スバルマイスター清水和夫の3代目レガシィツーリングワゴン考「280ps自主規制の中、マルチリンクになって走りもユーティリティも格段にアップ!」BH5編【SYE_X】

■歴代レガシィツーリングワゴンを清水和夫が一気乗り!

●280ps自主規制、ビルシュタイン、マルチリンクで更に磨き上げられた3代目BH5

2020年10月15日、自動運転レベル2も可能(渋滞時の高速道路限定で!)とするアイサイトXが搭載された新型レヴォーグが登場。それを機に、国際モータージャーナリストでありスバルスペシャリストの清水和夫さんがレヴォーグの原点、レガシィツーリングワゴンを歴代一気乗りしました。

「平成の始まりと同時に運命を持って生まれた」初代BF5「シーケンシャルツインターボ・パワーを手に入れた」2代目BG5を紹介、そしてお待たせしました! 今回はレガシィ歴代人気度No.1との声も聞こえるBH5です。

●280ps自主規制があったからこそ磨かれたハンドリング性能

清水和夫の歴代レガシィ一気乗り
清水和夫の歴代レガシィ一気乗り! 今回は3代目のBH5。

初代レガシィが登場(1989年2月発売)してから約10年、1998年6月に3代目BH5が発売されました。

「1989、1990年辺りに出たGT-RやNSXなどの日本車は、『280ps自主規制』というのがあったんです。これは六法全書に書かれているレギュレーションではなく、国土交通省、警察庁と自工会が『まぁ280ps上限にしたほうがいいよね…』というような感じ。

でも私は、この280ps規制があったおかげで、日本にハンドリング・オタクのクルマがいっぱい出てきたのだなと思います」(清水)。

BH5のサイドビュー
一躍人気車に押し上げたといってもいいレガシィツーリングワゴン・BH5。

それはどういうことなのでしょう?

「エンジンパワーを上げて速くするのではなく、シャシー性能でクルマの走りを良くする。ずっと日本車が追い求めていたんですね」(清水)。

レガシィツーリングワゴンも2代目、1996年6月のビッグマイナーチェンジでGT-Bが280psになりましたね。

清水和夫さん
動画で試乗インプレしているのは、お馴染み国際モータージャーナリスト・清水和夫さん。

「自主規制の上限は280ps。2代目でようやくシーケンシャルツインターボになったことでレスポンスは良くなったんですが、当初は250ps。でも、世の中的には280psのクルマがいっぱいいたので、なんとかスバルもそこに行きたい!ということで、GT-Bのマニュアル車のみ280psになりました」(清水)。

4ATは260psに抑えていますが…なぜなのでしょう?

BH5のコクピット
BH5のコクピット。今見ても古さはさほど?感じません。

「馬力はトルク×回転数みたいなところがあるので、無理くり回転数を上げれば280psいっちゃいます。が、トルクコンバーターの許容回転数、耐久性を考えて、ATはちょっと控えめに260ps。しかし、それはピークパワーの話なので、ソコに行く途中のエンジンのレスポンスやトルクは、MTの280psとATの260psの違いは無いですね。むしろ、ATのほうが加速のトルク切れ、クラッチを切っている時間が無いので、0-100km/hはATのほうが速いのではないかと思いますね。実際に乗ってみても、2代目初期の250psと比べると進化していますよね。

3代目280psエンジンはさらにピュンピュン、ターボのウエイストゲートの音がするくらい男のコっぽいターボエンジンになった感じ」(清水)。

BH5のエンジン
レガシィツーリングワゴン、BH5の水平対向エンジン。

フットワークはどう変わったのでしょうか?

「2代目と違ってビルシュタインも上手く履きこなしているので、乗り心地も良くなっています。

大事なことは、3代目からリヤサスがスバル初のマルチリンクになったこと。その意味は、運動性能や乗り心地もあるのですが、ワゴンの荷室を広く使いたい…ということ。ストラットだとどうしてもリヤのワゴンラゲッジの中にバケツをひっくり返したようなものが付くのですが、それが無いだけリヤのラゲッジの横スペースを広く使え、ワゴンとしてのユーティリティも上げています」(清水)。

総合的に見た3代目レガシィツーリングワゴンの清水考は?

BH5レガシィツーリングワゴン
初代、2代目、そして3代目と進化し続けるレガシィツーリングワゴン。

「初代から見ていくと、安全性は1mmも動かない哲学があり、ユーティリティはどんどん良くなる法華の太鼓! エンジンはやはりホットワゴンというかツーリングワゴンとしての走りをどんどん磨き上げてきた、約10年間のレガシィツーリングワゴン3代目がここにあったわけですね。

これで、このクルマを乗りながら20世紀という時代の幕が下りました」(清水)。

「そうそう、このモデルからFFが無くなりました。それには逸話があり…」(清水)。

…の続きは清水和夫さんしか知らない!?ここダケの話的な(笑)。動画でぜひ!

(試乗:清水 和夫/動画:StartYourEnginesX/文:永光 やすの

■SPECIFICATIONS
●スバル レガシィ ツーリングワゴン GT-B(BH5/1998年6月)
全長×全幅×全高 mm:4680×1695×1485
ホイールベース mm:2650
トレッド F/R mm:1465/1460
車両重量 kg:1510(AT)/1480(MT)
エンジン:EJ20 水平対向4気筒DOHCシーケンシャルツインターボ
排気量 cc:1994
圧縮比:9.0(AT)/8.5(MT)
最高出力ps/rpm:260/6000(AT)/280/6500(MT)
最大トルクkgm/rpm:32.5/5000(AT)/35.0/5000(MT)
駆動方式:フルタイム4WD
サスペンション:ストラット式独立懸架/マルチリンク式独立懸架
ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F/R共)
タイヤサイズ:215/45R17 (F/R共)
車両本体価格(税込/発売当時):296万円(AT)/290万円(MT)

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【関連リンク】

StartYourEnginesX
https://www.youtube.com/user/StartYourEnginesX

この記事の著者

清水和夫 近影

清水和夫

1954年生まれ東京出身/武蔵工業大学電子通信工学科卒業。1972年のラリーデビュー以来、スーパー耐久やGT選手権など国内外の耐久レースに参加する一方、国際自動車ジャーナリストとして活動。
自動車の運動理論・安全技術・環境技術などを中心に多方面のメディアで執筆し、TV番組のコメンテーターやシンポジウムのモデレーターとして多数の出演経験を持つ。clicccarでは自身のYouTubeチャンネル『StartYourEnginesX』でも公開している試乗インプレッションや書下ろしブログなどを執筆。
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