ポルシェがカスタマーモータースポーツ向けの最新コンセプトカー「ポルシェミッションR」を発表

■予選モードでは1100PSに迫り、0-100km/h加速は2.5秒を切る

ポルシェAGは、ドイツ・ミュンヘンで開催されている「IAA MOBILITY 2021」においてカスタマーモータースポーツ用コンセプトカーの「ミッションR」を公開しました。最先端技術と天然繊維強化プラスチックなどの持続可能な素材を活用し、ポルシェのモータースポーツへの情熱と融合したコンセプトカーで、クルマの未来を展望する意欲作。

ポルシェ・ミッションR
ポルシェ・ミッションRのエクステリア

全長4326mmのポルシェ・ミッションRは、現行の718ケイマンシリーズよりわずかに短いにもかかわらず、全幅はワイドな1990mmで、全高も1190mmと大幅に低く構えます。この低く構えたフル電動レーシングモデルである「ポルシェ・ミッションR」には、新開発された2つのモーターを搭載。

ポルシェ・ミッションR
ポルシェ・ミッションRのコクピット

予選モードで最高出力800kW(1,088PS)を発生し、約80kWhのバッテリー容量と革新的な回生システムによって、出力を失うことなく加速することが可能としています。予選モードで1,100PSをわずかに下回る「ミッションR」は、0-100km/h加速を2.5秒未満でクリアし、最高速は300km/h超を誇ります。サーキットでは、現行のポルシェ911 GT3カップと同じラップタイムで周回するそう。

新設計のモーターとバッテリーセル(革新的なダイレクトオイルクーリングを装備)により、レースモードでは500kW(680PS)の定出力を発生。ディレーティング(熱条件によるバッテリーの出力低下)も取り除かれています。

駆動方式は4WDで、320kW(435PS)のモーターがフロントアクスルを駆動し、リヤアクスルには最高出力480kW(653PS)が供給されます。充電は、高度な900Vテクノロジーとポルシェターボチャージャーによって、わずか15分で5%から80%まで充電することが可能で、最大340kWで充電することができます。

ポルシェ・ミッションR
ポルシェ・ミッションRのリヤビュー

また、ノーズセクションとリヤウイングに、ドラッグリダクションシステム(DRS)を備えた「ポルシェアクティブエアロダイナミクス(PAA)」も装備。こちらは、ノーズセクションの2つのサイドエアインテーク(各々3つのルーバー付)と、調整可能な2セクションリヤウイングで構成されています。

ユニークなのが、モノコックドライバーズモジュールがeスポーツシミュレーターとしても機能する点です。

ポルシェ・ミッションR
サステイナブルな素材を内外装に採用する

ポルシェのエンジニアとデザイナーが「exoskeleton(エクソスケルトン)」と命名した新開発のカーボンルーフ構造は、セーフティーケージとルーフパネルの組み合わせになっています。同モデルのボディは、主に天然繊維強化プラスチック(NFRP)製で、基本素材は農業で得られた亜麻繊維で作られているそう。

このエコロジーな素材は、フロントスポイラーリップ、ディフューザー、サイドスカートに使われ、インテリアドアパネル、リヤバルクヘッド、シートなどのインテリアにも幅広く使用されています。

インテリアでは、ステアリングホイールスイッチの間に配置されたディスプレイが特徴。レース中の関連データが表示され、ステアリングコラム上のモニターには、サイドミラーカメラとセンタールームミラーカメラの画像を映し出します。シートの右側にあるタッチディスプレイを使用すると、ドライバーの生体認証データを呼び出すことが可能。車内のほかの多数のカメラを使い、ライブストリームにシーンを提供することもできるそうです。

塚田 勝弘

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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