日本が世界をリードする! 自動運転に関する保安基準が策定されました【週刊クルマのミライ】

■保安基準の対象装置に「自動運行装置」が追加。自動運転を示すステッカーのデザインも決定

東京オリンピック・パラリンピックは延期になってしまいましたが、その一大イベントに向けて官民挙げて自動車業界は自動運転を世界にアピールする予定でした。多くのメーカーが2020年夏に自動運転レベル3の実用化をうたっているのは、まさしくオリンピック・パラリンピックをターゲットにしていたことを示しています。

さて、そうした自動運転実用化へのロードマップにおいて法制面での整備は重要というのは前々から言われています。このたび国土交通省から『安全な自動運転車の開発・実用化・普及を図るため、自動運転車の安全性能やその作動状態の記録項目等を定めた安全基準を策定するとともに、周囲に自動運転車である旨を分かりやすく表示するために車体に貼付するステッカーのデザインを決定しました』という発表がありました。

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国土交通省より発表がありました。『安全な自動運転車の開発・実用化・普及を図るため、自動運転車の安全性能やその作動状態の記録項目等を定めた安全基準を策定するとともに、周囲に自動運転車である旨を分かりやすく表示するために車体に貼付するステッカーのデザインを決定』

ついつい自動運転を示すステッカーの策定に目が奪われてしまいますが、これにより「自動運転装置」に関する保安基準の改正がなされたことに注目すべきでしょう(施行は2020年4月1日)。

車検対応のチューニングなどでは保安基準を満たしていることが大基本になるというのは知られています。つまり自動運転に関する保安基準が決まったということは、その基準を満たしていれば車検をとれるというわけですし、日常的に公道における自動運転走行が可能になることを意味しています。

公道における自動運転車の実証実験が行なわれている国や地域は世界中にありますが、いずれも特例的な許可を得てのものとなっています。しかし、日本においては保安基準を満たしていることを申請しておけば自動運転車の公道走行や量産が可能ということになります。自動運転に関する法整備としては世界をリードするものです。

ちなみに、改正された保安基準の文言を読む限り、自動運転装置をバイク(二輪)に備えることは認められていないようです。また、自動運転装置の有無にかかわらず、ほとんどの四輪車にはサーバーセキュリティを確保することが求められることになりました。さらに無線を利用したOTAアップデートについても考慮していることも文言には含まれています。かなり積極的に最新トレンドを盛り込んだ保安基準と読み解くことができます。

今回の保安基準および道路運送車両法施行規則の改正が、自動運転時代に向けて日本の自動車産業がリーダーシップをとる追い風になることを期待しましょう。

(自動車コラムニスト・山本晋也)

この記事の著者

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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