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■使ったことがあるサービス1位は「個人間カーシェア」
今や1兆円を超える市場規模といわれているCtoCサービス(Customer to Customer)。これは、個人間でモノやサービスを売買し合うというもので、最もメジャーなのはメルカリやヤフオクなどのフリマサービスや民泊などですが、クルマ関連でも個人間で車両や駐車場の貸し借りをするCtoCシェアリングサービスが近年続々と登場しています。
そんな中、貸し駐車場やカーシェアなどを手掛ける「パーク24」では、同社が運営するドライバー向け会員制サービス「タイムズクラブ」の会員5051名を対象に、「移動に関連するCtoCシェアリングサービス」についてアンケートを実施。
その結果、全体の48%の人が利用経験者で、使ったことがあるサービスで最も多いのは「カーシェア(借りる側)」だということが分かりました。
●車両や駐車場の貸し借りサービスがある
クルマ関連のCtoCシェアリングサービスには、たとえば、クルマの所有者と利用者が個人間で貸し借りをするCtoCカーシェアがあります。DeNA(ディーエヌエー)が運営する「Anyca(エニカ)」や、中古車大手ガリバーを手掛けるIDOM(アイドム)の「GO2GO(ゴーツーゴー)」などが有名です。
また、空いている駐車場などをオーナーと利用者の間で貸し借りできる駐車場シェアサービスなどもあり、スマホのアプリやウェブで駐車場を予約できる「Akippa(あきっぱ)」や、今回アンケートを実施したパーク24グループが運営する予約制駐車場「B」などが代表例です。
これらサービスは、海外でも欧米を中心に徐々に普及してきていますが、国内では前述のフリマサービスや民泊ほどには、まだ一般的ではないイメージがあります。では、実際の利用状況などはどのような感じなのでしょうか。
今回のアンケートは、そういったクルマ関連のCtoCシェアリングサービスに関する実態を調査したものです。調査は、前述の通りパーク24が運営するドライバー向け会員制サービス「タイムズクラブ」の会員5051名を対象に、インターネットにより2020年9月1日~2020年9月7日の間で実施されました。
ちなみに「タイムズクラブ」とは、パーク24が運営するタイムズパーキングやタイムズカーレンタル、タイムズカーシェアの利用などでポイントがたまるなどのサービスがある会員制ポイントプログラム(2020年11月末現在で会員数約858万人)。
また、今回のアンケートは駐車場やカーシェア、レンタカーなど、同社のクルマに関わるサービスを利用した人たちが対象となっています。
●20代以下と60代以上で半数以上
アンケートでは、まず「国内外問わず、CtoCシェアリングサービスを使ったことがあるか」を質問。その結果、使ったことが「ある」人は48%で全体の約半数を占めています。また、「ある」と答えた人を年代別で見てみると、最も少ない40代でも45%、20代以下と60代以上では半数以上を占めています。
さらに、調査ではクルマ関連のCtoCシェアリングサービスを使ったことが「ある」と回答した人に、利用したサービスも質問。
その結果、「カーシェア(借りる側)」が89%で最多に。次いで「駐車場シェア(借りる側)」40%、自転車を個人間でシェアする「サイクルシェア(借りる側)」が26%となりました。
1位の「カーシェア(借りる側)」は、年代別でも全年齢層で85%を超える結果に。2位「駐車場シェア(借りる側)」の年代別構成では、50代が45%で最多となっています。
なお、貸す側としての利用は全てのサービスにおいて3%以下となっており、現状では貸す側の利用はまだまだ少ないことが分かります。
●利用したきっかけは?
次に、借りたことがある人に「利用したきっかけ」を聞いたところ「借りられる場所が近くにあったから」が最多の69%に。以降、「便利だから」59%、「使いやすかったから」16%、「友人・知人に勧められて」8%と続いています。
また、「借りられる場所が近くにあったから」と答えた人にどんなサービスを利用したのかを聞いたところ、「駐車場シェア(借りる側)」が74%となり、他サービスよりも5ポイント高い結果となっています。
アンケートでは、さらにCtoCシェアリングサービスの経験者に「利用した感想」も聞いたところ、「簡単に利用できた」73%、「また利用したい」57%など、前向きな感想が半数を超える結果になっています。
また、使ったことがない人に「どのようになったら利用するか」を聞いたところ、「近くに利用できる場所ができたら」52%、「料金がもっと安くなったら」39%、「安心できる補償制度ができたら」17%でした。なお、「そのほか」では「BtoC(Business to Consumer)サービスのような安心感を感じられたら」といったコメントがあったようです。
個人間で貸し借りするタイプのカーシェアなどでは、事故などで貸した側と借りた側に起こるトラブルなどについて不安感があり、なかなか利用に踏み切れない人も多いと言われます。こういったコメントは、そのような心配の現れのようですね。
●コロナ禍のクルマ移動に今後どう影響する?
日本におけるクルマ関連のシェアリングサービスでは、企業が用意したクルマを複数人で利用するBtoCカーシェアの方が、タイムズやオリックスなどが全国展開していることもあり、現在ではかなり一般的になってきました。その点、CtoCシェアリングサービスは、まだまだ普及していないといえるでしょう。
ただし、駐車場のシェアリングサービスについては、コロナ過の影響で利用者が増加傾向だといわれています。これは、公共交通機関よりも「密」を避けやすいクルマの移動を選ぶ人が増えていることで、都市部などで駐車場のニーズが高まっていることが関係しているようです。
いずれにしろ、これからのニューノーマル時代にクルマに関わる新しいビジネスとして、CtoCシェアサービスが今後増えていき、日本で根付いていくのかが気になるところです。
(文:平塚 直樹 *写真は全てイメージです)