未来のアウディデザインとテクノロジーを示唆するコンセプト「Audi skysphere concept(アウディ スカイスフィア)」は、可変式ホイールベースを採用

■バッテリー容量は80kWh以上で、0-100km/h加速はわずか4秒

アウディAGは、2021年8月10日(ドイツ現地時間)、新しいコンセプトカーシリーズの第1弾になる「Audi skysphere concept(以下Audi skysphere:アウディ スカイスフィア)」の写真を公開しました。

2ドアコンバーチブルのEVで、未来のアウディデザインを示唆するコンセプトモデルです。

アウディ スカイスフィア
「Audi skysphere concept(アウディ スカイスフィア)」のエクステリア

同モデルは、米国カリフォルニア州モントレーとその周辺で開催される自動車関連イベント「モントレー カーウィーク」の一環として、2021年8月13日にペブルビーチゴルフコースで公開されます。「アウディ スカイスフィア」は、伝説的なクラシックモデル「Horch 853 roadster(ホルヒ853ロードスター)」からインスピレーションを得たそう。

アウディ スカイスフィア
「アウディ スカイスフィア」のリヤビュー

「アウディ スカイスフィア」は、乗員に最大限の自由をもたらすため「グランドツーリング」体験と「スポーツ」体験という、2つの全く異なるドライビングプレジャーを享受できるように設計されています。

アウディ スカイスフィア
可変式ホイールベースをもつ「アウディ スカイスフィア」コンセプト

技術面での最大のトピックスは、「アダプティブホイールベース」という新技術。モーター、ボディとフレームコンポーネントが互いにスライドするという革新的なメカニズムにより、ホイールベース、全長を最大250mm可変させることができます。同時に、車高も10mmの範囲で調整され、快適性とドライビングダイナミクスが最適化されます。

ドライバーは、ボタンを押すだけで、好みの走行モードを自由に選択することが可能。「スポーツ」モードを選択すると、全長は4.94mになり、リヤホイールステアリング(4輪操舵)と相まって、俊敏に走らせることができます。

アウディ スカイスフィア
俯瞰からの「アウディ スカイスフィア」

自動運転を実現する「グランドツーリング(GT)」モードを選択すると、全長が5.19mに延長され、最大のレッグルームが確保されます。GTモードでは、ステアリングホイールとペダル類が乗員から見えない位置に格納されます。

自動運転機能を備え、乗員の現在地情報を取得して、その場所まで迎えに行ったり、駐車や充電を無人で行うこともできます。

先述した「Horch 853 roadster」との見た目のつながりは、サイズ、コンパクトなキャビン、長いボンネットを備えたプロポーションのみ。「Horch 853 roadster」のボンネットには、5.0Lの直列8気筒エンジンが搭載されていました。

アウディ スカイスフィア
デジタル化された「アウディ スカイスフィア」

一方で「アウディ スカイスフィア」のフロントアクスルとフロントウィンドウの間には、充電器、DC/DCコンバーターといった電気駆動コンポーネントに加え、「アダプティブホイールベース」用のアクチュエーターとエレクトロニック/メカニカルコンポーネントが搭載されています。

リヤアクスルに搭載されたモーターは、最高出力465kW、最大トルク750Nmを発生し、1800kgの同ロードスターを瞬時に加速させることができます。前後重量配分を約「40:60」に設定したことで、リヤアクスルに十分なトラクションが生まれ、0-100km/h加速はわずか4秒を実現するそう。

バッテリーモジュールは、主にキャビン後方に搭載されています。車両の重心を下げ、フットワークの向上に寄与。トランクには、専用デザインの2つのゴルフバッグを積載することが可能です。

アウディ スカイスフィア
「アウディ スカイスフィア」のシート

さらに別のバッテリーモジュールが運転席と助手席の間のセンタートンネル内に配置されています。バッテリー容量は80kWh以上で(予測値)、経済的な「GT」モードであれば、500kmを超える航続距離(WLTPモード)を実現するそう。

搭載されるサスペンションは、フロントおよびリヤともにダブルウィッシュボーン式。アッパーとロワーウィッシュボーンは、鍛造または鋳造アルミニウム製。

ステアリングは、前輪および後輪の両方を制御するステアバイワイヤシステムを介して行われ、システムはフロントアクスルに機械的に接続されていないため、ボタンにタッチするだけで、さまざまなステアリングレシオと設定を選択することができます。ステアリングを非常にダイレクトな設定から、快適性重視の設定まで、幅広く調整することが可能になるほか、駐車時には、ステアリング操舵力を変化させることもできるとのこと。

リヤアクスルステアリングと可変式のホイールベースは、車両の回転半径を小さくすることにも効果があります。

アウディ スカイスフィア
「アウディ スカイスフィア」のインテリア

サスペンションは、幅広い走行条件に対応し、最新世代のエアサスペンションを装備。3つの独立したエアチャンバーを制御することで、優れた快適性を実現するとしています。

加速時には、個々のチャンバーを無効にすることにより、スポーティな走りを実現。その際は、スプリング特性がよりプログレッシブな設定になり、ロールとピッチが最小限に抑えられます。

また、車高を10mm低下させることで、空気抵抗を減少させることも可能になります。このアクティブサスペンションは、コースティング(滑走)時に、個々のホイールを選択的に上下させることで、路面の凹凸やうねりを補正する役割も担います。ナビのデジタル予測機能とアクティブシャシーの高度なコントロール、作動システムを連動させることで実現。

アウディ スカイスフィア
「アウディ スカイスフィア」のシフトまわり

空力デザインが採用された23インチの合金ホイールには、285/30タイヤが装着されます。このタイヤは、転がり抵抗の低減と加速時やコーナリング時の優れたグリップを高次元でバランスさせているそうです。

いかにもコンセプトカーらしいデザインが与えられた「アウディ スカイスフィア」ですが、最近の傾向からしても同モデルのデザインや技術コンセプトが反映された市販車が登場することが期待されます。

塚田勝弘

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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