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■運転条件に応じて供給燃料を調整するため、ベンチュリー径を可変化
●バイク用として代表的なのは、CV型キャブレターとVM型キャブレター
バイク用のキャブレターは、低速から高速まで適正な混合気をエンジンに供給するため、通常はベンチュリー径を可変にする可変ベンチュリー型が使われます。可変化する方法としてCV型とVM型の2種類があります。
CV型とVM型キャブレターの可変ベンチュリーの構成と作動について、解説していきます。
●可変ベンチュリーの必要性
キャブレターでは、吸気の流れの中に流路を絞るベンチュリーを設けて、吸入空気がベンチュリー内を通過するときに発生する負圧を利用してガソリンを吸い出します。吸い出された霧状のガソリン噴霧は、吸気の流れに乗って吸気ポート内で混合気を形成します。
ただしベンチュリーは絞りなので、最高回転20,000rpm程度まで回転するバイクでは高速で大きな吸気抵抗になり、また運転状況に応じて適正なガソリン量を供給することは困難です。この対策として、通常はエンジン回転やアクセル操作に応じてベンチュリー径を可変化する可変ベンチュリー型を採用します。
可変ベンチュリー型のキャブレターとしては、可変化するサクションピストンの作動方法の違いによってCV型とVM型に分けられます。
●CV(コンスタント・バキューム)型キャブレター
CV型は、アクセル開度に連動するバタフライ型のスロットルバルブと、吸入空気によって発生する負圧によってベンチュリー部の径を変化させるサクションピストンで構成されます。
サクションピストンは、サクションチャンバーの中にありスプリングによって押し下げられます。サクションチャンバー下側は大気圧、上側は吸入空気の負圧になっており、増減する負圧によってサクションピストンが上下に移動してベンチュリー径が可変します。
・アイドル時
スロットルバルブが閉じているので、吸気量が少なく発生する負圧は小さくなります。サクションチャンバー内に作用する負圧が小さいので、サクションピストンはバネ力で押し下げられ、ベンチュリー径は狭まります。
・アクセル開時
スロットルバルブが開くので、吸気量が多く発生する負圧は大きくなります。サクションチャンバー内に作用する負圧が大きいので、サクションピストンはバネ力に勝って押し上げられ、ベンチュリー径は広がります。
エンジン回転のつながりがスムーズで扱いやすく、燃費も良いので4ストロークエンジン車に採用されてます。2ストローク車では、吸入負圧が小さく安定しないため使われません。
●VM(バリアブル・マニホールド)型キャブレター
CV型では、サクションチャンバー内の圧力差でコントロールしていたピストンの動きを、VM型ではアクセルワイヤーで直接開閉します。アクセルが開くとサクションピストンが持ち上がるため、ベンチュリーの面積が広がり、多くのガソリンが吸い出されます。
アクセル開度の1/2ぐらいまでのエンジンの応答性はCV型より優れていますが、アクセル操作によって吸入空気量と関係なくベンチュリー径が変化するため、急激なアクセル操作を行うと混合気の混合比のバランスが崩れます。
サクションピストンを直接アクセルで作動させるため、レスポンスが良いので2ストロークエンジン車に採用されます。また、4ストロークのレーシング車にも使われる場合もあります。
ベンチュリーを可変化するサクションピストンの制御を、CV型キャブレターは吸入負圧によって、VM型キャブレターはアクセルワイヤーによって直接行います。CV型は、回転のつながりがスムーズなので4ストロークエンジンに使われ、VM型はレスポンスが良いので2ストロークエンジンに採用されます。
(Mr.ソラン)