新型コロナウイルスにより期限が延長・猶予になった、車検・運転免許・自動車税のまとめ

●新型コロナウイルス対策で、期限の延長・猶予が多数。しっかり確認して対策を

世界中で猛威を振るっているコロナウイルスはカーライフにも影響を及ぼしています。車検満了の時期や運転免許の更新期限が延長されるなどの猶予措置が取られることが発表されました。

今回は、新型コロナウイルスにより変更されたクルマ関連の諸手続きについて、解説していきます。

・車検満了時期はどうかわる?

外出による新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、車検満了時期が2020年6月1日〜6月30日のクルマに対して、車検の有効期間が7月1日まで延長されました。

緊急事態宣言の発表にともない、車検の有効期限が4月17日(東京、神奈川、千葉、埼玉、大阪、兵庫、福岡の7都府県では4月8日)〜5月31のクルマを対象に、6月1日までの延長措置が行われていましたが、それらのクルマも今回の延長措置の対象になります。

そのため実質的に、7都府県では車検期間が4月8日〜6月30日、その他の道府県では4月17日〜6月30日のクルマは、車検の有効期間が7月1日まで延長されることになります。

7月1日までは仮ナンバーの申請装着などは不要で、通常通り公道を走行することができます。延長のために特別な手続きは必要なく、延長された有効期間中に継続検査の手続きをすればOKです。

基本的に全ての車両が延長対象になりますが、予定通りの期間に車検を受けても問題ありません。

車検証
車検有効期限は、満了日を過ぎても、措置の期間内であれば乗り続けることができます。焦って検査するのではなく、自動車ディーラーなどの混雑具合と相談しながら検査日を決めましょう。

延長措置に伴う、車検の受験時期をずらした場合の次回の車検満了日は、4月30日まで延長されたクルマは1・2年後の4月30日まで、6月1日まで延長されたクルマは1・2年後の6月1日まで、7月1日まで延長されたクルマは1・2年後の7月1日まで、7月2日以降に車検を受けるクルマは車検を受けた日から1・2年後となっています。

車検時に加入する自賠責保険についても、継続契約の締結手続きの猶予と保険料の払い込みの猶予が47都道府県全てで行われています。ただし、車検有効期間の延長を受けたクルマで、継続検査を受ける際には、払い込みが猶予された期間分も自賠責保険料を納める必要があります。

普通車の継続検査時は、通常24か月分の自賠責保険料の納付が必要となりますが、これに猶予期間分の保険料がプラスされます。たとえば2か月猶予では26か月分の自賠責保険への加入が必要です。

・運転免許の更新は?

新型コロナウイルスの影響を受けて、運転免許の更新期限にも猶予期間が設定されています。

免許の更新期限が2020年3月13日〜7月31日の人は運転免許センターや警察署などに申し出ることで、更新期限を3ヶ月間延長することができます。延長された期限内に通常通りの更新手続きを行えば、免許を失効することはありません(免許の更新期限が延期されるだけで、更新手続き自体が不要になる訳ではないので注意してください)。

免許の更新期限を延長するためには、警視庁の窓口に行って手続きを行うか、必要書類を郵送する必要があります。

運転免許
運転免許証の有効期限についても延長措置が実施されていますが、こちらは申請ベースとなります。管轄の警察署や運転免許センターへ相談しましょう。

現時点ですでに更新期限を延長した人でも、延長後の更新期限が7月31日までの人は再び期限を延長することができます。例えば、もともとの更新期限が3月15日だった人は、一度延長手続きをして6月15日までになっていても、再度9月15日まで延長できるということです。

外出自粛要請の影響などで期限までに更新手続きを行うことができず運転免許を失効してしまった場合は、運転免許の失効から3年以内、かつ新型コロナウイルスによる影響が収まってからから1ヶ月以内ならば、免許の再取得の際に学科試験・技能試験が免除されます(今回に限らず、自然災害などのやむを得ない事情で免許を失効した場合は、学科試験と技能試験が免除されることとなっています)。

再取得に必要な手数料が減額されるので、係員に申し出るようにしてください。

・5月支払いの自動車税は?

自動車税の支払い期限は通常5月31日です。しかし、新型コロナウイルスによる営業自粛などの影響で収入が減ってしまった人のことを考慮して、申請した人は納税期限が1年間の猶予されることとなりました。滞納金は全額免除で担保は不要です。

納税が猶予される条件は、
①新型コロナウイルスの影響により、令和2年2月以降の任意の期間(1か月以上)において、事業等に係る収入が前年同期に比べて概ね20%以上減少していること。
②一時に納付し、又は納入を行うことが困難であること
となっています(宮城県HPより)。

つまり、収入が前年比で20%以上減った人で自動車税の支払いが難しい人は、納税期限が延長されるということです。この条件を満たしていなくても、納税期限を延長してもらえる場合もあるので、一度お住いの自治体に確認してみてください。

自動車税
支払いの難しい状況にある自動車税は、申請を行うことで支払い猶予ができます。黙って払わないという状況にはせず、しっかりと延長申請を行いましょう。

納税期限を延長するためには申請書類を書いて、所轄の県税事務所に郵送などで提出します。2020年6月30日か納期限のいずれか遅い方の日付までに申請が必要です。原則として収入の状況が把握できる資料の提出が必要ですが、証明が難しい場合は口頭での説明でも認められる場合があります。

期限延長の申請を行わず期限に間に合わなかった場合は、1ヶ月以内なら年2.6%、それ以上なら8.9%の延滞金が発生してしまいます。自動車税は納付しないと車検が受けられない上、最悪のケースでは財産が差し押さえされる場合もあるので、納税が難しい人は必ず申請するようにしましょう。

・まとめ

今回は、新型コロナウイルスの影響で変更された車検・運転免許・自動車税の期限について解説しました。

「外出自粛なのに車検に行かなければいけない」「自動車税が払えない」と悩む前に、猶予期間の対象になっていないか、一度確認してみてください。

(文:佐々木 亘)

この記事の著者

佐々木亘 近影

佐々木亘

大学卒業後、銀行員になるも3年で退職し、大好きだった車の世界へ足を踏み入れました。自動車ディーラー営業マンへ転職し、レクサス・セールスコンサルタントとして自動車販売の現場に7年間従事します。
現在はフリーライターとして独立し、金融業と自動車ディーラーでの経験を活かして活動中です。車にまつわる金融・保険・法規などの、小難しいテーマを噛み砕き、わかりやすい情報へと変換して発信することを心がけています。常にエンドユーザーの目線に立った、役立つ情報を届けていきたいと思います。
続きを見る
閉じる