TOYOTA GAZOO Racing、WEC 2018-2019 シーズン報告会で驚きの再会!?

■長かったWECドライバーズタイトルへの道

・TOYOTA GAZOO Racing 、2年連続ル・マン1-2フィニッシュ!

今シーズンのWEC(FIA世界耐久選手権)はイレギュラーで1年半に及ぶ長いものでした。そのため、スーパーシーズンと呼ばれています。

そしてシーズンの締めくくりとして行われたのがル・マン24時間レース。2019年も1年の中で最も昼間が長い夏至に近い6月15(土)-16日(日)に行われました。

TOYOTA GAZOO RacingはTS050 HYBRID 8号車の中嶋一貴/セバスチャン・ブエミ/フェルナンド・アロンソ組が去年2018年のWEC第2戦ル・マン24時間レースに続いて2019年に行われた第8戦のル・マン24時間レースも制して2連勝。ドライバーズタイトルも獲得しました。

しかし第8戦で優勝に最も近かったのは、むしろTOYOTA GAZOO Racing TS050 HYBRID 7号車の小林可夢偉/マイク・コンウェイ/ホセ・マリア・ロペス組のほうで、それまで首位を爆走していた7号車が残り1時間というところでタイヤがパンクし、緊急ピットイン。その間に8号車とトップが入れ替わってそのままゴール。

TOYOTA GAZOO Racing はチームとしては1-2フィニッシュにはなりましたが、8号車は優勝はしたものの手放しで喜べる雰囲気ではなく、また7号車にとっては悔しい2位となりました。

そして2019年6月26日に行われた「TOYOTA GAZOO Racing WEC 2018-2019シーズン報告会」では日本人ドライバーの中嶋一貴選手と小林可夢偉選手、そしてGRパワートレーン推進部 部長の加地雅哉氏が登壇しました。

中嶋選手はシーズンと今回のル・マン24時間レースを振りかえって「スーパーシーズンで1年半、長いレースでしたが、しっかりと戦いきれました。2018年のル・マンで勝ってからワールドチャンピオンを目標にやってきたので、それを達成できてよかったと思っています。2019年のル・マンは複雑な結果でもありましたが、チームとしては1-2で戦いきれたので、何年か前から考えれば大きな進歩だと思います。2020年以降はより良い形でやっていければいいなと思っています」

小林可夢偉選手は同じ質問に対し、「スーパーシーズンで1年半、シーズンとしてはいつも以上に長いシーズンでした。ドライバーもフェルナンドが入り、確実に8号車のパフォーマンスは上がりました。みんなのモチベーションも同時に上がり、この1年半、TOYOTA  GAZOO Racingとしてドライバーの皆さんが戦えたと思います。結果的に、ル・マンは目標である1-2を2回獲れて、チームとしてもチャンピオンを獲れたのはチームのみんなが頑張ったのと同時に、ドライバーもシーズンを通してミスなくやりきれたことが結果につながったと思います。しかし勝負事なのでレースでは白黒つきますが、いいライバルであり、お互いリスペクトしながらシーズンを戦うことができました。僕らは悔しい結果で終わりましたが、その中でもお互いをリスペクトしあって終われたことはこのスポーツをやっていて心からよかったと思っています。最後、トラブルが出て、それにうまく対処できなくて申し訳ないという気持ちを友山プレジデントから伝えられました。その気持ちはありがたく頂きながら、でも勝負なので、今後はトラブルシューティングにどう向かっていうのかも踏まえてのチームワークだと思います。チームとして改善方法を考え、今後さらに強いチーム作りをしていきたいと思います」。

GRパワートレーン推進部 部長の加地雅哉氏は、開幕戦のスパ・フランコルシャンから第8戦までを振り返りながら報告し、WECにはこの後も引き続き参戦。マシンはTS050  HYBRIDの改良型を使用。ドライバーはフェルナンド・アロンソ選手の代わりにブレンドン・ハートレー選手が加入するとのことです。

また、ル・マンでの7号車のタイヤトラブルに関して、質疑応答の時に質問が出ましたが、それに関して加地氏は「配線のミスで、ヒューマンエラーです」と答えていました。

そして私は、この報告会の途中、ある事に気が付きました。

加地氏とは以前、雑誌の取材で何度かお会いしていることに。

最初にお会いしたのは2012年、東京オートサロンに出展する「TES-ERA EV」というクルマの取材でした。これはトヨタ社員の有志が枠を超えて集まる「トヨタ技術会(TES=Toyota Engineering Society)」が「トヨタ・セラ」をベースに作った電気自動車。そこに当時、電子開発室主任だった加地氏も参加していて、取材に対応していただきました。この活動は業務以外の時間や休みの日に行われるらしく、社内でも本当にクルマ好き、モノ作りが好きな人たちが参加しているそうです。

その後も加地氏には何度か取材対応していただきましたが、まさかGRパワートレーン推進部部長となってWECの活動報告を聞くことになるとは…。

でも本当にクルマ作り、モノ作りを好きな人が作っている、関わっていると知って、TOYOTA GAZOO Racingをますます応援したくなりました。

(吉田 由美)