目次
●期待を上回るクオリティ
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■ツートーンインテリアはおすすめ
■操作のしやすい9インチナビ
■フロントシートの座り心地はバツグン!後席は見かけよりも広い!
■見た目より広いカーゴエリア
■まとめ
■ツートーンインテリアはおすすめ
高めのアイポイント、大きめのフロントウィンドウにより、日産キックスは運転席からの見晴らしがいい。
ただし、サイドミラーが大きめのため死角が生じており、特に助手席側が見にくく感じることがあった。視界確保用の三角窓を空けるなど、あと一工夫が欲しい。
インナーミラーには、オプションのインテリジェントルームミラーを装備していた。移動物検知機能付のアラウンドビューモニターとのセットオプション(6万9300円)となるが、通常のミラーに比べて、暗い夜道でも後方視界がクリアになるので、安心感を得たい方にはお勧めだ。なお、ワンタッチで通常のミラーにも切り替えできる。
ツートンインテリアエディションは、インパネやドアトリムの一部、そしてシートのサイドサポートなど、部分的に装着されたオレンジタンの明るい内装により、クルマの中がとても明るく感じる。どれもソフトな素材でできており、押すと指が優しく沈み込むようなソフトタッチで、質感の高さを感じる。
常に視界に入る部分にお金をかけてみるのも良いと感じた、おすすめのグレードだ。
■操作のしやすい9インチナビ
タッチパッドで操作する9インチナビゲーションモニターの位置は、インパネの中段・エアコン吹出口の下にレイアウトされている。ハンドルを握る左手から近い位置にあるので、タッチ操作がしやすい。ただしその分、前方注視から外れる時間は大きくなる。
日産の新型ローグや2代目ジュークのような最新車種だと、インパネ最上段にナビがくるのが、世界的にも日産的にも最新の技術トレンドであるなかで、キックスは、元の設計の古さが若干表れてしまっている。
アラウンドビューモニターはオプションではあるが、この手のコンパクトSUVに搭載されるのは珍しいことだ。後退時には自動で画面が切り替わるのだが、ナビ右下のスイッチワンプッシュでも画面切り替えができる。狭い道でのすれ違いや幅寄せ、他にも、発進時に周囲の確認をしたいときなどにも使える。
キックスはボディサイズが大きくないので、周囲の安全確認やボディ4隅の見切りは元々やりやすいSUVだ。だが、そのため油断もしやすく、予算に余裕あれば、この手の安全装置はつけておく方が良い。
■フロントシートの座り心地はバツグン!後席は見かけよりも広い!
ボリューム感のあるフロントシートは、見た目通り座り心地が良い。シートクッションの座面に横方向のラインがあるので、滑り止めにもなり、スポッとはまったお尻がずれないようになっている。
ただし、座面の高さ調整は、あまり下には下がらない。筆者的には、もう少し下に沈み込むようなドライビングポジションが好みだが、小柄な方でも良い視界が確保されている。
後席からの視界はなかなか良い。後席左右のウィンドウ面積が広く、また前方向も比較的開いているので、ヤリスクロスよりも明るくて開放的だ。
後席乗員の位置が車両後方にレイアウトされているので、膝の前スペースも広く、コブシ2個は入るほどに余裕がある。これならば、長距離移動でもさほど我慢せずに移動ができるだろう。また、後席のドアも大きく作られており、乗り込みや、荷物の乗せ降ろしもイージーだ。
なお後席シートは、背もたれを倒す関係で、シートバック側がフラットになっている。身体がはまるような突起がないので、革製シートだと左右に身体が振れやすく、部分的にはスエードやファブリックだと良いとも感じる。
■見た目より広いカーゴエリア
後席シートバックは4:6可倒式だ。タイヤハウスの張り出しは大きいが、カーゴエリアはクルマの見た目よりも広く感じる。また、床面が低い位置にあるので、多くの荷物が積み込めそうだ。だが、フルフラットにはならない設計となっている。
他のSUVだと、デッキボードを使って底上げをしてフラットにするが、そもそもキックスには設定がない(ラゲッジソフトトレイはある)。
筆者は、トノカバーの代わりにデッキボードを採用した方が良いと感じるのだが、置き引きのような車両盗難の対策を優先すると、そうはいかないのだろう。ちなみにヤリスクロスには、分割ができるデッキボードが用意されており、外した際にも収納しやすい、便利な構造となっている。
なお、ラゲッジ下は、車載工具とパンク修理キットが備え付けられており、余分なスペースはない。
■まとめ
明るく開放的にまとめたインテリア、外観よりも広い後席パッケージングなど、キックスには良い点が多々ある。ただし、使い勝手の面で「あと少し欲しい!」と感じられる部分がある。
その辺りは今後のマイナーチェンジや、新型ノートで挽回してくれることを期待したいところだ。
(文:自動車ジャーナリスト 吉川賢一/写真:エムスリープロダクション 鈴木祐子)