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■ニッサンIMKは次期型デイズルークス?
日産自動車は、「東京モーターショー2019」にて、軽規格サイズ電気自動車のコンセプトカー「ニッサン IMk」を世界初公開した。
ニッサン IMkは、新開発したEVプラットフォームが採用された軽自動車規格のボディサイズを持つ。立ち位置としてはシティコミューターにあたるが、このデザインテイストは今後登場予定の「デイズルークス」に繋がっているのは間違いない。ただし、現時点では新型デイズルークスにEVを設定するというアナウンスはなく、軽規格EVの先駆けといえばミツビシ「i-MIEV」があり、この後継車にもあたるのだろう。
一番の売りは、EVならではの力強くスムーズな走りと静粛性、最新の運転支援技術やシームレスなコネクテッド機能を搭載している点だ。
■日本の伝統的な美しさを取り入れたエクステリア
ボディカラーには、日本古来より使われている金属「アカガネ」を参考にしたカラーが施されている。エクステリアデザインについては、フロントには「セレナハイウェイスター」に近いグリルを用いたVモーショングリルを備えており、細めのヘッドライトによってシンプルながら力強い表情をしている。日産によると「木組みを模したような格子パターン」という様だ。
サイドは、2019年に登場した「デイズハイウェイスター」にも似たウィンドウグラフィックをしており、「デイズ」の兄弟車である様相が伝わる。
リアは左右が連結したテールランプとなっており、スリットの入ったデザインがなされている。他にも、バンパーやホイール、タイヤ、テールランプ、ルーフには「水引」模様の流れの美しさにヒントを得たスリットパターンを採用しており、このあたりも「日本の伝統的な美しさ」の要素を入れこんだデザインになっており、「上質でシックデザイン」と言える。
■快適な時間を過ごす「部屋」としてのインテリア
インテリアは、クリーンでモダンな「部屋」が表現されており、ボディカラーにも用いられた「アカガネ」のアクセントで、艶やかさが加わっている。インストルメントパネル上にはスイッチがなく、必要な情報はプリズムディスプレイの中に、ホログラムのように映し出される。
また、日本家屋の縁側や障子と同様、プリズムディスプレイの手前と向こう側を視覚的に連続させるデザインは奥行きや広さを感じさせ、リラックスできる楽しい空間を創り出している。
■プロパイロット2.0は次の段階へ進化
ニッサン IMkには「プロパイロット 2.0」を進化させた次世代の運転支援技術を搭載しており、これまでの高速道路上の運転支援から主要幹線道路にまで利用範囲を拡大し、幅広いシーンでドライバーの運転をサポートするようだ。
また、スマートフォンで自動的に駐車できる「プロパイロット リモートパーキング」は、クルマから降りると無人の「ニッサン IMk」が自ら空きスペースに駐車する機能や、スマートフォンで呼ぶとドライバーの元まで迎えに来る「ドライバーレスバレーパーキング」機能などを搭載する。
もちろんこれらの技術は、実現されれば、すぐにでも他の日産車やミツビシ車へと拡大採用されるだろう。
もしも軽規格EVが本当に出てくるならば、気になるのはバッテリー容量と車両価格だろう。リーフを見ていれば分かる通り、車両価格は走行用バッテリーの容量で決まる。40kWhのリーフは車両本体価格372万9000円(税込:グレードX)、62kWhのリーフe+は車両価格423万9400円(税込:グレードX)と、50万円以上も変わってくる。
軽ユーザーが日常、どの程度走行しているのかを的確に把握し、絶妙なバッテリー容量を決めないとならない。クルマは良くても価格が高いのでは、N-BOXとは勝負にならない。しかし軽自動車こそが、EVパワートレインが合うクルマだと筆者は考える。ライバル車には軽のEVは現時点ない。日産・ミツビシに残された「最後のチャンス」と言えないだろうか。
(文:吉川賢一)