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■医師の診断書(後遺症の程度)に基づき賠償額を算定
●治療や生活をサポートする実費、労働能力低下による減収分、慰謝料など
後遺障害とは、事故によって身体機能に障害が残り、治療を継続しても回復する見込みがない傷害です。医師の診断書があれば、通常の障害賠償に加えて後遺障害についても賠償を請求できます。
後遺障害事故の損害賠償の算定額について、解説していきます。
●後遺障害事故の損害賠償
交通事故により受傷して治療を続けても、回復の見込みがない後遺障害が残ってしまった場合、後遺障害として賠償請求ができます。
賠償請求としては、積極損害と消極損害、慰謝料です。中でも大きな割合を占めるのが、機能障害によって労働能力低下分の逸失利益と、肉体的・精神的苦痛を和らげる慰謝料の2つです。
請求のためには、医師に「後遺障害診断書」を作成してもらい、それを自賠責保険会社に送付します。保険会社は、審査結果に基づいて賠償金の額を決定して支払います。
●後遺障害の積極損害の請求
症状を抑えるための治療や生活にかかる実費を請求できます。
・付き添い看護費
将来にわたって付き添いが必要と認められれば、請求できます
プロへの依頼は実費全額、近親者の場合5000~8000円/日(弁護士会基準)です。
・家屋等改造費
家の出入り口や風呂場、トイレ、クルマの改造など日常生活のために改造が必要と認められれば、請求できます。実費を請求することができ、自賠責限度額は120万円です。
・義肢などの装具費用
後遺障害の程度によっては、義足や車椅子、補聴器、義眼、盲導犬などのレンタル、購入費が請求できます。
・将来の治療関係費
原則としては認められませんが、将来確実に実施予定となる手術や治療費などは、医師の証明があれば費用を請求できます。
●傷害事故における消極損害(逸失利益)の請求
後遺障害によって明らかに労働能力が低下したと認められれば、働けなくなった減収分を逸失利益として請求できます。
逸失利益の算定法は、以下の通りです。
逸失利益 = 年収 × 労働能力喪失率 × 就労可能年数に対応するライプニッツ係数
例えば、年収400万円、35歳の会社員が交通事故の後遺障害で第9級10号に認定された場合の逸失利益は2212万4200円です。
2212万4200円 = 400万円 × 0.35(労働能力喪失率) × 15.803(ライプニッツ係数)
・労働能力喪失率
旧労働省労働基準監督局の労働能力喪失率が基準となっています。これを参考に、被害者の年齢や職業、後遺障害の部位、程度によって総合的に決定されます。
・ライプニッツ係数
将来受け取るはずの金銭を一括で受け取る場合は、それを運用したと仮定して得られる利息分(中間利息)を控除しなければいけません。ライプニッツ係数とは、元金に利息が加算され、これを新しい元金としてさらに利息が加算される計算式です。
●後遺障害の慰謝料
精神的、肉体的な苦痛に対して支払われる賠償金です。慰謝料は、損害保険料算出機構が労働能力喪失表に基づいて認定した「後遺障害等級」を基準に算定されます。
慰謝料の算定には、自賠責保険基準と任意保険基準、弁護士会基準の3種類があります。
慰謝料は、後遺障害等級によって大きく差が出ます。
例えば支払限度額は、自賠責基準で第1級1100万円、第2級958万円、第3級829万円です。
後遺障害が怖いのは、予想よりも回復に時間がかかる、時間が経ってから症状が悪化する、再発するなどです。したがって、医師の診断書は自分が納得した形で正確に作成してもらわなければいけません。
もし傷害の等級に納得いかなければ、医師と相談して保険会社に異議申し立てを行いましょう。
(Mr.ソラン)