独自の3気筒エンジンを積んだヤマハのストリートファイター「MT-09」がフルモデルチェンジして3代目となった

■エンジン、フレームを一新。走りを磨いた3代目MT-09の魅力は189kgの軽量ボディにあり!

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LEDテールランプはYをモチーフとした意匠となっている

2014年に初代モデルが登場、2017年に2台へとフルモデルチェンジしたヤマハのストリートファイター「MT-09」が3代目へと進化しました。

発売は、MT-09 ABSが2021年8月26日、そしてオーリンズサスペンションなどを採用したMT-09 SP ABSは7月28日となっています。メーカー希望小売価格は、MT-09 ABSが110万円、MT-09 SP ABSは126万5000円となっています。

スタイリングはもちろん、基本となるメカニズムもフルモデルチェンジにふさわしい進化を遂げています。

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888ccの3気筒エンジンは燃焼トルクをダイレクトに感じることのできるクロスプレーンコンセプトを突き詰めたものだ

エンジンはボア×ストロークが78.0mm×62.0mm、総排気量888ccの3気筒DOHCエンジンを新開発しています。圧縮比は11.5で、最高出力は88kW(120PS)/10000rpm・最大トルクは93Nm/7000rpm。900ccクラスとすれば十分なスペックです。

しかも、ピストン、コンロッド、クランクシャフト、カムシャフト、クランクケースなど主要パーツの多くを新設計したというほど完全新設計なパワーユニットとなっているのです。ヤマハが長年にわたって高めてきたクロスプレーンコンセプトの最新バージョンですから、ダイレクトにトルクを感じるようなエンジン特性が期待できます。

さらに燃料噴射系では、インジェクターの装着位置をシリンダーヘッドからスロットルバルブ側へ変えているのもポイント。これにより噴霧特性を改善したことで燃費性能の向上にもつなげているということです。

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最薄部で1.7mmという軽量アルミ製フレームを新設計。エンジン搭載角度も立て気味としてコンパクトにまとめている

エンジン設計では軽量化も考慮されたといいますが、それはフレームでも同様です。最低肉厚1.7mm(従来は最低肉厚3.5mm)という軽量なCFアルミダイキャスト製新フレームが新開発されました。肉厚を薄くしても、剛性が下がっているわけではありません。

全体のバランスを整えながら、横剛性を従来比で約50%アップすることで直進安定性に貢献しているというのがメーカー発表です。

リアアームはアルミパネルによるボックス構造、リアフレームもCFアルミダイキャスト製としたことで、フレーム関係だけで約2.3kgの軽量化を実現しています。

ハンドリングに貢献する要素としてはヘッドパイプの位置を30mm下げているのが注目の進化ポイント。これによりフロントの接地感が向上しているということです。

結果として、車体全体では従来モデル比で約4kgの軽量化を果たしたという新型MT-09ですが、軽量化にはアルミホイールも見逃せないアイテムとなっています。

ヤマハ独自の「SPINFORGED WHEEL」技術を採用したことで鋳造でありながら、鍛造並みの強度と靭性のバランスを実現した軽量アルミホイールを採用しているのです。

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ヘッドランプはLEDのバイファンクションタイプ。ゼロカバー造形によるシンプルかつ力強い顔となっている

軽さを視覚的に表現しているのが、ゼロカバー造形というコンセプトに基づくフロントマスクでしょう。ハイ/ロー一体式のバイファンクションLEDヘッドランプや、そのヘッドランプを挟む2つのLEDポジションランプは、凝縮感により力強いトルク感を表現したものということです。

じつは排気系にも凝縮というデザインコンセプトは採用されています。あえて箱型のサイレンサーとして、その左右からシンメトリーにテールパイプを出すというデザインを採用することで新しい表現とライダーを刺激するサウンドを実現したということです。

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エキゾーストシステムは、1.5段膨張室サイレンサーと左右シンメトリーのテールパイプを採用する

さらに吸気系においても異なる3本の吸気ダクトを与えることで、吸気サウンドを作り込んでいるといいます。パフォーマンスを聴覚でも感じられるのが新しいMT-09というわけです。

もちろん、実際のパフォーマンスにおいても進化しています。

車両姿勢をセンシングし、各種電子制御の肝となる「IMU(Inertial Measurement Unit)」は小型・軽量タイプを新設計、エンジンやブレーキ制御などに展開することで、そのトルクを存分に引き出した走りを味わうことができるというわけです。

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新開発のIMUを搭載することで高性能を手のうちに収めるアシストをしている

上級のSP仕様では、オーリンズ製リアサスペンション、DLCコーティングを施したフロントフォーク、ダブルステッチシート、塗り分け塗装のタンク、バフ&クリア塗装のリアアーム、クルーズコントロールなどで機能とディテールをアップしています。十分に価格差が納得できるだけの装備を与えられています。

シート高は825mm、車両重量は189kgですから、比較的小柄なライダーにもマッチしそうな大型二輪モデルのフルモデルチェンジです。

山本晋也

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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