■応答性に優れたステアリングと電動ブレーキブースターの仕事ぶり
以前お伝えしたように、すでに先行予約の受注受付が開始されているSUBARUの新型レヴォーグ。具体的な数値は10月15日の正式発表時に明らかにされるそうですが、好調な受注、そして予想よりも高い比率で目玉の「アイサイトX」装着車が支持されているそうです。
新型レヴォーグのサイズは全長4755×全幅1795×全高1500mm。初代(現行)レヴォーグの全長4690×全幅1780×全高1490〜1500mmよりも65mm長くなり、全幅は15mmワイドになっています。ホイールベースは現行の2650mmから20mm長くなり、新型は2670mmと20mmストレッチされています。
狭い場所での取り回しや駐車などを考えるとボディサイズの拡大は、歓迎できないものの、後席を中心とした居住性の拡大という恩恵を感じさせます。また、一般的には、全幅(トレッド)の拡幅、ホイールベースの伸長による操縦安定性や乗り心地の向上なども期待できます。
一方で全長とホイールベースの伸長は、回頭性、ハンドリングには不利になる面もあるのが一般的。しかし、サーキットで新旧レヴォーグを走らせると、こうした懸念は杞憂に終わったと断言できるほど、ボディの剛性感、ハンドリングの大幅な進化、ブレーキングとその安定性向上を実感できます。
インナーフレーム構造や構造用接着剤などのボディ剛性の向上をはじめ、2ピニオン電動パワーステアリングにより応答遅れを感じさせないハンドリングは、サイズアップを微塵も感じさせず、切り足したり戻したりという作業が格段に減っています。なお、「アイサイトX」搭載車は、万一に備えてステアリング機構には冗長性が備えられています。
一発で狙ったラインが決まるうえに、コーナーでのロールも抑えられている印象。とくに、STI Sportはこうした傾向が強く感じられます。路面状態のいいサーキットですので乗り心地の面では割り引く必要があるかもしれませんが、電制ダンパーを初めて採用した新型レヴォーグへの一般道での期待もできそうです。
なお、タイヤは横浜ゴムとの専用開発になる「BlueEarth-GT」で、OEタイヤに求められる低燃費性能や耐摩耗性、ウェットグリップなどはもちろん、操縦安定性、ハンドリングの面にもかなり注力して開発したそうです。
今回初めて採用された電動ブレーキブースターは、主に衝突被害軽減ブレーキの緊急作動時にタイムラグなく作動するのを狙って開発されたものですが、踏んだ時のフィーリングも良好。サーキット走行でも違和感はまったく感じさせず、電動ブレーキブースターと言われないと気がつかないかもしれません。
踏みはじめからリニアに減速Gが立ち上がり、しかもいわゆる「カックン」ブレーキにならない仕上がりになっています。
新開発の1.8L直噴ターボエンジンは、最高出力177PS/5200-5600rpm・最大トルク300Nm/1600-3600rpmで、現行の1.6Lターボよりも7PS/50Nm引き上げられています。CVTのレシオカバレッジの拡大により低速域での力強さが増し、パーシャルから強めに踏みました際の変速フィールの間も少なく感じられ、コーナーでの立ち上がりの良さにもつながっている印象です。
これならワインディングでもよりスムーズに走らせられるはず。
とくに「STI Sport」では「Sport」以上にすると、よりパワーの立ち上がりがよくなり、「Sport+」ではステアリングもダンパーもより応答性がより高まり、鋭い走りが楽しめます。一方、「GT-H」は「STI Sport」よりもゆったりした足まわりが印象的で、街乗りにはより向いているような印象。
先ほどふれた横浜ゴムとの専用開発になる「BlueEarth-GT」では、静粛性の向上も大きなポイントだったとのことで、ロードノイズを含めた騒音や振動も新型は見事に抑え込まれています。静かな車内でロングツーリングを楽しめるのは、レヴォーグに欠かせない要素であり、新型は現行よりも一段と静かで快適な室内になっています。
(文/塚田勝弘 写真/SUBARU、塚田勝弘)