■実感できる電動パワーステアリング、サスペンションの改善
2019年7月にマイナーチェンジを受け、9月から発売されたMAZDA2。私事ですが、マイナーチェンジ半年前に納車されたデミオ・オーナーとして、以前の試乗よりもう少し長い距離を走らせてみたいと気になっていました。
車名を変えた直近のマイナーチェンジでは、内外装デザインのリフレッシュに加えて、新サスペンションや新構造のフロントシートの採用、「G-ベクタリング コントロール プラス(GVC プラス)」の搭載など、走りにも手が入れられています。
なお、MAZDA2の新サスペンションには、減衰量と応答性向上、ダンパーの応答性アップ、リヤにはトップマウントのウレタン化が盛り込まれ、タイヤにも乗り心地改善、制動停止距離の改善、ロードノイズの改善が盛り込まれています。さらに、「GVC プラス」の採用による応答性向上(ロール・ピッチの同期)も期待できるそう。
試乗したのは、「15S PROACTIVE S Package/4WD」で、試乗車は185/60R16タイヤ(トーヨータイヤのPROXES R55)を装着。走り出してまず気がついたのは、電動パワーステアリングの手応えのしっかり感が増したことで、これは街中でのステアリング操作でのしっとりした感覚だけでなく、高速域でも手応えが高まり、よりまっすぐ走らせやすくなっています。
さらに、デミオと比べると、乗り心地の向上も感じられます。筆者のデミオ(1.5Lガソリン/MT)は、ヨコハマタイヤのBlueEarth-A(185/65R15サイズ)で、MAZDA2の試乗車は先述したように185/60R16タイヤ。それでも、路面からの細かな振動が少なくなり、全体的に角が取れたようなフィールになっています。
とはいえ、マイナーチェンジでの変更であること、ショートホールベースのコンパクトカーということもあり、シーンによってはまだヒョコヒョコとした乗り味を示すこともあります。それでも、全体的には乗り味がより上質になった感があります。
首都高速道路や高速道路、郊外路などでのコーナリング時には、「GVC プラス」による操縦安定性の高さも実感できます。先述したように、EPSのセッティングもあって直進安定性が向上したことに加え、持ち前のフットワークの高さに安定感が加わっています。細かな修正舵を無意識であてるようなシーンが減り、ドライバーの疲れも軽減されそう。
MAZDA2で分かりやすいのは、新しいフロントシートの採用でしょう。以前試乗した際は、街中中心で短時間であったこともあり、「実感」までには至りませんでしたが、新しいシートは、背もたれをより心地よく支えてくれる感覚で、座面の沈み込みも抑制されているように感じます。
よりフィット感の高まったバックレストは、理想的な姿勢である、脊柱のS字カーブの維持が狙いだそう。長めの距離を走っても疲れを誘わなくなったのは、朗報といえます。
さらに、天井材最厚部(トップシーリング)の吸音力が約35%高まったことで、人がうるさく、不快に感じる高周波数域が届きにくくなり、全体に上質な乗り味になったのも実感できました。1人で試乗したため、会話することはありませんでしたが、複数の乗員でのドライブでも感じられる改良点だと思います。
MAZDA2は、車名変更と顔つきが変わった印象が強く感じられるものの、その真価は走りの上質さを増したことにあります。
なお、試乗車の1.5Lガソリン「15S PROACTIVE S Package/4WD」の実燃費は、180.1km走行し燃費は15.8km/L(満タン法/高速道路7割、一般道3割)でした。
(文/写真 塚田勝弘)