レクサス初の市販EV「UX300e」、2020年度分はわずか135台。価格は580万円〜635万円

■期間限定の受付で抽選販売になる!?

レクサス UX300e
レクサス「UX300e」のエクステリア

2020年10月22日、「レクサス」ブランド初となるEV市販モデル「UX300e」が発表されました。

2020年度分は135台の限定で、商談申込み(抽選)の受付がスタートしています。申し込みはレクサスの公式Webサイト上から、10月22日(木)13:30から11月4日(水)23:59までの期間になり、当選者には指定の販売店から連絡があり商談が開始されるそう。

注目の航続距離は、WLTCモードで367km(バッテリーは54.4kWh)。充電時間は、急速充電(DC)50kW(充電電流・供給電圧:最大125A)は、75%まで約50分、同100%まで約80分。また、普通充電(AC)3kW(充電電流・供給電圧:16A・200V)は、100%まで約14時間となっています。

「UX300e」の価格は、「“version C”」が580万円、「“version L”」が635万円です。

EVのパッケージングを大きく左右するバッテリーパックは、井桁形状の鋼鉄製アンダーフレーム上に搭載することで、路面からの衝撃を軽減するほか、フロアと面で固定することでキャビン全体の剛性を向上させています。また、フロントはサイドメンバー間をクロスメンバーでつなぐと共に、ステアリングギヤボックスにブレースを追加することで、締結点の剛性を向上。

レクサス UX300e
レクサス「UX300e」のバッテリーパック

さらに、リヤエンドには大断面アルミ製バンパーリインフォースと専用チューニングのパフォーマンスダンパーが採用されています。これらにより、車両全体でバランスのとれたボディ剛性によって雑味のない、リニアで上質な乗り心地を実現するとしています。レクサスらしいステアフィールや静粛性を兼ね備え、走りがより楽しめるそうです。

車体では、「GA-C」プラットフォームの高い基本性能をさらに磨き上げるべく、ステアリングギヤボックスにブレースが追加され、ギヤボックスの両側をボディに固定することで剛性を向上。ショックアブソーバーの減衰力最適化など、EV化による運動特性の変化に合わせ、細部に至るまでチューニングが施されています。

●入念な騒音、振動対策でレクサスらしい静粛性を実現

EVはエンジンなどがないため相対的に他の振動が目立ってしまいます。「UX300e」では、床下バッテリーに遮音壁としての機能が用意されたほか、アコースティックガラスをフロントドアに採用するなど、エンジンやトランスミッションの音がないために聞こえる、風切り音や小石/砂などの巻き上げ音にも配慮したそう。

レクサス UX300e
「UX300e」の防音材配置

さらに、ドライバーの自然な運転感覚を大切にし、走行中のサウンドにもこだわったとしています。「アクティブサウンドコントロール(ASC)」を採用することで、走行状況を感じられる快適なドライビング環境を確保し、乗員に心地いいサウンドを届けます。

フロントに配置されるモーター出力は、最高出力150kW(203PS)・最大トルク300Nm。気になる走りは、ドライバーの意図に忠実な滑らかな加減速フィーリングを重視し、加速時には過度な車両ピッチ挙動を抑制するアクセレレーションピッチコントロールを採用。スムーズでレスポンスのいい加速フィーリングが得られるとのことです。

一方の減速シーンでは、モーター回生ブレーキと油圧ブレーキによる制動力をバランスよく協調させ、過度な姿勢変化のない、安心感の高いブレーキフィーリングを得たとしています。また、パドルシフトにより減速度を4段階から選択することで、ガソリン車のエンジンブレーキと同じように減速操作ができるなど、EVの特性を最大限活かしながら自然な操作性を実現したそう。

