■フロンテクーペやパンテーラなどバラエティ豊かな参加車たち
●昭和平成のクラシックカーフェスティバルinキャッセ羽生
スズキを代表するスポーツクーペが1971年に発売されたフロンテクーペです。360ccの水冷3気筒3キャブレターエンジンをリヤに搭載して、ルックスだけでなく軽自動車とは思えない動力性能が魅力でした。
スポーティなモデルらしく純正で様々なオプションパーツが用意されていたフロンテクーペですが、こちらにはグリルと一体になるヘッドライトルーバーが装着されています。
オーバーフェンダーやカーボンボンネットでカスタムされたこちらのフロンテクーペは、なんとエンジンを電気モーターに変更した自作EVコンバート仕様です。
定格出力が大きいため、純正の2ストロークエンジンよりも速い性能を実現しています。
フロンテクーペの生産は排気ガス規制の強化で終了してしまいますが、1年後の1977年に後継車としてセルボが発売されました。こちらは佐野のイベントでも紹介したセルボです。
セルボは1982年にRRからFFへ大転換するモデルチェンジを行います。その翌年に、FFとなったセルボをベースとしたピックアップトラックのマイティボーイが新発売されました。その当時は最も安価な4輪自動車として人気を博し、1988年まで生産されました。こちらは主催クラブ代表が所有するクルマです。
マイティボーイに次ぐ47万円という低価格で大ヒットしたアルトは、2代目に進化すると1985年に軽自動車初のインタークーラーターボで武装したアルトターボを発売します。これが軽自動車のハイパワー競争に拍車をかけ、1987年にはこちらのアルトワークスが発売されることになりました。今も続く最高出力の自主規制64馬力は、この時に生まれました。
スズキは時として意欲的なモデルを世に送り出しますが、その際たるモデルが初代エスクードをベースにTバールーフ構造を採用したX-90でしょう。海外を皮切りに日本では1995年から発売されましたが、わずか1300台強しか売れませんでした。このような状態で残っている個体はごくわずかと思われます。
今回の主催者によるイベントは国産車が多い傾向にありますが、もちろん輸入車も参加しています。特に珍しいモデルは並んで展示されることが多いようです。
例えばこちらはジャガーSSレプリカのパンサーJ72と、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の劇中車として有名なデロリアンが並んでいました。まるで異なる個性の2台ですが、国産車の中に並ぶと個性が際立っていました。
イギリスを代表するスポーツカーで、アメリカでも大ヒットしたのがジャガーEタイプです。1961年に発売されてから数年は直列6気筒エンジンの排気量を拡大し続けますが、1971年にV型12気筒に換装されます。こちらは1974年式のシリーズ3で、極上のコンディションにレストアされています。
こうしたイベントで見かけることが多いイギリス車というと、やはりロータス・ヨーロッパでしょう。こちらは1972年にロータス自製のDOHCビッグバルブエンジンを搭載したスペシャルです。フロントの車高を下げスポイラーを装着、エンジンフードにウイングを装着するなどカスタムされています。
イギリス車といえばミニを外せません。こちらは最終モデルのインジェクションを装備する1.3です。オリジナリティを重視しているようで、ノーマルをキープしてます。
今回のイベントで目玉となったのが、このデ・トマソ・パンテーラでしょう。後のGTSやGT4、GT5などのようなオーバーフェンダーなどを持たないカロッツェリア・ギアによる美しいオリジナルデザインです。
後から見るとミッドシップレイアウトであることを主張するデザインです。
イタリア車としてはパンテーラのほかにフィアットX1/9も参加していました。と言ってもこちらは最終モデルで車名がベルトーネX1/9を名乗ったモデルです。
パンテーラほどのインパクトはありませんが、こちらも非常に珍しいVWベースのデューンバギーです。VWビートルをベースにホイールベースを短縮してFRPボディを被せたバギーで、アメリカで大流行したモデルです。
VWビートルは豊富な社外パーツが存在しますので、エンジンのチューニングやカスタムが容易にできることも特徴でしょう。
VW続きでは2代目ゴルフが参加していました。新しいモデルと思いがちですが、1983年に発売され、1992年に生産を終了していますので30年近くも前のモデルということになります。
ドイツ車ではBMW320カブリオレも参加していました。こちらも80年代の名車ですが、旧車イベントでは新し過ぎて少数派という微妙な年式です。
●昭和平成のクラシックカーフェスティバルinキャッセ羽生
・開催日:2020年3月7日
・開催場所:キャッセ羽生(埼玉県)
・主催:日本旧軽車会、オール日本ライフクラシックカー倶楽部
(文と写真:増田満)
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