先代から乗り心地・ボディコントロール性が大きく向上し、文句なしの高い静粛性を味わえる【新型ハリアー公道試乗】

■RAV4よりも静かな車内は高級SUVにふさわしい仕上がり

いま大注目の4代目トヨタ・ハリアーに一般公道で試乗する機会がありましたので、ご報告したいと思います。

先代の3代目ハリアー登場前に、四国にある某高速道路で2台の擬装した3代目ハリアーのテストに遭遇したことがあります。噂や話には聞いていても「こんなに遠くまで走りに来るのか」と驚いたものです。

トヨタ ハリアー
新型ハリアーの走り(写真はハイブリッドの「G」グレード、E-Four)

新型ハリアーを担当した小島利章氏(MS製品企画 ZD 主査)にこの話をしたところ、コロナ禍により新型ハリアーはテストコース外の一般公道でほとんど走行できなかったそう。

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ハイブリッドの「G」FFグレード

●乗り味、静粛性に隙なしの高い完成度

でもご安心を。首都高速を含めた一般公道での新型ハリアーの走りは、期待を裏切らない高い完成度を披露してくれました。

特にモーター駆動領域も含まれるハイブリッド仕様は、停車時はもちろん街中などの走行時もとても静か。欧州の500万円クラスのSUVと比べてもまったく遜色ありません。

同じTNGA(GA-K)を使うRAV4と比較したくなりますが、新型ハリアーの方が静粛性は一段と高くなっています。

トヨタ ハリアー
写真はハイブリッドの「G」のFF

先代ハリアーは内装のクオリティが高く、トヨタらしい高いトータル性能が自慢で、エントリー価格は272万円(消費税5%)〜という設定もあり、グレードによっては高いコストパフォーマンスを享受できました。

個人的には低速域の揺すぶられるような乗り心地が課題だと思っていて、それは2.0L直噴ターボが追加された後も印象は大きくは変わっていませんでした。

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写真は2.0Lガソリン。装着タイヤは、ダンロップの「GRANDTREK PT30」でサイズは225/60R18。なお、同タイヤはRAV4にも採用されている

しかし「TNGA」化をはじめ、とくにサスペンションストロークの収まりの良さも重視したという新開発サスペンションが利いているのは明らか。

試乗基地の横浜みなとみらい周辺は路面状態が比較的良好とはいえ、よりフラットライド感が高まっていて、前席のみならず後席に座っていても揺すぶられる感覚や、ギャップを踏んだときの突き上げもよく抑え込まれています。

トヨタ ハリアー
こちらは、ハイブリッド「G」のE-Foor。後輪は40kW/121Nmのモーターが駆動を担う

また、ジェイテクト製のラックパラレルEPS(ラック平行式 )が採用されたパワーステアリングは、直進安定性を担保しながらも、操舵に対して素直な応答性が得られ、シーンによってはボディの大きさを抱かせない一体感も味わえます。

ダンパーのセッティングは動きのしなやかさと旋回姿勢の決めやすさを追求したといいますが、高級かつスポーティSUVにふさわしいコーナリング姿勢で、ロール、ピッチ共に抑え込まれていますので、ワインディングなどでも意のままの走りが可能になるはず。

それでいながら突っ張ったような足の動きではなく、多くの人が「硬い」と感じられる手前で提供される絶妙な足まわり。

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2.5Lハイブリッドは、静粛性の高さが際立っている

なお、先述の小島利章氏によると、先代ハリアーの乗り心地に関する一般ユーザーからの声は良好だったそう。それでも、ボディコントロール性(収まり)に関しては課題もあると分析していたようで、新型では少し収まりを良くするため、こうした足まわりを実現したといえそう。

乗り心地と収まりのベストバランスは、路面からの当たりがより抑えられた「G」系の225/60R18タイヤでの確認で、今回は19インチ仕様に試乗する機会はありませんでしたが、おそらく19インチ装着車でも大きく損なわれることはなく、新型ハリアーの美点は十分に感じられるはずです。

(文/塚田勝弘 写真/井上 誠)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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