三億円事件が起きた1968年、伝説の自動車イベント「東京レーシングカーショー」の第1回が開催された!

■東京オートサロンの前身、第1回 東京レーシングカーショーが凄い!

●いすゞ・117クーペも発売された年、レーシングカーが熱かった

トヨタ2000GT
トヨタ2000GT 富士24時間出場車(トヨタ・モータースポーツ・クラブ)

1968年! それは、日本で三億円事件が発生し、世界ではキング牧師暗殺を発端とする全米各地の暴動や東欧の民主化運動プラハの春などがあった印象深い“動乱”の年です。

この年、東京の晴海では、オートスポーツを楽しむ会(会長:石原慎太郎)が主催となり「第1回 東京レーシングカーショー」が開催されました。

同イベントは、当時盛り上がりを見せる自動車レースに関わる人たちが、ファンの皆様にもっと間近でレーシングカーやドライバーを見てもらいたいという思いから始まりました。この後、第6回(1973年開催)まで続く伝説のカーショーのスタートです。

ホンダRA300
ホンダRA300 1967年イタリアGP優勝車(本田技研工業株式会社)

記念すべき第1回では、最新のレーシングカー78台が展示され、会期中の2日間で6万2000人の来場者を集めました。イベント終了後もこの熱気は自動車人気の隆盛とともに続き、現在に至る日本最大級の自動車イベント「東京オートサロン」(1987年〜)へと続く道を切り拓いたといえます。

今回、この時の会場の様子を見ることができる写真集がリリースされたので案内します。

「SAN-EI Photo Archives(三栄フォトアーカイブス) Vol.1 第1回 東京レーシングカーショー 1968|電子書籍」(発行:株式会社三栄)です。

こちらから、掲載写真をいくつかピックアップしてご紹介します。イベントの熱気と展示されたレーシングカー、そして、そこに関わる人々の息づかいが聞こえてきそうなビビッドなカットをご覧ください。

ちなみに、1968年はこんな新車が発売になっています。今では乗用車の製造をしていない、いすゞの名車117クーペが鮮烈なデビューを飾っています。

当時のカメラマンたちが残した写真群は、まさに見応え十分です。また、このイベントの公式パンフレット、および記録記事「オートスポーツ 1968年4月号」(抜粋)を掲載していますので、会場の雰囲気や、そこに映る人々が生きる時代背景までを感じ取ることができるでしょう。ぜひPCなどの大きな画面でご覧いただきたい一冊です。

いかがでしたでしょうか。クルマもさることながら、背景に映り込む来場者たちのファッションや表情に時代を見る思いがします。そしてクルマを愛する人の眼差しは、いつの時も変わらないのだなと、改めて思った次第です。

菅谷 紀之

【関連リンク】

SAN-EI Photo Archives(三栄フォトアーカイブス) Vol.1 第1回 東京レーシングカーショー 1968」
https://3a.as-books.jp/books/info.php?no=SPA20210630