ミニのこんなバリエーション知ってますか?主催クラブの特色を反映して英国車が勢揃い!【ダムサンデー@草木 Vol.2】

■英国車を見たいなら草木湖へ行くべし!

●主催クラブの特色を反映して英国車が大集合

ダムサンデー@草木を主催クラブであるJACK HISTORIC CAR CLUBには多くの英国車党が在籍しています。そのためスーパーカーばかりではなく、数多くの英国車が立ち寄るのもダムサンデーの特色です。このダムサンデーは群馬県みどり市北部の草木ダム湖畔にある駐車場が舞台になります。

6月7日は緊急事態宣言が解除されたこともあって、大勢のクルマ好きが立ち寄りました。今回は英国車を中心にご紹介したいと思います。

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ダムサンデー@草木の会場。

●ミニといえば元祖BMC

英国車といえばミニです。ミニといってもBMW製の新しいモデルではなく、英国生産だった時代のミニのことです。

ミニはそもそもBMCが1959年に市販を開始したミニマムカーで、当初は850ccエンジンを搭載していました。それでも小さなボディを活発に走らせることが可能だったため、あらゆる層から支持を集める大ヒットとなりました。1959年から2000年までの長い歴史があり、その間一度もフルモデルチェンジをしなかったことでも知られています。そのために外から見ただけで年式を特定することが難しいクルマでもあります。

こちらは最初期の「さざなみグリル」と呼ばれる顔つきと、オーバーフェンダーを装備した1台です。

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初期グリルを装着したミニ。

代わってこちらは最後期のインジェクションを装備した1.3モデルと思われます。ヘッドライトを今風にLEDとしているところが興味深いです。

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LEDライトにされたミニ。

そしてこちらはミニをベースに、イギリスのバックヤードビルダーだった時代のマーコスが仕上げたミニ・マーコスです。ミニのコンポーネンツを用いて軽量なFRPボディを与えたモデルで、1966年にはル・マン24時間レースにも出走しました。

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ミニをベースにスポーツカーに仕立てられたミニ・マーコス。

続いてはミニの兄貴分として開発されたADO16シリーズの高級バージョン、バンデンプラ・プリンセスです。

BMCではこのほかオースチン、モーリス、MG、ライレーといったブランドで同じクルマを販売しましたが、バンデンプラはウッドと本革を用いた内装を備えるミニ高級車でした。

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ミニの上級モデルADO16のバンデンプラ・プリンセス。

●古き良きオープン2シーターたち

英国製スポーツカーといえばMGを忘れてはいけません。

まずご紹介するのは、オースチン・ヒーレー・スプライトとともに開発された小型オープンカーのミジェットです。ミジェットは1961年に発売が開始され、1974年まで生産された長寿モデル。ミニと同じAタイプ1.3リッターエンジンが搭載されました。こちらは後期モデルのようです。

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MGミジェットの後期モデル。

ミジェットの兄貴分がMG-Bです。ミジェットよりひとまわり大きなボディと1.8リッターエンジンを搭載したMGの主力車種でした。こちらはバンパーレスやハードトップを備えレーシーな仕上がりにされています。

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モディファイされたMG-B。

MGに対抗する英国製オープン2シーターの代表がトライアンフTRシリーズです。1952年発売のTR1に始まり、1974年にクーペとなったTR7までの長い間、人気のオープン2シーターモデルでした。

こちらは初期のTR3までと異なるデザインが与えられた1961年以降のTR4です。デザイナーはジョバンニ・ミケロッティでした。

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トライアンフTR4。

高級オープンカーといえばジャガーです。その歴史は1927年まで遡ることができますが、第二次大戦後に開発・発売されたXK120が歴史的な代表作といえるでしょう。流麗なスタイルと3.5リッター直列6気筒エンジンによる優れた動力性能で人気になりました。

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ジャガーXK120。

ジャガーXK120は140、150と発展しつつ、レーシングカーのXK-CタイプやDタイプを派生してル・マン24時間レースに何度も勝利しました。そこでXKシリーズの後継車として1961年に発売されたEタイプにはXKという車名が採用されずル・マン24時間レースを連想させる車名になったのです。

