【新車】ちょい乗りでも凄さがわかる、新型N-WGNの軽自動車を超えた静粛性

■エンジンもシャシーも一新したN-WGN。街乗りでも圧巻の静かなキャビンに驚いた!

言わずもがな、いま最も売れている軽自動車はホンダN-BOXです。N-BOXの属するスーパーハイト・カテゴリーでは売れに売れているホンダの軽自動車ですが、全高1600mm台のハイトワゴン・カテゴリーでは苦戦していました。「N-WGN(エヌワゴン)」は、ダイハツ・ムーヴ、スズキ・ワゴンR、日産デイズなどの後塵を排していたのです。

しかし、N-WGNのフルモデルチェンジによってハイトワゴン・カテゴリーの勢力分布は大きく変化するかもしれません。そのくらい、ホンダの新しいN-WGNはインパクトのある仕上がりを見せてくれました。

今回、エンジンはロングストロークの「S07B」型となり、サイドインパクト衝突テストにも対応するためハイテン鋼を多用したN-BOX譲りといえるハードウェアに進化したN-WGNは、乗り始めて5分ほどで驚くほど進化したのが感じられます。なにしろ静かなのです。

N-WGNの自然吸気エンジン

エンジン自体の最高出力発生回転数は7300rpmと高回転まで使えるユニットになっていますが、街乗りレベルでは4000rpmも回せば十分。高速道路でも80km/h巡行時にタコメーターは2000rpmあたりを指しています。タイヤからのロードノイズも抑えられているため、軽自動車で高速道路を走っているとは思えないほどキャビンの静粛性は保たれています。

不思議に思って、開発エンジニアの方に特別な制振材や防音材を使っているのでは? と聞いてみましたが「ボディをしっかりと作るなどノイズの発生を抑えたのが効いています。もともとN-BOXで作り込んできたボディですので、どこに手を入れれば効果的なのかもわかっていますから」ということでした。

N-WGNのタイヤ、ブリヂストン エコピアEP150

さらに、しっかりとしたシャシーはハンドリングにも効いています。軽自動車のハイトワゴンですから限界性能を云々するキャラクターではありませんが、日常域での自然なハンドリングは好印象を覚えるのではないでしょうか。

とくに14インチタイヤとのマッチングは絶妙で、サスペンションやステアリング系の支持剛性とタイヤのグリップがバランスされていて、タイヤの動きが手に取るように伝わってきます。高速道路のジャンクションで白線に沿ってコーナーを駆け抜けることも難しくありません。思い通りに曲がることができるので、爽快な気分になれます。

高速道路で役立つ渋滞対応ACCやLKAS(車線維持ステアリングアシスト)や、市街地の信号待ちで足をブレーキペダルから離すことのできるブレーキホールドといった機能が全車標準装備となっていることも魅力のN-WGN。そうした目立つ機能はもちろんですが、クルマづくりの基本からしっかりと生まれ変わったことが実感できました。

とくに静粛性の高さは、おそらくディーラーでの試乗でも十分に確認できるでしょう。是非とも、軽自動車の新しいベンチマークといっても過言ではないN-WGNの仕上がりを体感してみてください。

●ホンダ N-WGN L ホンダセンシング(FF)主要スペック
車両型式:6BA-JH3
全長:3395mm
全幅:1475mm
全高:1675mm
ホイールベース:2520mm
車両重量:850kg
乗車定員:4名
エンジン型式:S07B
エンジン形式:直列3気筒DOHC
総排気量:658cc
最高出力:43kW(58PS)/7300rpm
最大トルク:65Nm(6.6kg-m)/4800rpm
変速装置:CVT
燃料消費率:23.2km/L (WLTCモード)
タイヤサイズ:155/65R14
メーカー希望小売価格(消費税8%込):1,339,200円

(山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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