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■販売台数を飛躍的に伸ばす米国EVメーカーのテスラに世界が注目
●欧州には、モータースポーツに特化した小規模メーカーが多数存在
現在最も注目されているメーカーは、近年販売台数を伸ばしている米国EVメーカーのテスラです。また、欧州にはレースに参戦して名を上げて、レースで培った高性能技術をスポーツタイプのロードカーに反映させている小規模メーカーが多く存在します。
EVを専門に製造するテスラと、レーシングカーやスポーツカーなどを専門に製造する小規模メーカーのこれまでの歩みについて、解説していきます。
●テスラモーターズ
2003年に、イーロン・マスクを中心とした数名のシリコンバレーのエンジニアで設立されたEV専門メーカーです。最初のモデルは、ロータスのシャシーにモーターとバッテリを積んだロードスターでした。
2012年にオリジナルのモデルS、ガルウィングSUVのモデルX、7人乗りSUVのモデルY、車両価格が3500ドルからとリーズナブルに設定されたモデル3という4モデルが発売されています。
2019年の販売台数は、前年比50%増の37万台で世界20位でした。新型コロナウイルスの販売停滞の中、4月~6月テスラは黒字を確保しました。新型コロナがむしろEVの追い風となり、時価総額でトヨタを抜いて世界のトップに立ちました。
●マセラティ
マセラティは、マセラティ3兄弟が1914年に設立したイタリアのエンジニアリング会社が始まりです。
初期には、積極的にモータースポーツに参戦して、好成績を上げることで知名度を上げました。1947年に初めてロードカーのA6というモデルを製造し、1950年代後半には3500GT、5000GTを発表しました。
経営悪化から、1965年にシトロエンの傘下に入りました。シトロンSMは、DSをベースにしたモデルでマセラティのエンジンを搭載していました。その後、シトロエンがプジョーに買収されてプジョー傘下となり、最終的には1993年にフィアットの傘下に収まりました。
フィアットの傘下となり、フェラーリとは異なるプレミアムカーを担当し、4ドアのクワトロポルテやSUVのレヴァンテなど、注目モデルを登場させました。
●アストンマーティン
1913年にライオネル・マーティンとロバート・バムフォードによって設立されたイギリスの高級スポーツカーメーカーです。
モータースポーツでも多くの実績を残し、1954年にはル・マン24時間レースと世界スポーツカー選手権を制覇し、現在も世界耐久選手権(WEC)に参戦しています。
当初から経営状況は苦しく、DBグループからフォード傘下に入りました。しかしフォードの経営立て直しのため株式の大半が売却され、現在はメルセデスAMGからエンジン供給なども受けつつ、DBシリーズやヴァンテージ、ラピード、ヴァンキッシュなどを世に送り出しています。
●ロータス
1952年にコーリン・チャップマンによって設立された軽量スポーツモデルを主力とするイギリスのメーカーです。1958年にF1に参戦し、1960年にはロータスのマシンがF1初優勝を果たしました。
1982年にチャップマンが死去して経営状況が悪化し、1996年にマレーシアのプロトンの傘下となりました。現在、プロトンは中国の吉利グループの傘下になったので、結果としてロータスも吉利グループの傘下に収まっています。
数の出る大衆車ではなく高性能のスポーツカーを専門に製造する小規模メーカーは、採算を取るのが難しく、大手自動車メーカーの傘下でしか活動できない運命にあります。
一方、EVの専門メーカーも幾度となく経営危機を乗り越えながら新モデルを投入しながらも販売台数は着実に増やしています。EVと自動運転という最先端技術に取り組んでいるテスラだけに、技術開発とともにメーカーとしての今後の動きに注目が集まっています。
(Mr.ソラン)