■トレッドに描かれた緑や青の線は瞬時にサイズを確認するためのもの
新品のタイヤを見るとトレッド(接地)面に緑や青、赤などの色の付いたペイントがグルっと1周塗られているのを見たことがある人も多いと思います。このペイントは識線と呼ばれます。識線が付いているといかにも新品という感じがして“うれしい”という人もいますが、逆にタイヤがかっこ悪くて嫌いという人もいるでしょう。識線は何のために付いているのかといえば、じつはサイズなどを瞬時に確認できるようにするためのものなのです。
メーカーによってその規則性はいろいろありますが、某国産メーカーの場合はサイズによって色を使い分けています。その分け方ですが、14インチは赤、15インチは緑、16インチは青……というようなものではなく、もっとザックリしています。たとえば14インチは赤、15インチは緑、16インチは再び赤というように奇数と偶数で分けているのです。つまり、14インチと15インチはパッと見でわかりづらいけど14インチと16インチは明らかにサイズの違いがひと目でわかる。だから複雑にすることはなく、奇数と偶数というザックリした分け方にしているのです。識線はユーザーのためではなく、工場での仕分けなどのために使われるものなのです。
●側面のマークはバランス取りや真円度に関するもの
一方、タイヤのサイドウォール(側面)に赤や黄色の丸形の印が付いているのを見たこともあるでしょう。この印にも意味があります。黄色い印は「軽点」とか「バルブマーク」とか呼ばれます。この「軽点」をホイールの一番重い位置とされるバルブと合わせて装着することで、バランス取りがしやすくなると言われています。しかし、実際はそこを合わせたからと言って、もっともバランスウエイトが少なくて済むかといえばそうではないところが難しいところ。タイヤ組み付けの職人はさまざまなノウハウを持っていて、あまりに大きなバランスウエイトを付けなくてならないときはさまざまな手法で上手に組みます。
また赤い丸印が付いている場合もあります。赤は「ユニフォーミティマーク」と言われるもので、タイヤの半径がもっとも長い部分に付けられています。できる限り「真円」を狙って作られるタイヤですが、どうしても真円にはならないのが現状です。「ユニフォミティマーク」はホイールに付けられている「位相合わせマーク」と合わせて組み上げるのが基本です。「位相合わせマーク」はホイールに貼られている白い丸や青い丸のことです。タイヤの赤丸とホイールの白丸(青丸)を合わせることで、組み上がったタイヤの真円度を高めることが可能と言われています。「位相合わせマーク」は走っているうちにとれてしまいますので、気になる場合は写真を撮っておくなどするといいでしょう。もっともそこまで神経質になる必要はありませんが。
(文・諸星陽一/写真:ガレージザウルス)
この記事は2022年3月15日に再編集しました。
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