【ルークス vs N-BOX】最人気ジャンルでガチンコ対決!より完成度の高い軽スーパーハイトワゴンはどちらだ?(車両概要とエンジン編)

●新型ルークスは軽スーパーハイトワゴンの勢力図を変えるのか?

いま日本で最も売れるジャンルである「軽スーパーハイトワゴン」。各メーカーとも並々ならぬ力の入れようで、ホンダN-BOXをはじめ、ダイハツタント、スズキスペーシアなど、どのクルマも高い商品力をもっています。

このジャンルで長年トップを維持しているN-BOX(2014年から5年連続で軽自動車販売台数1位)は、コンパクトカーと比べても全く劣らぬクオリティの高さを誇り、王者にふさわしい風格が漂うクルマです。

N-BOX写真
タントやスペーシアを退け、長らく軽スーパーハイトワゴンの王者として君臨するN-BOX

この熾烈極めるジャンルに、2020年3月に登場したのが日産ルークス。「デイズルークス」から「ルークス」に名前を変え、心機一転、新たなスタートを切り、久々に登場した日産の渾身の一台として魅力的な商品構成となっています。

コロナ禍の影響で、3月発売開始のスタートダッシュにつまずいた形となってしまった新型ルークス

今回は、新型ルークスと王者N-BOXの比較試乗を通して、1.クルマの概要、2.内装や荷室、3.走行性能の3記事にわたって、カタログに載らないようなポイントにも触れつつご紹介をしていきます。

★日産ルークス ハイウェイスターX プロパイロットエディション
★ホンダN-BOX  G・Lターボ Honda SENSING

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■新型ルークス最大の魅力は、運転のしやすさにあり!
■N-BOXが当たり前にした「軽の先進運転支援」、ルークスも同等
■実燃は?
■軽に先進運転支援技術は必要か?

■新型ルークス最大の魅力は、運転のしやすさにあり!

今回の新型ルークスでは、旧型ルークスに対しフロントタイヤを60mm前へ、リアヤイヤを5mm後ろへ移動。ホイールベースは65mm(2430→2495mm)も延長されています。

新型ルークスサイド
ウィンドウラインより上をブラックアウトし、精粋な印象となるツートンカラーのボディ色を採用
N-BOXサイド
N-BOXにもオプションでツートンカラーが用意される

また、ドライバーの着座位置が前型に比べて、前方向に移動しながら上方向にも移動しました。これによって、軽スーパーハイトワゴンにありがちな弱点「フロントガラスの遠さ」を感じにくく、見晴らしもよく、運転がしやすく感じます。

ルームミラーも車両後方寄りについていることで、軽スーパーハイトワゴン特有の「ノーズの長さを感じる運転感覚」もさほど感じません。運転感覚はルークスのベースである「デイズ」とほぼ同じといっていいでしょう。

なお、運転席からの視界はN-BOXの「幅の狭いAピラー」も優秀ですが、アイポイントの高さとフロントウィンドウまでの距離が近く感じるルークス(ルークスのAピラーは一般的な太さ)も視界は優れており、この2台の運転席からの視界は甲乙つけがたいところです。

ルークスインテリア
ステアリングホイールをはじめ、ナビモニター、エアコンパネルなど、デイズと同じデザインとなる
N-BOXインテリア
N-BOXはオーソドックスだが見やすいメーター、分かりやすいスイッチの配置など、よく練られている

■N-BOXが当たり前にした「軽の先進運転支援」、ルークスも同等

高速直進安定性が弱点である軽スーパーハイトワゴンには、先進の運転支援技術が必須装備という時代を作り上げたのはホンダです。

N-BOXには、ACCやLKAS(車線維持支援システム)を備えた最新の「HONDA SENSING」が標準装備されており、さらにはオートレベリング/オートライトコントロール機構付きのフルLEDヘッドライトも全車標準装備。これほどの商品内容にできているのは現時点でもN-BOXだけです。

