ソニポンより速いロッキーGに乗ってみたら、トヨタと差別化したダイハツのオリジナリティが生きていた!【清水和夫StartYourEnginesX】

■DNGAの第2弾のロッキーは、お手軽シンプルだがしっかりした走り味!

ダイハツのプラットフォーム「DNGA」から生まれた小型SUV「Rocky(ロッキー)」に、国際モータージャーナリスト・清水和夫さんが試乗インプレッション!

トヨタグループとなったダイハツ工業の今、立ち位置…そんなお話も含め、まるで助手席に乗って清水さんとドライブしながら教授していただいている…、そんな感覚にもなる動画と合わせて、ド~ゾ!

●ロッキーはトヨタ「RAIZE(ライズ)」の兄弟車!

お~、ダイハツの新しいDNGA! トヨタのTNGAに対抗してダイハツの新しいグローバルアーキテクチャー、DNGAのロッキーです。

このセグメント、コンパクトSUVのジャンルに入るんですけど、最近コンパクトカーもSUVブームですね。軽自動車でいえばスズキのハスラーも人気ありますしね。

ロッキー試乗中の清水和夫さん
さぁ、ダイハツDNGA第2弾として登場のロッキー、FFと4WDに乗ってみましょう!

実はこのDNGAはこのロッキーで第2弾目。第1弾は軽自動車の新しいプラットフォームで作ったタントです。そのプラットフォームを使ってこのロッキーも作られます。まぁプラットフォーム共用といってもやっぱりフロアの幅とホイールベース、こういったところは当然、サイズは変わってくるわけです。

プラットフォームの概念は難しいですけど、生産工場へ行けば分かります。いわゆるプレスやラインの設備投資が同じだと、プラットフォーム共用だと言えますね。実際に幅とかホイールベースは変わっていてもいいと思います。

ロッキーのインパネ
ところどころにシルバーのアクセントが点くロッキーのコクピット。

そういう意味で非常にフレキシブルなプラットフォームの考え方が、最近トヨタグループの中で流行っています。トヨタのTNGAはヤリス、ダイハツのDNGAはロッキー。トヨタとダイハツは全く異なる考え方で開発されています。

トヨタは逆に言えば新興国は諦めてヨーロッパ、日本を含めた先進国用のプラットフォームがTNGA、そしてヤリスが作られました。ですから当然、乗り味とかテイスト、音、振動など、より良いクルマに仕立てています。

一方ダイハツはトヨタグループの一員ですがTNGAと差別化するために、こちらはなるべく安く、シンプルに作ります。そしてスマートアシスト、高度運転支援系の安全技術を、ひとつ下のクラス、軽自動車のセグメントまで広げていく…という使命を持っています。そういう部分で、トヨタとのクルマ作りの差別化が行われているわけです。

ロッキーのシート
赤いラインがオシャレなロッキーのシート。

●ダイハツらしさを前面に!

さて、このDNGA第2作目のロッキー、コンパクトSUV、エンジンは1L・3気筒のターボ、それにCVTが加わっています。

ロッキーのエンジン
エンジンは直3DOHCインタークーラー付きターボです、

ダイハツのCVT、実は自前なんです。トヨタは全部アイシンAWで開発していますけど、CVTに関してダイハツは結構、一過言あって自分たちで作っています。ダイハツは完全にトヨタの子会社…というかトヨタの中に入ってしまった自動車メーカーですが、しかしまだまだ「ダイハツとしての独自性」を持っているんですね。

そこはある意味、トヨタも懐が深いな~って気がしますね。ダイハツをトヨタナイズしてしまったら、ある意味元も子もないですから、ダイハツの持っている良さを阻害しないように緩やかにトヨタグループの中に入っている…、そんな立ち位置かなと思いますね。

このロッキー、トヨタ版のOEMが「RAIZE(ライズ)」というSUVで、すでにトヨタディーラーで市販されています。全長4m弱(3995mm)ですから、非常に取り回しの良いコンパクトカーで、実際に走ってみてもSUV的な車高のため、視界もいいし運転しやすいです。

結構このロッキー、おススメだな~!

●ロッキー&ライズはフィットSUVと、ヤリスはフィットとガチ勝負予想!

そ~いえば、東京モーターショー2019にフィットベースのSUVも出ていましたね。なので2020年辺りはヤリスとフィットのガチの戦い! それとフィットベースのSUVとこのロッキー&ライズ、この辺の戦いも面白そうですね!

だからなんだろ…、普通のヤリス、フィットは売れないんじゃないかと。全部コッチのコンパクトSUVにいっちゃうんじゃないかと思うくらい、ちょっと背が高くて運転しやすくて乗り心地もいいSUV。車高の低い5ドアハッチを買う意味が、もうあまりないような気がしますね。だから5ドアを作るのなら、物凄くホットハッチにしてドライビングプレジャーを高めていくような作り方が必要なのかもしれません。

●ロッキー4WDはFWDより穏やかチック

今度はロッキーの4WDです。トーションビームですが4WDが出来ています。トヨタのヤリスは4WDにするとリヤが独立懸架のウィッシュボーンになりますけど、ダイハツのロッキーに関しては、FWD、4WDのリヤサスは同じトーションビーム方式です。

4WDの価格が+20数万円? 4WDでオプション付けて240数万円くらい。

あらッ!(←ちょっとオカマチック!) FWDよりも4WDのほうがちょっと穏やかチックですね!

ロッキーってクライスラーのジープシリーズみたいな感じですね。考えてみたら、ジープもラングラーがバカ売れで、世界はクロスカントリー系のSUVに人気がいっていますね。アーバンなSUVではなくて、もうちょっとアウトドアとかオフロードをイメージするようなSUVのデザインに今、人気が集まっています。なので私も今日はちょっとサファリルック的なファッションにしてきました~!

ロッキーのリヤビュー
アウトドアに行きたくなる! しかも気軽に行けるのが小型SUVの魅力です。

●サファリとモンテを走らずに死ねるか! by Kazuo SHIMIZU

そうそう! 2020年、WRCでサファリラリーが復活するとか言っていましたね! 昔の石原裕次郎の映画『栄光への5000キロ』…人生でもう一度出たいラリーがあるとしたら、サファリとモンテカルロだな。サファリとモンテを走らずに死ねるか!みたいな思いがありますね。

それにしてもロッキー4WD、リヤの突き上げが無いね! FFよりも4WDのほうが穏やかな乗り味です。ロッキーを買うなら4WDだね。4WDでディスプレイオーディオとブラインドスポット(車両の左右後方からの車両接近を検知)、これはぜひオプションで押さえたいですね!

試乗中の清水和夫さん
たま~に清水さん独自のインプレッション・ワードが出てきます…チョロチョロする…!?(笑)

FFのときはチョロチョロってするときがあったんだけど(※清水流インプレッション…リヤの接地感について、お察しください!)、やっぱり4WDになるとしっとり安定した接地感が得られます。

トヨタのTNGAに対して、ダイハツのDNGAは安く作るとは言われていましたけど、実際かなり乗り味は悪くないですよ!

ロッキー諸元表
ロッキーのFWD/4WD諸元表。

(試乗&レポート:清水 和夫/アシスト:永光 やすの/動画:StartYourEnginesX/取材協力:ダイハツ工業)

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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