長いノーズに3.8リッター直列6気筒エンジンを搭載していましたが、1964年には4.2リッターへ、1971年には5.3リッターV12エンジンへと発展しています。こちらはEタイプ初期のクーペです。

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ジャガーEタイプ・クーペ。

●個性的なセダンたち

何もスポーツカーばかりではありません。粋な英国サルーンも何台か参加していました。

まずは非常に珍しいトライアンフ・ドロマイト1500TCです。1972年に発売された1.3リッターエンジンによるFF小型車で、1973年には2リッターエンジンのスプリントも追加されました。こちらは1976年に追加された1500TCです。

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トライアンフ・ドロマイト1500TC。

これまた非常に珍しいサンビーム・レイピアです。日本では1950年代から60年代にタクシーとして活躍したヒルマン・ミンクスの2ドアモデルで、眩いばかりにレストアされています。

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サンビーム・レイピア。

押しも押されもしない超高級車・ベントレーが1955年に発売したロールス・ロイス・シルバークラウドの兄弟車がSです。年式を問わず高級感あふれるスタイルのまま1961年まで作られ、1962年のS3で4灯式ヘッドライトが採用されました。こちらは初期のS1と思われます。

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ベントレーS1。

●今も続くスポーツカーの名門・ロータス

多くの英国車メーカーが消滅し、今も残っているジャガーやランドローバーですら他国資本になってしまいました。スポーツカー専業だったロータスも他国資本になりましたが、それでもエリーゼを筆頭にニューモデルを生産し続けています。

まず紹介するのは、ロータスが自動車メーカーとして世界中に認知された名車・エランです。1962年に発売を開始したエランには高性能な1.6リッターDOHCエンジンが搭載され、優れた操縦性とともに人気になります。こちらはエラン最終モデルのS4スプリントで、ビッグバルブと呼ばれる強化型エンジンになっています。

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ロータス・エランS4スプリント。

エランに次いで発売されたヨーロッパは2台が並んで参加していました。どちらもモディファイされていて手前の白はリヤウイングを追加しています。奥の赤白モデルはヨーロッパのレーシングバージョンである47GTを模した姿になっています。

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2台のロータス・ヨーロッパ。

ロータスが初めて量産車として発表したのがクーペのエリートとオープンのセブンです。セブンは連綿と作り続けられ、ロータスが生産を終了した後もケータハム社が製造販売権を引き継ぎ、今でも新車が買えます。

こちらは細いスチールホイールや小振りなシールドビームランプから初期モデルと思われるセブンです。

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ロータス・セブンのフロントスタイル。
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ロータス・セブンのリヤスタイル。

このほか何台かセブン系は来場していたのですが、撮影できずに帰られてしまったケースが続きました。でも、こちらは最後まで展示されていたスーパーセブンです。

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一風変わったスーパーセブン。

ノーズコーンの形状がノーマルと違うので気になって近寄ると、なんとエンジンがホンダ製VTECに換装されていました!

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スーパーセブンに載ったホンダ製VTECエンジン。

「For Sale」と書かれていて値段が気になりましたが、オーナーさんがいないため聞けないままでした。

毎月第一日曜日に開催されるダムサンデー@草木には、素敵な名車がたくさん立ち寄ります。まだまだ紹介し切れていないので、追ってリポートします。

(増田満)

この記事の著者

増田満 近影

増田満

複数の自動車雑誌編集部を転々とした末、ノスタルジックヒーロー編集部で落ち着き旧車の世界にどっぷり浸かる。青春時代を過ごした1980年代への郷愁から80年代車専門誌も立ち上げ、ノスヒロは編集長まで務めたものの会社に馴染めず独立。
国産旧型車や古いバイクなどの情報を、雑誌やインターネットを通じて発信している。仕事だけでなく趣味でも古い車とバイクに触れる毎日で、車庫に籠り部品を磨いたり組み直していることに至福を感じている。
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