レクサス UX300e
UX300eのインテリア

ほかにもEVならではの価値が盛り込まれています。

高出力、高効率による充電時間の短縮を可能とした充電システムにより、ランニングコストが低減されています。車両右には普通充電ポートを、車両左には急速充電ポートが設定され、充電リッドを指で容易に開けられるプッシュオープンの開閉方式や、充電インレットを照らす照明を採用することで、優れた利便性を実現しています。

レクサス UX300e
シフトバイワイヤ化されている

エアコンなどの快適装備では、高出力でコンパクトな電気式水加熱ヒーターと内外気2層制御を採用したEV専用エアコンシステムの採用に加え、そのエアコンシステムとシートヒーターを協調制御することにより、速暖性に優れた快適なキャビンと低電費を両立したとしています。

エアコンシステムと連携する電池冷却システムを設定。快適な車内を維持したまま駆動用電池を冷却することにより、優れたバッテリー性能を確保するなど、エアコン作動時の航続距離にも配慮されています。

レクサス UX300e
UX300eのエアコンパネル

さらに、充電コネクターを接続した際に、外部電源によってエアコンやオーディオなどの電装品を使用することができます。低温、高温下でも正常に動作するようにバッテリーには温度調整機能が備えられ、過充電防止システムや、多重監視のセーフネットにより、高い信頼性が確保されています。

最新のコネクティッド技術は、EVに限らず普及しています。その中でも相性がいいのが電動化されているEVで、専用アプリによるスマホとの連携で、バッテリー残量やエアコンのオン、オフ時それぞれの走行可能距離を表示され、充電の必要性がすぐに分かるのが便利。

レクサス UX300e
専用メーターパネルを採用

また、充電完了までの時間表示や、出発時刻に合わせて充電が完了するようタイマーを設定することもできます。さらに、自車位置周辺の充電ステーションの位置が表示され、営業時間や稼働状況などを確認することも可能。ほかにも、エアコンやデフロスターなどを車外から始動させることができるリモートエアコンを採用するなど、使い勝手の高さが光ります。

充電は充電器利用の有料サービス「EV・PHV充電サポート」により、日本充電サービス(NCS)の急速、普通充電器が利用できます。全国で急速充電器約6,800基、普通充電器15,000基が専用カードをかざすだけで利用できます。

レクサス UX300e
18インチインチアルミホイール(切削光輝+ミディアムグレーメタリック)

デザインは、EVらしいディテールが用意されています。タフな力強さと俊敏な走りを想起させる大胆かつ洗練されたエクステリアをはじめ、新開発となる専用デザイン、カラーになる17インチアルミホイールや床下空力カバーを搭載。

走行可能距離や回生ブレーキ力インジケーターなど、EVならではの情報についても、視覚的な分かりやすさを追求しています。また、シフトバイワイヤ方式が採用され、短い操作ストロークと質感の高いシフトノブで、EVの上質な走りと静粛性を想起させる小気味いい操作性が得られるそう。

レクサス UX300e
レクサス「UX300e」のインテリア

マルチメディアシステムも最新装備になり、「SmartDeviceLink」「Apple CarPlay」や「Android Auto」に対応。iPhoneやAndroidスマートフォンを10.3インチワイドディスプレイと連携させることで、リモートタッチによる画面操作や音声操作が可能になります。ラゲッジスペースの使い勝手は、ローデッキ仕様が設定され、デッキボード上部303Lの荷室容量を確保。

レクサス UX300e
後席前倒し時に少し段差が残るようだが、デッキボード上部で303Lの荷室容量を確保

安全装備では、予防安全パッケージ「Lexus Safety System +」が採用されています。事故などの抑制に加えて、ドライバーの負担軽減が目指されたほか、運転支援時にドライバーにとって自然で、安心感のある車両挙動を追求したそう。

レクサスは、2025年には全車種にハイブリッドやプラグインハイブリッド、EV、FCVなどの電動車を設定し、電動車の販売比率がガソリンエンジン車の比率を上回ることを目標に掲げていて、市販初の「UX300e」もその目標を牽引する1台になります。

(塚田 勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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