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■VWグループが2020年の年次記者会見を開催
欧州7か国の12ブランド(VW乗用車、アウディ、セアト、シュコダ、ベントレー、ブガッティ、ランボルギーニ、ポルシェ、ドゥカティ、VWコマーシャルビークルズ、スカニア、MAN)で構成されるVWグループ。
同グループの2019年のグローバル販売台数は前年比1.3%増の1,097.5万台で、トヨタグループの1,074.2万台(同+1.4%)、ルノー・日産・三菱自の1,015.5万台(同‐5.6%)を抑えて世界一の座を維持しています。
VWグループでは未来世代のためにモビリティを持続可能にすることを目標にしており、「TOGETHER 2025 +」と称するグループ戦略の強化を展開しています。
■「TOGETHER 2025 +」戦略とは?
同グループによる2025年を見据えた新経営戦略で、①コアビジネスの変革、②モビリティサービスの構築、③イノベーションパワーの強化、④資金の確保という4つの分野を軸に取組むべき課題と目標を設定しています。
①についてはSUV攻勢や電動化の推進(2025年までにEVを30車種以上投入)をあげており、バッテリー技術の自社開発にも注力するとしています。また②ではオンデマンド配車アプリ会社との提携やモビリティサービス会社の新設、③についてはデジタル化やAI(人工知能)の活用拡大、④では2025年における営業利益率7‐8%、資本利益率を14%超とする計画をそれぞれ掲げています。
2019年11月に同グループが発表した次世代技術への投資計画によると、5年間でハイブリッド化、電動モビリティ、デジタル化に約600億ユーロを投資する計画で、うち電動モビリティに330億ユーロを投資。
2029年までにEVを最大で75車種、ハイブリッド車を60車種投入する計画で、前者の累計販売台数計画を2,600万台、後者を600万台と見込んでおり、EVの生産は2022年までに欧・米・中の18工場で行なうそうです。
約12億ユーロを投資したVWグループのEV生産拠点Zwickau(ツヴィッカウ)工場では、今夏販売予定の「ID.3」の量産が昨年11月から行われており、今年は同工場で10万台以上のEVが生産される予定。
またVWは自動運転や電動化の分野で米フォードとの提携を拡大しており、フォードでもVWのEV専用「MEB」(モジュラー エレクトリック ドライブ マトリックス)プラットフォームを使用する模様。
■質疑応答は感染予防でスタジオでのWeb中継に
その一方、欧州における新型コロナウイルスの感染拡大から部品調達が難しくなっており、VWは3月17日、ドイツを含む欧州のほぼ全ての工場で19日夜から2週間に渡り、生産を休止すると発表しました。
また今回の会見ではヘルベルト・ディース社長ら5名が登壇しましたが、コロナウイルス感染への配慮から報道関係者を招待しない、Webを介しての異例の質疑方式がとられました。
会見では報道陣からコロナウイルスの影響による今年度業績見通しについて多くの質問が出ましたが、ディース社長は「コロナウイルスは営業面や財務面でも未知の逆風」としており、「この状況下では信頼できる業績見通しが提示できない」としています。
VWグループでは乗用車を生産するウォルフスブルク工場などのドイツ主要拠点やスロバキア、スペイン、ポルトガルの工場を止めるそうで、アウディやシュコダなどの傘下ブランドの工場も順次休止するそうです。
このように今回の新型ウイルスの影響は世界的に広がりをみせており、VWグループにおける今後の事業計画への影響が懸念されます。
(Avanti Yasunori・画像:フォルクスワーゲン)
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