スズキの歩み:日本初の量産軽自動車を発売以来、軽自動車の牽引役【自動車用語辞典:日本の自動車メーカー編】

■ホンダのようにまずは2輪車事業を立ち上げ、その後4輪事業へ展開

●軽自動車のトップメーカーだが、2007年以降ダイハツにトップの座を奪われる

スズキの2019年の販売台数は、世界第12位でした。2輪車と軽自動車を中心とした小型4輪車で確固たる地位を築き、軽自動車分野では長年トップシェアでしたが、2007年度以降はトップの座をダイハツに譲っています。

2019年トヨタとの資本提携に合意してさらなる飛躍をねらうスズキのこれまでの歩みについて、解説していきます。

●会社概要と業績

スズキは、1954年に日本初の軽自動車スズキライトを発売。本年2020年で創業100年を迎えました。

・会社名:スズキ株式会社

・代表取締役社長:鈴木 俊宏

・創立:1920年

・資本金(2019.3現在):1380億6400万円

・従業員数(2019.3現在):連結6万7721人、単独1万5431人

・販売台数:301万台(2019.1~2019.12)

●起源

スズキの起源は、1909年に鈴木道雄が創業した鈴木式織機製作所です。1920年に、法人化して鈴木式織機株式会社に改称して自動織機の開発生産を行っていましたが、1950年代のエンジン付自転車のブームに乗り1952年に補助用エンジン(2サイクル36cc)付のパワーフリー号の販売を始め、2輪車への進出を果たしました。

1954年に鈴木自動車工業へと社名を変更して、翌年1955年には日本初の軽自動車スズライトを発売し、4輪車へも進出しました。

以後、2輪と軽自動車を中心に成長を続けました。

●メーカーとしての歩み

スズキは、当初から2ストロークエンジンを採用し続けました。

4ストロークエンジンを採用したのは、1977年のジムニーが最初でした。しかし、完全に4ストロークに移行したのは遅く、1980年代に入ってからでした。

1963年に米国スズキを設立して、タイやインドネシア、パキスタンなど海外進出を果たします。1981年にGM、いすゞとの業務提携を行い、GMの資本が一時期20%に達した時期もありましたが、徐々に減らして2008年には資本関係を解消しました。

スズキが次の提携先として選んだのは、フォルクスワーゲンでした。2009年に、フォルクスワーゲンがスズキ株を19.9%取得して、包括的提携を結びました。しかし、支配下にしたいワーゲンと対等な関係であるべきとのスズキの間で折り合いがつかず、スズキによる提携解消の係争が続きました。最終的に解消が成立したのは、2016年でした。

2019年には、トヨタとの連携強化をねらって、資本提携に合意しました。

●往年の代表的なモデル

1955_スズライト
1955_スズライト

1955年スズキは、排気量360ccの2ストロークエンジンを搭載したスズライトで4輪事業に参入しました。1961年には、スズキライトキャリーで軽トラックに進出、1965年にはフロンテ800で小型乗用車部門にも進出しました。

・1970年、軽では初となる本格4WDのジムニーが登場、スズキを代表するモデルとして今も不動の人気を獲得

1971_フロンテクーペ
1971_フロンテクーペ

・1971年には、イタリアのジウジアーロデザインの2シータークーペのフロンテクーペを発売

・1979年、スズキを代表するモデルのアルトが登場、驚異的な安さもあり爆発的な大ヒット

さらに1982年のジムニーのモデルチェンジ、1983年の軽ピックアップマイティボーイを原動力に、軽自動車ナンバーワンメーカーとして確固たる地位を築きました。

●最近の代表的モデル

1983年にリッターカーのカルタス、1988年にライトクロカンの先駆けエスクード、1991年にはFRオープンスポーツのカプチーノを発売して、小型でスポーティなクルマづくりをアピールしました。

2017_6代目ワゴンR
2017_6代目ワゴンR

・1993年、軽トールワゴンという新しいジャンルを開拓したワゴンRを発売、軽自動車ランキングを独走する大ヒット

・2000年にスイフト登場

2006年まで軽自動車シェアでトップを維持しましたが、その後はダイハツの後塵を拝しています。

2018_4代目ジムニー
2018_4代目ジムニー

・2014年、ハスラーが大ヒット

・2017年、人気のワゴンRをモデルチェンジ(6代目)

・2018年には、20年ぶりにクロカン4WDのジムニーが待望のフルモデルチェンジ

 

2020_2代目ハスラー
2020_2代目ハスラー

電動化や運転支援、自動運転の大きな波は、制約の多い軽自動車にも押し寄せています。トヨタとの提携の狙いは、その分野の強化にあり、一方でトヨタはアジア(特にインド)市場でのスズキの強さ、ネットワークに期待するところ大であると思われます。

(Mr.ソラン)

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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