ボルボがウーバー向け自動運転車両の生産車両を発表

アメリカのUber(ウーバー)とボルボ(ボルボ・カーズ)は、2016年に共同技術開発の契約を締結し、自動運転車の自社開発を加速させるため、多くの試作車を開発してきた実績があります。2019年6月に発表されたSUVのボルボXC90は、Uberの自動運転システムを組み込んで完全自動運転を可能にする初の生産車。

ベース車両のXC90には、Uberが開発した自動運転システムが容易に導入できるように重要な安全機能が装備されており、将来的にはUberネットワークで自動運転車による自動配車サービスを提供できるようになるとしています。

ボルボによる自動運転向け生産車の最も重要な特徴として、ステアリングおよびブレーキ機能における複数のバックアップシステムと、バッテリーのバックアップ電力があります。

例えば、いずれかの基本システムが何らかの理由で機能しなかった際は、即座にバックアップシステムが起動して車両を停止させるように設計されています。ボルボが組み込んだバックアップシステムに加えて車両に搭載される一連のセンサーは、Uberの自動運転システムが都市部の環境で安全に走行できるよう設計されています。

ボルボの車両プラットフォームにUberの自動運転システムを組み合わせると、いずれはミッション・スペシャリスト(特別な訓練を受けたUberのスタッフ)による操作や監督が必要なくなり、自動運転に適した地域で安全かつ信頼性の高い自動運転車の配車サービスが実現可能になるそうです。

今回、発表された自動運転のための生産車は、2016年にボルボとUberとの間で結ばれた商業協定の一部で、今後数年以内に数万台規模の自動運転対応のベース車両を供給するのが目的。

ボルボは自動運転の「レベル3」を経ずに「レベル2」から「レベル4」を目指すとしていて、2020年代の早い時期に自動運転車を導入するため、同様の自動運転ベースの車両コンセプトを使用し、これらの技術はSPA2車両アーキテクチャをベースにした次世代モデルに導入される予定としています。

その場合、高速道路や環状道路などの明確に限定された地域において、監督者を必要としない自動運転が可能になるよう設計されます。

ボルボ・カーズは、全ての車が自動運転で走行するようになれば、社会全体に交通安全上の大きな利益を生むと信じています。そこに至るまでは、交通渋滞で発進と停止を繰り返すような単調な作業を排除する技術によって、より良いドライビング・エクスペリエンスを顧客に提供することができると表明しています。

(塚田勝弘)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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