団長専用車のベースにもなったTバールーフ車も!初代S30のスタイルを上手に引き継いだ2代目130Zとは?【7代目Zプロトタイプ発表記念2代目・S130編】

■団長専用車のベースにもなったTバールーフ車(1980(昭和55)年11月)

2代目Z・Tバールーフ仕様(1980(昭和55)年11月)
2代目Zに追加されたTバールーフ仕様(1980(昭和55)年11月)
2代目Z・Tバールーフ仕様(1980(昭和55)年11月)
上に残るTバーを忘れれば、オープンカー並みの解放感が得られる。

2年後の1980(昭和55)年11月には、前年の1979年に欧米で先行発売したTバールーフ車が投入されました。前席頭上のガラスルーフを、ルーフのセンター部をT字の棒状(だからTバールーフ)に残して脱着するものです。バーを境に左右独立でルーフサイドまで外れるので、ドアガラスを下げ、Tバーに目を向けなければ気分はほとんどオープンカー! 2人乗り、2by2それぞれに2L、2.8Lがありましたが、これらすべてのZ-Tにのみ、Tバールーフ仕様が設定されました。

8月に俳優の渡哲也さんが亡くなり、各社メディアサイトではテレビ朝日の「西部警察」に登場した劇中車をさかんに紹介していますが、ドラマ中に登場した、渡さん演ずる大門団長専用車「スーパーZ」は、このTバールーフ車が母体にされました。

劇中のマシンX、サファリ、スーパーZ、マシンRS、RS-1、2、3(3は元マシンRS)・・・これら劇中車は、基本的には当時の日産プリンス販売の、オーダーメイドの車両開発を行う車両部特車課の福田正健氏を中心に担当、製作は架装メーカーの倉田自動車が行いました。ただし日産自動車から依頼を受けた倉田自動車はスーパーZに対して「造ることはできてもアイデアがない」となったことから、スーパーZのアイデアについては福田氏個人の仕事となりました。Zが日産プリンス店の扱いではないのにもかかわらず、です。

劇中のスーパーZで、上半分がガルウィング式で羽ばたくようにしたのは、Tバールーフがガルウィングにしやすかったこと、下半分をヒンジ式のドアで残したのはすべてをガルウィングにすると威圧感があり、かつドアをかいくぐって乗り降りする姿がかっこ悪くなって嘘っぽくなるという、福田氏の考えがあってのことでした。

【スペック】日産フェアレディZ-T Tバールーフ 2シーター(1980(昭和55)年11月)
●全長×全幅×全高:4390×1690×1295mm ●ホイールベース:2320mm ●トレッド 前/後:1395/1390mm ●最低地上高:150mm ●車両重量:1215kg ●乗車定員:2名 ●タイヤサイズ:195/70HR14 ●エンジン:L20E(水冷直列6気筒 SOHC) ●総排気量:1998cc ●圧縮比:9.1 ●最高出力:125ps/6000rpm ●最大トルク:17.0kgm/4400rpm ●燃料供給装置:ECCS(電子制御燃料噴射) ●燃料タンク容量:80L(レギュラー) ●サスペンション 前/後:独立懸架ストラット式/独立懸架セミトレーリングアーム式 ●ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク式/ディスク式 ●車両本体価格(当時・東京価格):201.0万円