フルモデルチェンジを発表した日産「Z」にプロパイロットは付くのか?【週刊クルマのミライ】

■6速MTも用意するFRスポーツカー「フェアレディZ」に先進安全技術は採用されている…はず

アメリカで新型Zが発表されました。日本ではフェアレディZと呼ばれる、日産のスポーツカーは十分なパフォーマンスを比較的身近な価格帯で味わえるということを伝統としています。

2023 Nissan Z_USA
アメリカでは2022年春に発売開始を予定している新型Z。日本ではこの冬発表予定だ。

現時点では価格については正式発表されていませんが、リーズナブルな価格帯という伝統は受け継がれると期待されています。

パワートレインはVR30DDTT型 3.0L V6ツインターボで、トランスミッションは6速MTと9速ATを設定すると発表されています。そのスペックは405PS・475Nmというもので2シーターのスポーツカーとして十分なレベルといえます。

それにしても、2022年に発売するモデルとして純エンジンスポーツカーを用意するというだけでも驚きですが、MT(マニュアルトランスミッション)についても進化させています。

具体的には、クラッチディスクとギヤトレインの強化、新設計シンクロナイザーシステムの採用やシフトプロファイルの変更などによってV6ツインターボに対応しているということです。

2023 Nissan Z_USA
405PS、475Nmのスペックを誇る3.0L V6ツインターボを搭載。日産の後輪駆動車として初めて、停止状態からの加速性能のポテンシャルを最大限発揮するアドバンストローンチアシストコントロールシステムを搭載する。

フロントマスクは初代Z(S30)、テールレンズは元祖280馬力の4代目Z(Z32)をオマージュしたスタイリングも新型Zの魅力。1969年からの半世紀以上に渡るZの歴史を実感できるエクステリアとなっています。

インパネ中央に3連メーターを備えているのもZのヘリテージを感じさせます。ちなみに3連メーターは、左からブースト計、ターボ回転スピード計、電圧計となっています。ターボチャージャーの回転数を表示するメーターというのは非常に珍しいもので、その目盛りは25万回転まで刻まれています。

そんなコクピットの公表された写真をじっくり見ていくと、ひとつの発見がありました。

2023 Nissan Z_USA
日産の先進運転支援システム「プロパイロット」らしきボタンは確認できないが、ステアリングスイッチからACCは装備されているようだ。

ステアリングの右スポークにACC(アダプティブクルーズコントロール)らしき操作ボタンが置かれているのです。

一見すると単純なクルーズコントロールに見えますが、右下に車間距離の切り替えを示したボタンがあるので、ACCを装備していると判断できます。

そういえばフェアレディZの日本での発売時期を考えると、AEBS(衝突被害軽減ブレーキ)義務化の対象となります。

2023 Nissan Z_USA
先進安全装備については未公表だが、フロントバンパー中央にミリ波レーダーらしきカバーが確認できる。

となれば、前方の状況を検知するセンサーは必須です。そのセンサーを利用してACCを機能させるというのは自然な流れといえます。

ただし日産車でおなじみの青い「プロパイロット」のボタンは確認できません。つまり、車線中央維持のような機能を含むプロパイロットのような先進運転支援システムが新型Zに搭載されているとは判断できませんし、日産もプロパイロットの有無については明言していません。

なお、センサー類についても公式発表はありませんが、プレスフォトを見る限り、フロントグリルの中央付近にミリ波レーダーらしきものが設置されていること、フロントウィンドウ上部にカメラらしきものが設置されていることが確認できます。

こうしたセンサーセットであれば、かなり高度な運転支援システムの実現も可能となるはずです。

はたして新型Zはスポーツドライビング的な楽しみだけでなく、ロングツーリングをアシストするグランドツーリング性能も併せ持っているのでしょうか。そして、この位置にミリ波レーダーを置いているとして、日本のナンバープレートはどのようにセンサーを避けて配置するのか気になります。

自動車コラムニスト・山本 晋也

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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