素直なハンドリングと上質な乗り味が味わえる「GLC 300 4MATIC」【メルセデス・ベンツGLC試乗】

■258PS/370Nmのアウトプットで申し分のない力強さ

左ハンドル仕様のみで、角張ったスタイリングが印象的だったメルセデス・ベンツGLKが、2015年のマイナーチェンジを機に車名をGLCに変更。現在のGLCは、そしてGLCクーペは初代ということになり、2019年10月にマイナーチェンジを受けています。

なお、メルセデス・ベンツのSUVであることを表す「GL」に、車格を示す「C」が付けられ、「CクラスのSUV」とも表現されています。

メルセデス・ベンツ GLC
メルセデス・ベンツ「GLC 300 4MATIC」の外観

2019年10月にマイナーチェンジを受け、11月からデリバリーが開始されている最新のGLC/GLCクーペは、力強いアンダーガードと2本のパワードームが走るボンネットが印象的で、背の低いCクラスよりも大きさと低度な重厚感を抱かせるスタイリングが印象的です。ボディサイズは全長4665×全幅1900×全高1645mmで、ワイド&ローのスタイリングとなっています。

メルセデス・ベンツ GLC
2.0Lの直列4気筒ガソリンターボは、258PS/370Nmという動力性能を確保する

試乗した「GLC 300 4MATIC」には2.0Lの直列4気筒ターボエンジンが搭載され、ツインスクロールターボと可変バルブリフトにより、力強さを抱かせる低回転域から高速域の伸びまで気持ちのいい加速が印象的。

マイナーチェンジ前の「GLC 250 4MATIC スポーツ」に相当する仕様で、最高出力は47PS向上し、最大トルクは20Nm増強されています。エンジンスペックは最高出力が258PS/5800-6100rpm・最大トルクは370Nm/1800-4000rpm。なお、WLTCモード燃費は10.7km/Lです。

メルセデス・ベンツ GLC
GLC 300 4MATICのリヤビュー

■自然な操舵感で運転しやすい

試乗ステージは、変速機の仕事ぶりが試される山の中腹からスタートするコースで、組み合わされる9速ATはレシオカバレッジが広く、エンジン回転数を低く抑えることが可能なこともあってか、普通に走る分には非常に静か。

「ダイナミックセレクト」と呼ぶ走行モードがデフォルトの「コンフォート」でも登り勾配を物ともしないトルク感、伸びやかな加速を十分に享受できたのに「スポーツ・プラス」にすると豹変するほどホットな走りも楽しめます。

メルセデス・ベンツ GLC
メルセデス・ベンツGLCの走り

「スポーツプラス」では、足まわりがかなり引き締まり、パワステの手応えもズシリと増してきて、高い機動力も堪能できます。それでもナチュラルな操舵感はメルセデスのSUVらしく、高い機動力や前後荷重移動を意識させながら積極的に向きを変えていくというよりも、操舵に対して自然にノーズを向けていくセッティングが施されています。

メルセデス・ベンツ GLC
GLCの「ダイナミックセレクト」

また、「スポーツ・プラス」にすると乗り心地は確かにハードになりますが、そのテイストは基本的にジェントル。さらに、1.7t前後であるCクラスセダンよりも車両重量が重い分(GLC 300 4MATICは1890kg)、快適性では有利に感じられます。

メルセデス・ベンツ GLC
GLC 300 4MATICのインパネ。車両本体価格は775万円

なお、GLCの4MATICは、AMGモデルが「50:50」〜「0:100」で可変する前後トルク配分型で、ノーマル仕様は「31:69」の固定トルク配分型。リヤ寄りのトルク配分で、ナチュラルなハンドリングと十分なトラクションを感じさせる仕上がり。

悪路走行や雪上で走る機会はありませんでしたが、街中を静かに走り、キャンプに向かう未舗装路や冬道でも安心感も手にできるのは間違いなさそうです。

※上記写真には、「300 4MATIC」以外も含まれています。

(文/塚田勝弘 写真/メルセデス・ベンツ日本、塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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