【人とくるまのテクノロジー展2019 横浜】軽自動車用に開発された最新パワートレインをチェック

■日産・デイズのエンジン「BR06DE」と新開発CVT「JF021E」が展示

5月22日~24日にかけて、パシフィコ横浜にて「人とくるまのテクノロジー展2019横浜」が開催されました。公益社団法人 自動車技術会が開催する日本最大の自動車技術展で、1992年に初開催して以来、28回目となるおなじみの展示会です。

基本的には自動車技術専門展ですから、アマチュアのクルマ好きが入場しても(入場自体は登録制ですが無料)、なにがなんだかサッパリわからない……なんてことにもなってしまうプロのための技術展です。

さて、そんな人とくるまのテクノロジー展ですが、自動車メーカーやティア1に分類される大手サプライヤーは、最新モデルに採用されている技術を展示、アピールすることも忘れてはいません。たとえば日産自動車は、三菱自動車との協業で開発した新型軽自動車「デイズ」のパワートレインのカットモデルを展示していました。

NA仕様が「BR06DE」、ターボ仕様は「BR06DET」という、いかにも日産らしい型式がつけられた新型エンジンは、日産とルノーの共同開発エンジンである「BR」シリーズの末弟といった位置付けですが、説明員の方にうかがうと日産主導で開発したエンジンとのこと。

けっしてグローバルエンジンを軽自動車に転用したわけではなく、日本市場において欠かすことのできない軽自動車マーケットを十分ににらんで作られたエンジンといえそうです。

その特徴のひとつは、吸気バルブごとに燃料を噴射するデュアルインジェクターの採用ですが、人とくるまのテクノロジー展ではbr06エンジンのカットモデルが展示されていたこともあって、インジェクターの配置をじっくりと見ることできました。

いまや軽自動車のエンジンにおいてコストと耐ノック性向上のバランスにすぐれたデュアルインジェクターは欠かせない技術ですが、その最後発といえる日産が、どのような思いを込めたのかを感じられる展示です。

また、新型デイズには新開発のエクストロニックCVTが組み合わせれています。軽自動車での使用を考えて専用設計された新しいCVTユニットは、その開発・生産を担うジヤトコのブースでもカットモデルを確認することができました。

従来、軽自動車用としては副変速機付きで変速比幅が7.3とワイドなCVTを設定していたジヤトコですが、新開発された「Jatco CVT-S(JF021E)」は軽自動車に最適な変速比幅6.0として、構造をシンプルにすることで軽量化(従来モデル比4.2kg、6%減)に成功しています。さらに、ベルトやボールベアリングを見直すことにより8%ものフリクション低減を実現したことが特徴ということです。

(山本晋也)

この記事の著者

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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