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■1999年に日産を傘下に、2016年日産が三菱自動車を傘下に収めて3社連合が誕生
●小型から大型乗用車、バスやトラックも生産するフルラインアップを揃えるメーカー
ルノー・日産・三菱の3社連合の2019年の販売台数は、VW、トヨタに続いて世界第3位でした。しかし、カルロス・ゴーンの不正問題を機に、ルノーと日産の関係が大きく揺らぎ、3社連合の再整備を進めている最中です。
日本市場での知名度は低いですが、日産との関係で現在注目されているルノーのこれまでの歩みについて、解説していきます。
●会社概要と業績
・会社名:ルノーSA
・代表取締役会長:ジャン・ドミニク・スナール
・創立:1898年
・資本金:未公表
・従業員数(2018.12現在):18万3002人
・販売台数:375万台(2019.1~2019.12)
●起源
ルイ・ルノーは、シャフトドライブによるリア駆動を発明し、その特許資金をもとに1889年にルノー兄弟社を設立しました。翌年1890年には、クルマの生産を始めました。
会社設立当初から、モータースポーツに積極的に参加して数多くのレースで成績を残し、名声と技術向上によって売り上げを伸ばしました。
第一次世界大戦を前にパリのタクシー用車両を大量受注して、分業別に生産する大量生産方式を採用。生産されたタクシーは、大戦中の兵士の輸送にも流用されました。
●メーカーとしての歩み
ルノーはフランス軍のサプライヤーとして、クルマのほか航空機エンジンや航空機本体も生産しました。戦時中ドイツに制圧されていたルノーは、フランス開放と同時にその資産をフランスに没収されて国有化されました。
第二次世界大戦後の1947年、排気量760ccの超小型車4CVを発売し、1950年代にタクシーに普及。1961年には、クルマのジーンズと呼ばれたルノー4、1972年には大ヒットしたルノー5を発売しました。
1990年、戦後45年が経てルノーは株式会社となり、1996年には完全に民営化されました。カルロス・ゴーンが、ミシュランからヘッドハンティングされたのもこの時期でした。
また1999年には、経営不振に陥った日産を傘下に収めました。ただしゴーンは、2018年の金融商品取引法違反や特別背任法など一連の疑惑によって2019年に退任しました。
●往年の代表的なモデル
パリ解放の翌年1945年にルノーが国有化されて「ルノー公団」となりました。そのような中でも、超小型車4CVを生産して大ヒットしました。
・1961年、フランスの乗用車市場でもっとも売れたと言われているルノー4(キャトル)を発売
・1965年、ハッチバックのルノー16発売
・1972年、ルノー4をベースにしたルノー5(サンク)発売
ルノーは創業当初からモータースポーツに積極的に参戦しました。1977年には、F1に1.5LのV6ターボエンジンで参戦し、最近はWRCやパリダカで好成績を残しています。
●最近の代表的モデル
1980年代のルノーは、いくつかのコンパクトモデルを発売し、1990年には遂に国営公社から株式会社となりました。
・1990年、ルノー5の流れをくむクリオ(日本名ルーテシア)発売
・1993年、パーソナルティを強調したコンパクトカーのトゥインゴ発売
・1997年、日本をはじめ世界中で大ヒットしたカングーを発売
・2013年、コンパクトSUVキャプチャー発売
・2016年、RR駆動方式を採用してキビキビした走りの3代目トゥインゴ発売
・2016年、リア固定式サスに4WSを組み合わせたシャシーが高評価のメガーヌGT発売
・2018年、キャプチャーより少し大きめのSUVカジャー発売
日本では比較的地味なルノーですが、AセグメントからEセグメントまで、大小のSUV、バスやトラックも生産するフルラインナップを揃えるメーカーです。
一方で、モータースポーツに参戦して成果を出すことでブランド力を上げて拡販してきたという側面もあります。
(Mr.ソラン)