N-BOXのホンダセンシング
ホンダセンシングを標準装備するN-BOX

新型ルークスにも、プロパイロット(1.0)や、アダプティブLEDヘッドランプ、煽り運転時の通報も可能なSOSコール、アラウンド・ビュー・モニター、などの新アイテムが用意されてはいるものの、全グレードに標準採用とまではいきません。

「余分なコストをかけない、お買い得なグレードを用意する」といったユーザー想いに見えますが、安全確保に対するスタンスは標準装備を進めるホンダの方が上だと思います。

ルークス
プロパイロットがグレード標準装備となるルークス

ちなみに日産のプロパイロットは大きく改善をしています。

世界で初めて「プロパイロット」が登場したころは、レーン中央を走ろうとするステアリング支援が頻繁に介入し、左右へピクピクとハンドルが動かされる嫌な思いをしましたが、ルークスに搭載されているプロパイロットはそんなそぶりもなく、十分に安心して任せられるシステムに進化しています。先進運転支援技術の面では両車引き分けと言っていいでしょう。

■実燃は?

高速道路が80%、一般道が20%、総距離80kmほどの試乗コースにて、ルークスの燃費は、NAが22.5km/L、ターボが22.2km/Lでした。

WLTCモード燃費は、NAが20.8km/L、ターボが18.8km/Lですので、どちらも上回る結果となりました。渋滞などを含む一般道走行が増えれば、燃費はまた変動するでしょうが、それでも優秀な燃費といえます。

ルークスエンジン
ルークスのNAエンジンは普段使いには必要十分

対するN-BOXのWLTCモード燃費は、NA 21.8km/L、ターボ 20.2km/L。同一コースでの燃費比較はできませんでしたが、実燃費も20km/Lに近いレベルを達成しています。燃費性能に関しても、ほぼ互角といっていいでしょう。

N-BOXエンジン
N-BOXのエンジンも、NAは普段使いには必要十分

エンジンの加速フィールやノイズの大きさなどは、別記事にてレビューします。

■軽に先進運転支援技術は必要か?

「HONDA SENSING」を標準装備するN-BOXの車両価格は、141万1300円から212万9600円(標準仕様、カスタム含む)。ルークスは141万5700円から206万6900円(標準仕様、ハイウェイスター含む)。ルークスの最安値グレードにはプロパイロットが搭載されないことを考えると、最も安いグレード同士の比較ではN-BOXのほうがお買い得といえます。

しかしこの価格差は上級グレードになるほど縮まっていき、さらにプロパイロットを必要とするかしないかでも価格の受け止め方が変わってきます。

ただしできることならば、安全運転に直結するこうした先進運転支援技術はぜひとも装着をしてほしいところ。特に軽スーパーハイトワゴンのような、背が高く、挙動が不安定になりやすいクルマにこそ先進運転支援技術が必要です。

ルークスリア
リアエンドのキックアップされたデザインは、プチセレナにも見える
N-BOXリア
リアのテールランプは、ぎりぎりまで縦細に作られており、バックドアの開口部の幅が広くとられている

高速道路での運転支援はドライバーの疲労軽減に貢献しますし、一度使えばそのありがたみをどなたでも体感できるでしょう。頼りきるのはよくありませんが、ドライバーや同乗者のために安全運転をシステムが支援してくれるのであれば、そこに費用を出しても無駄にはならないのではないでしょうか。

(文:自動車ジャーナリスト 吉川賢一/写真:エムスリープロダクション 鈴木祐子)

この記事の著者

Kenichi.Yoshikawa 近影

Kenichi.Yoshikawa

日産自動車にて11年間、操縦安定性-乗り心地の性能開発を担当。スカイラインやフーガ等のFR高級車の開発に従事。車の「本音と建前」を情報発信し、「自動車業界へ貢献していきたい」と考え、2016年に独立を決意。
現在は、車に関する「面白くて興味深い」記事作成や、「エンジニア視点での本音の車評価」の動画作成もこなしながら、モータージャーナリストへのキャリアを目指している。
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