え…ドアが無い?Walter Wolf Racing代表が自作した摩訶不思議なヴァナゴン登場【東京オートサロン2021】

■Walter Wolf Racing ヴァナゴン【アジア工業】

アジア工業の代表がウォルター・ウルフ氏と親交があるということで、Walter Wolf Racing(ウォルター・ウルフ・レーシング)の名称を日本で使うことが許されているという……なんだかすごい話なのですが、そのWalter Wolf Racingとして出品したフォルクスワーゲンがこれまたすごかったです。

ウォルター・ウルフ・ヴァナゴン フロントスタイル
ウォルター・ウルフ・ヴァナゴンのフロントスタイル
ウォルター・ウルフ・ヴァナゴン リヤスタイル
ウォルター・ウルフ・ヴァナゴンのリヤスタイル

オートサロンTV撮影のために待機していると、ほかの出展社や関係者が次々に近寄ってクルマに見入るのです。間違いなく、今回の出展車のなかで1、2を争うインパクトをもつクルマでした。

このクルマにはオリジナルモデルがあって、それはアメリカ人のロン・ベリー氏が作った「サーフシーカー」というクルマです。アジア工業代表はこの「サーフシーカー」を購入するためにアメリカまで出向いたのですが売ってくれず、それなら作っていいか?と許可をもらい、自社で約2年半の歳月を掛けて作り上げたということです。

ウォルター・ウルフ・ヴァナゴン フロントドア
運転席への乗り込みはイセッタのようにフロントセクションを開けて入る
ウォルター・ウルフ・ヴァナゴン 運転席
ルーフは低めで運転姿勢は猫背気味になる
ウォルター・ウルフ・ヴァナゴン メーター
メーターはフロントドアに取り付けられる

ベースとなっているのは1989年型のフォルクスワーゲン・ヴァナゴンです。

ヴァナゴンのパーツで使われているのはエンジン、ミッション、シャシーの一部といったものだけで、あとは基本的にワンオフで作り上げているのです。

資料は写真のみで、それを元にして手作りでクルマを作り上げています。ホイールベースはノーマルよりも1m短縮され、そこに24インチのホイール&タイヤを付けているので、前後輪はかなり近くに感じます。

ウォルター・ウルフ・ヴァナゴン ABCペダル
ABCペダルは床から生えるタイプ
ウォルター・ウルフ・ヴァナゴン 窓
内側から見ると窓にはウッドの窓枠が取り付けられ暖かい雰囲気

アジア工業では100年前のクラッシックカーを当時のままに復元することも可能で、3Dデータなどに頼ることなく写真だけでもここまでやれるということをアピールしています。

ウォルター・ウルフ・ヴァナゴン エンジン
エンジンはヴァナゴンのものをノーマルで使う
ウォルター・ウルフ・ヴァナゴン 真横スタイリング
真横から見ると前後輪がかなり近いのがよくわかる
ウォルター・ウルフ・ヴァナゴン 正面スタイリング
正面からみると全幅と全高がほぼ同じなのがわかる

●Walter Wolf Racing(ウォルター・ウルフ・レーシング)/フォルクスワーゲン・ヴァナゴン/ベース車両メーカー(フォルクスワーゲン・ヴァナゴン)/装着パーツなど:ボディ上部:パールホワイト・ステンレス製モール鏡面仕上げ/ボディ下部:メタリックオレンジ/ビニールレザー天井/窓枠額縁/ビニールレザー内壁/ポリエステルカーペット床/ウルフレーシングオリジナルホイール(前:24×9.0J、後ろ24×11.0J)/タイヤ(255/130R14、295/135R24)

(文・写真:諸星 陽一)

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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