電動キックボード、ついに歩行者に激突し首の骨を折る事故→ひき逃げ→逮捕。もし子供や年寄りだったら死亡です

■2人乗り30km/h出る電動キックボードでひき逃げ事件が起きていた

●基本的にはブレーキなし、1万円台から中国製が買える

2人乗りした電動キックボードが歩道で歩行者に背後から衝突し、首の骨を折る重症を負わせて逃亡するという事故が大阪で発生。目撃者情報や監視カメラの映像などで捜査したのだろう。犯人逮捕となった。

大阪府では昨年から人身事故2件。物損事故5件を確認しているという。東京でも電動キックボードの不正走行は増えており、今後大きな社会問題になりそうだ。

国沢氏所有の電動キックボード
国沢氏所有の電動キックボード

今回の事故を検証してみたい。場所は完全な歩道。車道と共有でなく、ガードレールで区分されていた。加害者は女性と2人乗りした電動キックボードで走行しており、そのまま歩行者と衝突したようだ。救護措置などは全く行わず逃げている。原付やバイクなら99%犯人逮捕に至る。

なのにNHKの報道を見たら「電動キックボードのひき逃げで利用者が摘発されるのは極めて異例です」。

事故も問題ながら、それ以上に驚くのは電動キックボード関連で取り締まるケースが非常に少ないと言うこと。ナンバーの付いていない電動キックボード、公道を走っているだけで違反だ。原付に区分されるため、免許を持っていなければその場で無免許運転になる。免許を持っていなかったとしても、自賠責保険に加入していないことで1年以内の懲役か50万円以下の罰金。

なのに警察はほとんど取り締まろうとしない。

TVニュースを見ても解る通り、もはや普通に街中を走っている。実際、ネット通販を見ると今や電動キックボードは人気商品で、たくさんの中国製品が並ぶ。安価タイプなら1万9800円。5万円も出せば今回の事故を起こした最高速30km/hくらい出る製品が買えてしまう。そして電動キックボード、基本的にブレーキは付いていない。

前輪駆動のタイプであれば、前輪は回生制動。安価な製品だとそれすらない。後輪は泥よけをタイヤに押しつけるタイプの減速装置しかついていない。

私が持っているセグウェイのナインボットという電動キックボードで運動性能チェックをしたことがある。この製品、標準的な前輪回生+後輪泥よけ式のブレーキを持つ。最高速はカタログ上で25km/hながら、28km/hくらい出ます。

●電動キックボードのブレーキ、自転車の2倍の制動距離に

ナインボットのフル制動テストを行うと、標準的な自転車の2倍以上の制動距離になってしまう。危険を察知したって止まれない。さらに回避性能(運動性能)だって極めて貧弱。

そもそも狙ったラインを走ろうとする「トレース性」は極端に悪い。自転車なら幅10cm程度の1本橋を走れるトレース性を持つものの、電動キックボードだと30cm幅も怪しい。雨が降ればタイヤのグリップだって極端に落ちる。

サンタモニカの電動キックボード
サンタモニカの電動キックボード

雨模様の日に2人乗りで30km/h近く出していたら、クルマのイメージでいえば雨の日に180km/h出しているようなもの。止まることや避けることが難しいだけでなく、重心バランスの悪い2人乗りだと極端な話、どこに行くのかコントロールすら出来ないと思う。

こんな危険な乗り物を野放しにしておく神経が理解出来ない。なぜ警察はもっとしっかり取り締まらないのだろうか?

●では、電動キックボードはどうすべき?

2つ理由があると思う。

1つ目は取り締まりの難しさ。1件1件調書を取り立証していかなければならない。裁判だって必要。自動車の交通違反のように免許証番号や違反者の名前を書くだけの書類だけ回せば処理出来るようなシステムになっておらず、警察も検察も裁判所も面倒くさがる。自転車の無謀運転を見逃しているのと同じ理由。今後も厳しい取り締まりは行わない?

2つ目は、先月警察庁の検討会が電動キックボードの意見書を出したが、それによれば15km/h以下の電動キックボードであれば免許も登録も不要で自転車扱いにするような内容だった。この報道が流れてから事実上の電動キックボード解禁のような状況になってしまっているようだ。だからこそ電動キックボードが街中でたくさん走るようなったんだと思う。無責任である。

どうしたらいいか?

最低でも電動キックボードは登録制にして保険加入を義務付ける。違反あったらクルマと同じよう反則金制度で取り締まれるようにしたらいいと思う。もちろん15km/h以上出るような改造も厳しく取り締まる。

そのくらいのことをやった上での電動キックボード解禁なら許容出来るんじゃなかろうか。電動キックボードを所有していると危険な乗り物だと明確に解ります。

参考までに書いておくと、電動キックボードも灯火類やブレーキ、バックミラーなど付ければ原付登録が出来る。現在レンタルしている電動キックボードは全てこのタイプ。

とはいえ、車道などを乗用車と一緒に走るのは安全といえない。前述の通り雨の日にグリップするようなタイヤ種別じゃないし、ライントレース性だってイマイチ。路面の目地などを斜めに通過すると転倒することもあるので注意を。

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