「ちょうどいい」から売れている メルセデス・ベンツGLC 220d 4マチック・前篇【プレミアムカー定点観測試乗】

●多くのユーザーから支持されている秘訣とは?

こんにちは。花嶋言成です。今回は輸入SUV随一の売れ線モデル、メルセデス・ベンツGLCのディーゼルエンジン搭載車を取り上げましょう。

輸入車の世界でもSUVブームはますます健在ですが、それでも売り上げ台数の面ではまだまだコンパクトカーやセダンが主役を張っています。

ここ15年のJAIA(日本輸入車輸入組合)が発表したモデル別新車販売ベスト10を見ると、SUV単体としてランキングに食い込んだことがあるのはBMW X1とメルセデス・ベンツGLCの2車種に限られます。GLCは日本上陸した2016年から昨年までトップ20圏内を守り続け、非常に安定した販売実績を示しています。

「そのわりに、それほど街中で見かけた機会が多い気がしないな」と思う方は、私のほかにもいらっしゃることでしょう。しかし、それこそこのGLCが、多くのユーザーから支持されている秘訣であると私は考えます。

スマートで都会的に見えるサイドビュー

ポイントのひとつはスタイリング。先代にあたるGLKより低く、幅広いボディは一見Cクラス・ステーションワゴンを持ち上げただけのようにすら見えるほど、スマートで都会的に見えます。

ちょうど取材中に駐車場で現行Cクラス・ワゴンと隣り合わせる機会があったのですが、それぞれのボディパネルは、若干背の高いGLCに合わせて微妙に調整したオリジナル形状です。十分な販売台数が見込めるセグメントゆえ、惜しまずコストをかけられたのでしょう。

ふたつめはサイズです。1890mmの全幅は街中で駐車場を探すのに苦労しない上限であり、4670mmの全長はCクラス・ワゴンよりホイールベースを35mm伸ばしたにもかかわらず、むしろ短く抑えられています。

Cクラス・ワゴンと並ぶと微妙にボディパネルが異なることがわかる

こうした外観上の特徴は、いかにも高級輸入SUVでござい、という押し出しの強さを薄める反面、日本の路上における扱いやすさの向上と、メルセデスらしく慎ましいデザインの実現に貢献しています。

多くのユーザーの選択肢に入りやすくなる要素として、より流麗なスタイリングを実現した「GLCクーペ」の投入や、ガソリン、ディーゼル、ハイブリッド、パワフルなAMGモデルといったパワーユニットの豊富な選択肢、4WDを排し後輪駆動とした廉価版の用意といった、非常に幅広いラインナップも挙げられるでしょう。

●価格以上に高そうに見える

今回、試乗車として選んだのは現在のラインナップで最廉価である2リッター4気筒ディーゼルユニット搭載の「GLC 220d 4マチック」。車両本体価格は税込700万円ですが、AMGライン(58万8000円)、レザーエクスクルーシブパッケージ(65万5000円)、パノラミックスライディングルーフ(17万9000円)、有償ボディカラー・ヒヤシンスレッド(20万6000円)を含んだ合計は862万8000円となります。

プラットフォームを共有するCクラスの延長上にあるミッドサイズSUVとしてはなかなかのお値段ではあります。しかしこのGLCをある友人女性に見せたところ「あなたが前に乗っていたX5(先代のxDrive40i Mスポーツ)より高そうだね!」と。

筆者がしばらく乗っていた先代X5、新車価格は1200万円くらいでしたから、GLCの見た目コストパフォーマンスはなかなか高いと言っていいでしょう。

レザーとウッド、アルミ調パネルで装飾されたインテリア

お高く見える要素としては、「メルセデスってそもそも高そう」「インテリアが豪華」「ボディカラーが特徴的」だそうで、高額に見えるオプション群はいずれも価格相応の効果を発揮していると言えます。

AMGスポーツシートは、バックレスト左右こそ少し盛り上がっているものの、座面の左右はそれほどバケット形状になっていないので乗降の邪魔になりません。

コクピットに収まって思うのは、レザーとウッドとアルミ調パネルの装飾がなかなか賑やかなことと、車両のサイズに比べるとステアリングも、シートも、ダッシュボードもコンパクトに感じることです。

ちょうど筆者が普段走らせているジャガーXFがGLCと同等の全幅を持っていますが、そのXFに比べると前席は幅方向に明らかにタイトです。これはインテリアの主要部品が50mmほど全幅の狭いCクラスと共通であることを反映したもので、ドアトリムは逆にふくよかな形状でボリュームがあるのですが、平均的サイズの日本人である筆者にとって、この密集感はなんとなく心地よく思えました。

●「AIR BODY CONTROLサスペンション」の威力

この連載で必ず走る、1周50km少々のいつものコースに出かけましょう。走り始めてまず気づくのは、この手のSUVとしては異例に乗り心地がよいことです。

路面との間に一枚、ウォーターベッドのクッションを噛ませているような、ふわりとした浮遊感が存在します。装備表を見ると、オプションの「AMGライン」には4輪エアサスペンションに電子制御ダンパーを組み合わせた「AIR BODY CONTROLサスペンション」が含まれていました。

ベーシックな4気筒モデルからAMGまでカバーするCクラスのプラットフォームでは、実は多くのグレードでエアサスペンションを選べるようになっています。

かつてはエアサスと言うと、かなり重くて値段も高く、メインテナンスも大変な超高級車専用の装備というイメージがありましたが、最近はコイルバネに比べ30kg増くらいで済むようになり、価格的にも信頼性の面でも身近な存在になりつつあります。

エアサスペンションは3つのモードから選択できる

エアサスペンションはコンフォート、ECO、スポーツの3段階で調整が可能です。コンフォートを選んでいると、とても柔らかな乗り心地で路面の凹凸をうまく遮断してくれますが、操舵に対してはおっとりと反応し、操舵力自体も比較的中立付近で重いこともあり、あまり曲がるのは得意ではないのかな、と思わせます。

いっぽうスポーツモードを選ぶと、足回りは一気に締め上げられて路面の起伏を忠実に反映するようにはなるものの、ブレーキング時の沈み込み方の自然さや、ステアリング操作に対する応答性がすごく良くなって、かなりスポーティーなフィーリングに変化します。

高速道路に入りスピードを高めていくと、コンフォートモードを選んでいても浮遊感が得られるのは法定速度の範囲内までで、次第にタイヤの上下動は規制されるようになっていきます。

追越車線の流れに乗るスピードでは、徐々に車高が下がって路面に張り付くような、スプリングレートが高まった引き締まった乗り心地になってくるので、スピードを問わず、とくにスポーツモードを選んだ場合は安定したハンドリングが楽しめます。

この手のSUVだと、ラゲッジスペース拡大のためにオーバーハングさせたリアがコーナリングの際に重く感じられるケースもあるのですが、GLCの場合、Cクラス・ワゴンよりもむしろテールを切り詰めてあるため、そういったバランスの悪さを意識することはありませんでした。

エンジンのフィーリングや燃費、自動運転支援装備については後篇で紹介します。

(花嶋言成)

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