団長専用車のベースにもなったTバールーフ車も!初代S30のスタイルを上手に引き継いだ2代目130Zとは?【7代目Zプロトタイプ発表記念2代目・S130編】

■成功作の次は失敗? のジンクスを打ち破った典型例の2代目Z

7代目となる新型フェアレディZのプロトタイプが公開されました。来年2021年の発売予定のようですが、先日解説した初代モデルを彷彿させるデザインに誰もが大注目! 何だかトヨタスープラを超える人気となる予感がします。

それはさておき、今回は2代目Zについてあらためて解説していきます。

■2代目フェアレディZ (S130/GS130型:1978(昭和53)8月)

 

2代目Z(S130型・1978(昭和53)年10月)
2代目Z(S130型・1978(昭和53)年10月)

初代Zの登場から9年を経て初のモデルチェンジ。今回は2人乗りと2by2が同時発売。エンジンは、2L版は引きつづきL20を搭載するとともにオーバー2Lが復活、従来の2.4Lを2.8Lに増量したL28を載せて「280Z」を名乗りました。

ヒット作のモデルチェンジとなると自然と成功からの凋落を恐れるようになり、手掛ける開発陣の手は保守的になってしまうのでしょうか。ホンダシビック、三菱ギャランΣ、「街の遊撃手」CMのいすゞFFジェミニ・・・これらモデル初代から2代目へのモデルチェンジ例からわかるように、ヒット作の、主にスタイリングを大きく踏襲しながら一新したクルマは得てして失敗するか、少なくとも前作ほどの成功には至らない場合が多いものです。しかしながら2代目Zは、このジンクスに当てはまりはしませんでした。
変わっていないようで変わった。変わったようで変わっていない。このどちらもがぴたりと当てはまる、まさに正常進化のモデルチェンジでした。そしてそれが狙いでもあったでしょう。

同じようなジンクス外しの例は、時代は異なりますが、私見ながら、ワゴンRの初代から2代目が思い当たるくらい。初代から4代目までのスバルレガシィも、形は変わっていますがひと目見て「レガシィ」と抱かせる一貫性が感じられるので、ジンクス外しの仲間に入れてもよさそうです。

2代目Z(S130型・1978(昭和53)年10月)
2代目Z(S130型・1978(昭和53)年10月)

それはさておき、2代目Zのスタイリング。
ロングノーズ&丸目ライトのフロントフェイスにリヤのコーダトロンカ(「しっぽをすっぱり切る」の意)の処理を受け継ぎながらも、詰めるところは詰めて熟成された感があります。ボディの面形状、特にリヤフェンダーの豊かなボリューム感は新旧共通していますがその面質は初代と異なり、力強さがあふれるものに。その傍ら、サイドプロテクターや衝撃吸収構造の樹脂バンパーが与えられ、どこもかしこも現代的(当時としての)になりました。これらの合わせ技で「変わっていないようで変わった」「変わったようで変わっていない」をうまく両立させています。ただし、初代のウィークポイントに挙げられていた後方視界(特に斜め後方)を解消するため、リヤガラスの輪郭は変わりました。

ボディサイズは初代よりも大幅にサイズアップし、エンジンは全車電子制御燃料噴射のEGI化、サスペンションはリヤがセミトレーリングアームになり、ブレーキはフロントがベンチレーテッドディスク、リヤがソリッドのディスク式へと、中身はずいぶんと変わっています。

2代目Z(S130型・1978(昭和53)年10月)
3連メーターはそのままに、各部の操作性向上も図られている。
2代目Z(S130型・1978(昭和53)年10月)
3連メーターは、左から時計(デジタル式に昇格!)、電圧計、そして上下に油温、油圧がまとめられたオイル関連のメーターが並ぶ。

正常進化は内装もしかり。インパネセンターの3連メーターが「Z!」を証明。燃料計と水温計はハンドル前のメーターに引っ越ししてオーソドックスになりましたが、そのメーターも、初代のくり抜き独立型?からひとつのパネル面に一体化、照明がオレンジの透過式になってこちらもグッとモダンになっています。
従来5桁だった積算距離計の6桁化は耐久性向上の証で、Zに限らない、この頃の新型車のアピールポイントでもありました。

 

2代目Z(S130型・1978(昭和53)年10月)
燃料計と水温計は、一般のクルマ同様、速度計、回転計と同じ場所になった。
2代目Z(S130型・1978(昭和53)年10月)
メーター下にある正方形の小窓が、本文で述べた集中ワーニング(写真は輸出仕様のもの)。

70年代後半といえば、各社電子技術の採用に積極的になってきた頃で、どのクルマも既存デバイスの電子化、オート化を推進。2代目Zもその例に漏れず、集中警報装置(ストップ・テール・ヘッド各ランプの断線、ウォッシャー・バッテリー・冷却の各液残量6項目をドットの文字と絵で警告)やオートスピードコントロールのほか、エアコンばかりかリヤ熱線もオート化(自動でON/OFFのオートリヤ熱線は、その少し前のローレルに前例がありますが)、カセットステレオの操作もフェザータッチの電気式になりました。


【スペック】日産フェアレディ280Z-L 2シーター(HS130G型・5MT・1978(昭和53)年8月)

●全長×全幅×全高:4420×1690×1295mm ●ホイールベース:2320mm ●トレッド 前/後:1385/1380mm ●最低地上高:150mm ●車両重量:1225kg ●乗車定員:2名 ●最小回転半径:4.9m ●タイヤサイズ:195/70HR14 ●エンジン:L28E(水冷直列6気筒 SOHC) ●総排気量:2753cc ●圧縮比:8.3 ●最高出力:145ps/5200rpm ●最大トルク:23.0kgm/4000rpm ●燃料供給装置:EGI(電子制御燃料噴射) ●燃料タンク容量:80L(レギュラー) ●サスペンション 前/後:独立懸架ストラット式/独立懸架セミトレーリングアーム式 ●ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク式/ディスク式 ●車両本体価格(当時・東京価格):180.0万円