トヨタとスバルが提携関係を強化。AWDモデルの共同開発にセリカ復活を期待【週刊クルマのミライ】

● 両社の強みを持ち寄り、最高に気持ちの良い AWD モデルを共同で開発すると宣言

トヨタがSUBARUへの出資比率を上げることが発表されました。コネクテッドや自動運転など自動車変革の時代においてスケールメリットが生き残りには欠かせないということなのでしょう。しかし、トヨタとSUBARUの関係はそれだけではありません。今回の提携強化に当たり、トヨタとSUBARUの協業による新たな開発テーマが掲げられました。

① 両社の強みを持ち寄り、最高に気持ちの良い AWD モデルを共同で開発
② TOYOTA 86 / SUBARU BRZ 次期モデル共同開発

86/BRZがフルモデルチェンジを行なうということは、身近で手頃なスポーツカーが守られるということですが、それよりも気になるのは「最高に気持ちの良いAWDモデル」という表現です。トヨタとSUBARUが気持ちの良いと考えるのはおそらくスポーティなクルマです。だとすると、思い当たるのはあの一台しかありません。

WRX STI EJ20 Final Edition prototype
東京モーターショーで公開予定のWRX STI EJ20 Final Edition(プロトタイプ)

そうです、SUBARUのスポーツフラッグシップであるWRX STIです。その将来モデルをトヨタと共同開発、兄弟車が生まれることを暗示していると思えるのです。すでにBMWとトヨタによるスポーツカーの共同開発からは、Z4とスープラという2台の異なるスポーツカーが生まれています。仮に同様のことが起きるとすれば、WRX STIとメカニズムを共有するトヨタのAWDスポーツカーが生まれるということが予想されるのです。

そして、トヨタにAWDスポーツが誕生するとすれば、思い浮かぶのは「セリカGT-Four」という車名しかないでしょう。

かつてWRC(世界ラリー選手権)において、トヨタに何度もチャンピオンの栄光をもたらしたセリカGT-Four。その名前が、WRCで勝つという強い意思を名前のルーツに持つWRX STIの兄弟車として蘇るとしたら、ラリーファンにとってはたまらないモデルとなること請け合いです。

Celica_GT-Four_ST165_WRC
トヨタ・セリカGT-Four 1990年サファリラリー優勝車

奇しくも、2020年にWRCが日本で開催されることが明らかとなりました。また、WRX STIは長年使ってきたEJ20型エンジンと別れを告げることも発表されています。もちろん、いまの段階で発表してすぐにニューモデルが間に合うはずもありませんが、WRCへの注目度が上がっていくであろうタイミングだからこそ、”最高に気持ちの良い AWD モデル”に期待が高まってしまいます。

(山本晋也)

この記事の著者

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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