内からフロントガラスに車検ステッカーを貼付します。ルームミラーの根元や、フロントガラス上部に、車検ステッカーを貼り付けるための場所が確保されているクルマもありますので、以前に貼ってあった位置を確認して、慎重に貼り付けてください。

ステッカーを台紙からすべて剥がしてしまうと、端の部分に指が触れてしまい、油分等が剥がれの原因となるので、台紙から半分剥がして貼り付けるのが、綺麗に車検ステッカーを貼り付けるコツになります。

車検ステッカー仕上がり
クルマの場合、車検ステッカーは必ず車内側から貼り付けます。

剥がした保安基準適合標章は廃棄します。重要な個人情報が載っているものなので、シュレッダーや細かく切り刻んで捨てることをおススメします。

●まとめ

週末にショッピングモールなどの大きな駐車場に行くと、期限切れの保安基準適合標章を貼り付けたままのクルマを見かけます。車検証の収容は覚えていても、ステッカーの貼り替えは忘れがちな作業です。

短時間車検や一日車検を受けた後は、新しい車検証を手に入れ、車検ステッカーを貼るまで、意識を高めておくといいですね。

(文・写真:佐々木 亘

この記事の著者

佐々木亘 近影

佐々木亘

大学卒業後、銀行員になるも3年で退職し、大好きだった車の世界へ足を踏み入れました。自動車ディーラー営業マンへ転職し、レクサス・セールスコンサルタントとして自動車販売の現場に7年間従事します。
現在はフリーライターとして独立し、金融業と自動車ディーラーでの経験を活かして活動中です。車にまつわる金融・保険・法規などの、小難しいテーマを噛み砕き、わかりやすい情報へと変換して発信することを心がけています。常にエンドユーザーの目線に立った、役立つ情報を届けていきたいと思います。
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