■今の時代にピッタリの走りと実用性
エクリプスクロスPHEVは、富士スピードウエイのショートサーキットでプロトタイプを、発売翌日に日本EVクラブ主催のEVフェスティバルの場で市販モデルを試乗していますが、今回は御殿場&箱根周辺の公道をベースにワインディングと高速道路の試乗が叶いました。
まずはワインディングでの試乗です。ワインディングでは1805mmというワイドボディを感じさせない軽快な走りが楽しめました。
エクリプスクロスPHEVはピュアエンジンモデルに比べて400kg弱重いのですが、その重さをまったく感じさせないのです。ピュアエンジンモデルは1.5リットルの4気筒で150馬力、PHEVは2.4リットルで128馬力のエンジンですがフロントに82馬力、リヤに95馬力のモーターが組み合わされています。PHEVのパワーユニットは約400kgの車重アップをものともしないのです。
前述のようにエクリプスクロスPHEVはリヤモーターのほうが出力が大きい設定で、これだけでもコーナー入り口でフロントがグッとインを向くタイプの設定なのです。
さらにエクリプスクロスPHEVには、ランサーエボリューションなどで培ってきた車両運動統合制御システム「S-AWC」を採用しています。これは4WD、AYC(アクティブ・ヨー・コントロール)、ASC(アクティブ・スタビリティ・コントロール)、ABSを統合的に制御するもので、コーナー入り口から出口まで、4輪へのトルク配分を適切にコントロールしてくれるため、コーナー進入時の回頭性も脱出時のトラクションの掛かりもいいのです。
加えてエクリプスクロスPHEVは走行モードがノーマル、スノー、グラベル(未舗装路)、ターマック(舗装路)と4種類用意され、ワインディングではターマックで走ることでSUVであることを忘れてしまうような機敏で軽快な走りができます。
箱根のワインディングを走っている感覚はハッチバックスポーツのようなものでした。
場面を高速道路に移すと、ゆったりと落ち着いた走りをみせます。走行モードはノーマルがマッチしました。
ACCはMグレード以外に標準装着となります。先行車との車間距離を調整するタイプですが、車線維持は行いません。追従は渋滞時でも行われるとのこと(試乗中に渋滞の場面はなかったので未確認です)なので、ハイシーズンのロングドライブでも快適な移動が可能です。
ACC作動中、先行車に追いついてからの車線変更、そして再加速はスムーズです。さらに強い加速が欲しければアクセルを踏めばよく、その際の加速は力強く、そして刺激的です。
エクリプスクロスPHEVはアウトランダーPHEVに比べるとシャープでスポーティなスタイリングをしています。
それと引き替えにラゲッジルーム容量は少し落ちるのですが、それでもラゲッジルームの最大荷室長(2名乗車時)は1540mm、最小荷室幅は1000mm、最大荷室幅は1260mmを確保し、定員乗車時でもゴルフバッグ3個の搭載が可能です。ちなみにガソリンエンジンモデルは最大荷室幅が1330mmとなり、ゴルフバッグ4個の搭載が可能となっています。
エクリプスクロスPHEVは充電することができるハイブリッド車です。このためハイブリッド車よりも大きく、EVよりも小さいバッテリーを搭載します。
エクリプスクロスPHEVの走行用バッテリーはリチウムイオン電池で、容量は13.8kWhです。バッテリーだけで走れる距離はWLTCモードで57.3kmとなっています。これがEVならば航続距離はとても短いですが、PHEVの場合はエンジンが始動し充電しつつ走行します。ハイブリッド燃料消費率はWLTCモードで16.4kmなので、燃料タンク容量の43リットルを掛けると700kmオーバーとなります。
ラゲッジルーム内にはAC100V(1500W)のコンセントを装備。V2H(Vehicle To Home)機器を経由すれば一般的な家庭10日分の電気の供給も可能となっています。2020年12月の関越自動車道立ち往生事案や、地震、台風など自然災害が多い日本においてはPHEVは、現段階でちょうどいいシステムだと言えます。
(文・写真:諸星 陽一)