■ホンダジェットの本格運用開始でいきなりの優勝。移動の快適さはパフォーマンスに直結することを証明
羽根の上にジェットエンジンを配置するというユニークなスタイルで知られるホンダジェット。二輪・四輪・マリンと全方位的にモビリティを提供してきたホンダのもっとも新しいチャレンジが、ホンダ エアクラフト カンパニーが担う航空機事業で、その製品がホンダジェットというわけです。
すでにプライベートユースの小型航空機として一定の評価を得ているホンダジェットですが、そのメリットを証明する出来事がありました。
大きく話題になったのでご存知の方も多いでしょう、2020年9月6日に決勝レースが開催されたイタリアグランプリにおいて、ホンダのパワーユニットを利用するアルファタウリF1チームのピエール・ガスリー選手が初優勝。
チームとしても改名してからの初優勝で、前身となるトロロッソ時代から数えても12年ぶりの優勝でした。
じつは、このパフォーマンスの陰にホンダジェットの活用があったといいます。
偶然かもしれませんが、このイタリアグランプリの直前にアルファタウリF1チームにホンダジェットの最新モデル「HondaJet Elite」をデリバリーしていたことが明らかとなりました。優勝記念のご褒美ではなく、あくまでもチーム運営をスムースにするためにホンダジェットを利用し始め、それがいきなり結果につながったというわけです。
2020年のF1シーズンは、新型コロナウイルスの影響でスケジュールが密になり連戦が続きます。そうした状況においてチームの移動時間の大幅短縮と、ビジネスジェットならではの安全で快適な移動を求めてアルファタウリF1チームはホンダジェットを導入したといいます。
「快適な移動は、高いパフォーマンスにつながる」というのはモビリティ全般における至言といえますが、ホンダジェットを利用し始めていきなり結果につなげたアルファタウリF1チームは、まさしく「快適な移動を、高いパフォーマンスにつなげた」好例といえるでしょう。
アルファタウリF1チームのオーナーであるレッドブルは、欧州を拠点として役員、F1ドライバー、レーシングサーキットの下見など多目的にHondaJet Eliteを使用する予定と発表しています。
さらにレッドブルがサポートする他競技の選手の移動にも活用するということで、ホンダジェットの魅力がレッドブル・アスリートの間で話題になる日もそう遠くないかもしれません。
(自動車コラムニスト・山本晋也)