【サーキット女子に聞いたモータースポーツの魅力】その4・井澤エイミーさん「サーキットは自分の居場所が必ず見つかる場所」

●気持ちを奮い立たせる感覚はサーキットでしか味わえない

とかく男の世界と思われがちなモータースポーツの世界。ところが最近は競女カップやWシリーズなど、ドライバーを女性限定にしたカテゴリも発足するなど、モータースポーツに関わる女性も増えてきました。

そんなモータースポーツの中でも、ドライバーとしてではなく、あくまで主役を支えるかたちでモータースポーツに関わっている女性たちは、一体どんなところにモータースポーツの魅力を感じているのでしょう?そんなちょっとした疑問を、実際にモータースポーツの現場にいる女性に聞いてみようというこの企画。

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こんな感じでインタビューを受けてみたい…

第4回目は、昨年までスーパーGTのピットリポーターとして活躍し、現在はその活動範囲をヨーロッパにも広げ、日本のモータースポーツ界の新しい顔として活躍されている、井澤エイミーさんにお話を伺いました。

── まずはスーパーGTのピットリポーターになった経緯を教えて下さい

よろしくお願いします!井澤エイミーです。私はスカウトがきっかけで、17歳の時にモデル志望で芸能事務所に入りました。

モデルとして活動する中で、性格的にも動いている方がいいんじゃないかと周りからアドバイスをもらい、19歳の時にサッカー番組のアシスタントMCとしてテレビの仕事に就くようになりました。

その番組が終わった後、たまたまスーパーGTのピットリポーターのオーディションがあり、ご縁があって採用していただきました。

この時、モータースポーツについてはなんの知識もなく、もちろんスーパーGTについても知らずに、モータースポーツってF1ですか?っていうレベルの自分をよく採用してくれたなと今では思います(笑

ただ、そのおかげで今ではモータースポーツにどっぷりハマってますね。

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スーパーGTリポーターの高橋二朗氏と

── なるほど。モータースポーツについては何も知らずにこの業界に入ってきたわけですね。ちなみに車には興味はあったんですか?

車はもともとすごく好きでした。車種に限らず車そのものを見るのが好きでしたね。形とか色とか。以前レッドブルガールをやっていたことがあって、その仕事中にも自分たちで都内を運転したのですが、運転するのも好きで楽しかったですし、特に東京はスーパーカーも含めていろんな車が走っていて、そんな車の後ろに付くだけでかっこいいなぁとか思っていました。

私はドイツ学園に通っていたのですが、クラスメイトのドイツ人たちは18歳の誕生日に車をプレゼントされるんですね。そんな環境で育ったのもあり、免許は18歳の誕生日前から教習所に通って18歳になると同時に取りました。

私は人生のゴールの一つとして、稼いだ人の象徴は車だと思っています。やっぱりいい車は憧れだし、いい車に乗りたい。たくさんお金を稼いで、かっこいい車を乗り回したいというのは物心ついたときから思っていましたね。

── そんな誕生日プレゼントなら今でも欲しいくらいです(笑)具体的に欲しい車とかはあるんですか?

はい。乗りたい車は断然ジャガーですね。独り身のうちにジャガーF-TYPEでブイブイいわせたいです。最近だとF-PACEもいいなと思ってます。

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取材はピットに入る前から始まっています

── 車や運転については元々好きだったわけですね。ではそんなエイミーさんが今のようにモータースポーツにハマったきっかけってなんなんでしょう?

スーパーGTのピットリポーターに採用された最初の年、毎年3月に開催されているプレシーズンテストで初めてサーキットに行ったときの事です。

車から降りた瞬間まず「何だこの音」と思いました。もちろんリポーターとして採用されてからは映像で(スーパーGTを)見てはいましたけど、とにかく迫力がぜんぜん違う。そのままスタッフさんとピットに行った、その瞬間に惚れました。

サインガードまで走って行って「なんだこれはー!!!」って何度も叫んでいたみたいです(笑)とにかく音と、ガソリンスタンドの匂いが元々好きだったのでそれも心地よく感じました。

あとは振動というか空気が震える感じがたまらないですね。気持ちを奮い立たせる感覚はサーキットでしか味わえないです。これって興奮なんだっていうのを全身で感じられました。

初めてそれを感じた瞬間は一生忘れられません。

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インタビューはドライバーだけでなく監督やスタッフにも

それからはちゃんと(レースを)理解しなきゃと思って必死でした。なので最初の2年半の事は覚えてません。反省ばかりだったけど、このスポーツが好きで葛藤しながらやってきました。3年目でやっとレースが楽しめるようになって「今日はいいレースでしたね」って言えるようになりましたね。

── なるほど。スーパーGTのピットリポーターを5年務められたのも、その情熱があってのことでしょうね。今年はそんなピットリポートをいろんなレースで観ることができました

はい。富士、ル・マン、そしてニュルと24時間レース本当にお疲れさまでした。6月は本当にあっという間に過ぎていった気がします。

今年はスーパーGTのピットリポーターを卒業してからのリポーターだったので、色んな感情があってのピットリポートでした。

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富士24時間レースやル・マン、ニュルでもリポーターとして奔走

やっぱり自分はピットが好きなんだなって思いました。特に富士24時間はお祭りっていうテーマもあったので楽しかったし、好きなようにやらせてもらえました。

特にこういう年に1回のレースは毎年同じ(チームやドライバー)じゃないので、リポート力というか課題が与えられるようで、やりがいがあるし自分を更に成長させてくれると思っています。

改めて取材って楽しいなと思いましたし、だからこそ、画面を通してしっかりと伝えたいと、楽しかったけど割と必死な24時間×3でしたね。

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スーパーGTでは英語実況を担当中

── おそらく今、多くのモータースポーツファンの方たちは、そんなエイミーさんのリポートを毎回楽しみにしていると思いますよ

もしそうなら個人的にも嬉しいですし、私を使ってくれているJスポーツさんも喜んでくれると思います。

── それでは最後に、そんなモータースポーツファンの方々にメッセージをお願いします

本当にいつも、サーキットやSNSで声をかけてくれたり、応援してくれてありがとうございます。モータースポーツのいいところは、いつでも暖かく迎えてくれるところだと思っています。

他のスポーツと違ってサーキットは自由に動き回れるので、自分の居場所が絶対見つかります。なので、もしまだサーキットに来ることを迷っている人がいたら、とにかくまず来てみるといいと思います。旅行がてらでもなんでもいいので。

そしてサーキットを探検してみると、きっと自分の居心地のいい場所が見つかると思いますよ。

個人的には、女性にもっとサーキットに来てもらいたいです。そしてサーキットで私を見かけたら、ぜひ声をかけてくださいね。

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この仕事が天職という井澤さん。この笑顔がそれを物語っているようです

決して現場に来なければ感じることのできない空気感。サーキットでしか感じることのできないそんな緊張感が、エイミーさんの心を鷲掴みにしたようです。

そしてそんなエイミーさんのモータースポーツに対するアツい情熱がひしひしと伝わってくるインタビューとなりました。

ぜひ、この記事をご覧の皆さんもエイミーさんの感じた興奮を共感しに、そして自分の居場所を探しにサーキットに足を運んでみてはいかがでしょうか?

それではまた、次回をお楽しみに!

(H@ty)